春日公園前の補聴器屋さん 『かすが補聴器専門店』のブログ

春日市・大野城市・太宰府市・那珂川町で唯一の補聴器専門店を開業しました。補聴器と聞こえに関する情報を取り上げていきます。

間違ったRIC販売

2015-03-28 18:01:42 | 補聴器

春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市、那珂川町活動エリア)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ

 

 

現在、日本補聴器市場では、

補聴器全体の2割程度が

RICタイプの補聴器となっています。

耳かけ型補聴器とオーダーメード補聴器の

イイとこ取りした小型耳かけとして

ここ数年、販売台数が増加しています。

レシーバーを交換すれば、

重度の難聴まで対応できるため

今後の補聴器の主流になると言われています。

 

 

各メーカーにレシーバーの種類や

耳栓の種類が豊富なので

幅広く難聴の方にお薦めできるのが特徴。

 

 

面倒な耳型採取があまりないため

メガネ兼業店さんでは

特に販売注力されています。

 

 

メーカーも新製品開発時、

まずは、RICタイプを

ラインナップの主力にする現状です。

 

 

便利なタイプなのですが

落とし穴もあります。

当店に来店されたお客様の例を

ご紹介します。

 

 

先日、来店されたS様は、

近隣のメガネ店さんで、

SIEMENS社の

PURE101 XCEL(ピュア101エクセル)という

RICタイプの補聴器を

2年前に両耳購入されました。

 

 

当時の定価は、

 片耳:¥160,000

 両耳:¥288,000

多少の値引きはあったそうですが、

結構大きな買い物だったそうです。

 

 

何度調整しても

なかなかきこえに満足されず、

不運にも今年になって

左側の補聴器を

なくしてしまわれました。

両耳でもききとりが不十分だったのに

片耳になってしまっては

ますます、ききとれません。

 

 

S様の聴力は以下のとおり。

更に、弁別能は、

 右:45%(100dB)

 左:70%(90dB)

 

 

左の補聴器は紛失されているので

詳細はわかりませんが、

右の補聴器は、

Mレシーバー(80dBまで対応)を採用し、

耳栓は、直径8mmのオープンタイプ。

 

 

低音域の聴力が落ちているので

Mレシーバーを採用しているのは理解できますが、

「なぜ、オープン仕様の耳栓?」

これでは、低音が抜けてしまって、

聞こえた感じがしないでしょう。

仮に、2年間の間に聴力変化があったとしても

現在の状況でこの仕様は、ありえません。

しかも、弁別能が45%(100dB)であることを考慮すれば、

きちんと密閉して

鼓膜面まで補聴器が増幅した音を伝えなければなりません。

 

 

今回、期間は短かったのですが、

S様とその家族の方の希望で

「きこえる補聴器がほしい。」と

買い替えになりました。

当店で提案させていただいたのは、

カナルタイプのオーダーメード補聴器。

メーカーの製造部の方と製作上の相談をして

耳道部を長目に作ることにしました。

弁別能のスコアが芳しくないため、

少しでも鼓膜面の近くで

音を伝え、補聴効果を出すためです。

 

本日、納品させていただきましたが、

S様の反応は、上々。

1週間程度ご使用いただいた後、

最初のフィッティングを行い、

効果測定を実施する予定です。

きっと、良いスコアが期待できるでしょう。

 

 

RICタイプの補聴器は、

とても優れた補聴器ですが、

仕様を間違った状態では、

難聴者のきこえを満足させることはできません。

 

 

次回は、RICモールドについて

メーカー比較を検証したので、

お伝えします。

 

 

 

 

 

本日は、以上です。

 

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メーカー技術者さんによる勉強会

2015-03-23 13:27:26 | ブログ

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先週の金曜日

Phonak社本社のマーケティング部技術者で

聴覚・教育担当のTさんに

わざわざお越しいただきました。

目的は、店頭での補聴器勉強会です。

 

 

以前から、Phonak社の補聴器&調整ソフトについて

マン・ツー・マン勉強会の実施を

リクエストしていました。

理由は、

私が補聴器メーカー出身ということもあり、

補聴器に搭載された

個別の機能について

ついつい、

「この機能は、SIEMENS社のこの機能と同じだろう…」

「このシステムは、SIEMENS社のシステムに類似している…」

など

元いたメーカーの技術と重ね合わせて

思い込んでしまう傾向があるからです。

 

 

そういった思い込みの部分を解消していくために

店頭で2時間半、

みっちりと

勉強させていただきました!

