春日公園前の補聴器屋さん 『かすが補聴器専門店』のブログ

春日市・大野城市・太宰府市・那珂川町で唯一の補聴器専門店を開業しました。補聴器と聞こえに関する情報を取り上げていきます。

耳型採取

2013-04-05 13:39:16 | 設備

春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町中心)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ。

 

 

今日から小学校が新学期です。

上の娘も今日から4年生となり、小学校生活の折り返し。

ついこの前1年生だと思っていたのに・・・早いものです。

 

 

さて、今日は補聴器製作をする上で重要な、「耳型採取」について取り上げましょう。

 

 

以前にも少々触れましたが、オーダーメード(耳あな型)補聴器や耳かけ型補聴器のイヤモールド(オーダー耳栓)を製作する際、お客様の耳型をシリコンで採取する必要があります。

耳型採取は、補聴器屋さんにとって重要な技術の一つです。

 

 

この耳型がうまく採取できていないと、当然、良い補聴器やイヤモールドが製作できません。

特に、耳穴部分がきれいに採取できていなければ、メーカーさんの製作受付ではねられ、補聴器屋さんに、「このままでは、補聴器が作れません。もう一度採取して送ってください。」と再採取の依頼が寄せられます。

 

 

通常は、耳の奥までシリコンが注入されないよう、スポンジや綿球を耳の穴に入れて、ストッパーとします。

もっとも難しいのがこの作業で、経験の浅い補聴器担当者は、奥までストッパーが入れられず、耳穴部分が浅い耳型となります。

この状態で補聴器を製作すると、音漏れの原因となったり、ゆるくて落ちやすい補聴器となったりしてしまいます。

 

 

うまい補聴器屋さんは、お客様の聴力に合わせてシリコンの注入時の圧力を調整します。

軽中度の難聴の方であれば、出来上がった補聴器が挿入時に圧迫感がでないよう圧力を弱めて採取し、高度・重度の難聴の方であれば、少し圧力を加えて出来上がった補聴器の具合を想定して、音漏れしないようにきっちりと型取りをします。

 

 

私がメーカー時代、入社時研修では、現場に出る前に200~300個ほどの耳型採取のトレーニングを行いました。

研修生同士で型を取りあうので、当然、私も耳型を採られました。

技術が未熟なうちは、シリコンが固まらないうちに注入してしまえと圧力をかけすぎてしまうので、取られる方は痛くて仕方ありません。

 

 

シリコンは、気温や湿度にも関係しますが、5分程度で固まりますので、採取時に席を外したり、ほかの作業をするようなことは厳禁です。

固まりきってしまうと、硬化した耳型を採る際、とても痛い思いをお客様にさせてしまいます。

特に、電話などを受けて話し込んでしまうと、とても危険です。

 

 

お客様の中には、過去に中耳炎等の治療で、外科的な手術をしている方がおられ、そういうお客様の耳穴は内部で広がっていることがあります。

何も知らずに採取してしまうと、耳穴内で膨張したシリコンが取れなくなってしまい、最悪の場合、事故につながることも・・・。

正直、年間に何件か耳型採取時の事故が報告されています。

 

 

補聴器の専門店であれば、手術耳でも耳型を採取する技術をもったスタッフさんがいると思いますが、兼業店さんの場合はいないことが多いため、補聴器メーカーの技術者を呼んで採ってもらうことになります。

私もメーカー営業をしていた時は、お客様と日時を合わせて、手術耳を採取していました。

 

 

現在、大手の補聴器メーカーでは、オーダーメード補聴器の製作時、耳型を3DスキャンでCG化し、そのデータを元にレーザーで樹脂を形成して補聴器のシェル(オーダーメード補聴器のケース部分)をつくります。※レーザーシェル

 

 

製作がデジタルなのに対して、耳型採取はアナログなんですね。

 

 

しかし、補聴器の最先端技術では、耳の穴自体をスキャンすることができるようになってきています。

 

上の画像をクリックすると映像をご覧いただけます。

 

 

この機械が実用化されて、日本の補聴器販売店でも導入されれば、耳型取りの技術や事故は関係なくなりますね。

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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