 

 

例えば、

「雑音抑制機能」というと

各社搭載していますが、

メーカーによって機能的なレベル差があります。

 A社の雑音抑制レベルは、MAX24dB

 B社では、MAX8dB

など。

これだけレベル差があれば

「雑音抑制機能が付いているから大丈夫!」

とひとまとめに説明はできません。

 

指向性マイクについても同様。

各社の耳かけ型の補聴器には

ほとんどすべてに

「指向性マイク」が標準装備されていますが

メーカーや補聴器のグレードで

指向性マイクのレベルが全く異なります。

雑音の周波数に応じて

 A社では33チャンネルで指向性マイクが機能する

 B社では20チャンネル

と実際に聴き比べしても機能差が出てきます。

 

 

また、調整ソフトについても同様で、

日頃から

かなり詳細な部分まで

使いこなしていると

思い込んでいましたが、

そのメーカーのエキスパートの方に

レクチャーを受けると

本当に「目からウロコが落ちる」状態でした。

補聴器の性能を

最大限に発揮できるかは、

調整ソフトと

それを使いこなせる調整者によります。

今回の勉強会で

Phonak社の補聴器と調整ソフトについて

かなりレベルアップできたと思います!

 

 

補聴器メーカーでは、

販売店からのリクエストや

自社の新製品発売のタイミングなどによって

現場レベルで「勉強会」を実施します。

 

 

しかし、補聴器屋さんの中には、

 「わざわざ来てもらって時間を割かなくても…」

 「今さらこんなこと聞くわけにもいかない…」

 「忙しいから時間が取れない…」

という理由で、

 「ソフトとデモ機(試聴機)さえ提供してもらえば、

  自分で触って勉強します。」

というところが案外多いものです。

 

 

難聴のお客様が

少しでも補聴器によって

ききとりが向上することを考えれば、

常に勉強していくことは

補聴器屋さんにとっての

「義務」であると思います!

本当に内容の濃い

2時間半の勉強会でした!

Phonak社のTさん、

本当にありがとうございます!

 

 

【おまけ】

Phonak社のTさんに

当店自慢の「特設音場ルーム」を

見ていただきました。

 

 

「店舗の奥にこんな部屋があるとは!」

補聴効果測定や聴能トレーニングを実施できる「秘密の部屋」に

とても喜んでいただきました!

業界関係者には、いつも喜んでいただける部屋なのです!

 

 

 

 

 

本日は、以上です。

 

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耳鳴りの治療に補聴器

2015-03-05 18:27:27 | 補聴器をうまく使う

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昨日、NHKの情報番組「ためしてガッテン」で

耳鳴り治療について取り上げられていました。

私が記憶する限り、

「ためしてガッテン」で耳鳴りが取り上げられるのは

今回が2回目だったと思います。

 

 

前回取り上げられたのは、

10年くらい前。

当時は、TRT(Tinnitus Retraining Therapy)療法を紹介していました。

サウンドジェネレーターという補聴器に似た機械を使って

心地よいノイズをきかせ、

耳鳴りを感じる大きさを小さくする治療法です。

 

 

今回の放送では、

『補聴器』を耳鳴り治療に推奨していました。

耳鳴りに悩む方の多くは

難聴も患っていることがあり、

補聴器を使うことによって

耳鳴りを治療していくというものです。

 

 

高齢者の老人性難聴の特徴は

高音域の音が聞こえにくくなっています。

番組では、

聞こえていない高音域の音を

人の『脳』が過剰に感じさせているとしており、

「キーン」と高い音色で感じる

耳鳴りの仕組みを説明してました。

とても腑に落ちる

うまい説明です。

 

 

補聴器からきこえていない高音域の音を入れることで

『脳』が過剰反応していた刺激をなくし

耳鳴り自体が消失・減少していきます。

 

 

最近、当店で補聴器を購入されたお客様。

今回の補聴器がはじめて。

難聴を自覚され始めたのですが

それ以上に

『耳鳴り』に悩まれていました。

耳鼻科で受診したところ

『耳鳴り』に関しては治療が難しく、

うまく付き合っていくしかないと

先生に言われたそうです。

お客様の聴力は以下の状態。

 

 

典型的な高音漸傾型の聴力型です。

補聴器が初めてということもあり

フィッティングは、

本来の8割程度の利得設定にしました。

 

 

低音域の利得は殆どありませんが、

高音域はかなり利得を上げています。

 

 

本日、納品後3週間経過して来店されましたが、

ききとりの向上以上に

耳鳴りがなくなったことを

喜ばれています。

このお客様も

昨日の「ためしてガッテン」を

ご覧になっており、

「まさに補聴器で耳鳴りが解消した!」

とTVと同じ状態でした。

 

 

補聴器は本来、

難聴に対して使うものですが、

耳鳴り対策という副次的な効果の面でも

役に立つ医療機器です。

 

 

 

 

 

本日は、以上です。

 

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