春日公園前の補聴器屋さん 『かすが補聴器専門店』のブログ

春日市・大野城市・太宰府市・那珂川町で唯一の補聴器専門店を開業しました。補聴器と聞こえに関する情報を取り上げていきます。

ジャパントラック2012

2013-06-26 16:50:47 | 補聴器業界

春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町中心)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ

 

 

前回のブログで、「ユーロトラック2012」について触れました。

日本でも「ジャパントラック2012」という補聴器に関する調査が、日本補聴器工業会(JHIMA)より15,000人を対象に行われています。

それによると、日本市場では、欧米とは異なる特殊性があります。

 

 

日本で補聴器を購入する場所は、調査で以下のようになっています。

 ・補聴器専門店:56%

 ・メガネ店:18%

 ・インターネット:7%

 ・通信販売:7%

 ・電気店:4%

 ・その他(時計店・宝石店・デパートなど):5%

 ・病院:2%

 

 

難聴者の比率は、全体の10.9%、このうち14%しか補聴器を所有していません。

更に掘り下げると、補聴器に満足しているのは36%、逆に補聴器を持っていても全く使っていない人は12%に至ります。

 

 

欧米での調査でも、難聴者の比率はあまり変わりませんが、このうち補聴器を所有している人は30~40%。

驚くことに補聴器の満足度は、70~80%。

つまり補聴器を買った人の大半は、「買って良かった!」と思っているわけです。

 

 

先進諸国に比べ、日本で補聴器の普及率や満足度が向上しない原因としては、有資格者(認定補聴器技能者)から補聴器のフィッティングを受けていない人が多いことが考えられます。

現在、認定補聴器技能者の数は日本全国で、2,286人(人口比率では約52,000人に一人)。

因みに弁護士の数は、32,088人(人口比率では、約3,700人に一人)。

 

 

近年、デジタル補聴器が9割以上を占めており、難聴者の気導値さえわかれば、ソフトで簡単にオートフィットできます。

メーカーさんのソフトやフィッティング計算式の精度が向上したおかげで、初期設定でもある程度は、「きこえる」ようにすることは可能です。

しかし、難聴者の聞こえは様々、また使う状況も人によって異なります。

ソフトの『オートフィット』で、満足度が上がるとは限りません。

 

 

私もメーカー営業をしていた折、数えきれないほどメガネチェーン店さんを対象に、補聴器勉強会(調整ソフトの操作説明)を行っていました。

限られた時間で行われる勉強会の目的は、『いかに補聴器を売らせるか』、『補聴器販売者の短期育成』です。

『基本調整』は、教授しますが難聴者の複雑な要望に対する『微調整』については省かれることがほとんど・・・。

『微調整』を行っていくには、難聴の基礎知識やフィッティングルールの知識がないと理解困難なので、時間的制約から省かれてしまいます。

ですから、補聴器担当者の中には、伝音難聴と感音難聴の違いやリクルートメント(補充現象)について知らない方もおられます。

 

 

では、なぜ、メガネチェーン店さんで補聴器メーカーは、補聴器を取り扱わせるのか?

当然の疑問です。

答えは簡単。

補聴器専門店は、ある程度人口が密集した都心部に多く、地方の郡部にはないからです。

地方に至っては、メガネチェーン店さんの販売網に頼らざるを得ません。

地方にこそ老齢者の数は多く、老齢者の絶対数が多ければ、難聴者の数も多いものです。

 

 

補聴器専門店は、あまりチラシや広告を出されませんが、メガネ店さんは定期的に販促活動を行われます。

消費者の方々が、もっと補聴器を身近に感じていただけるよう、もっともっと補聴器の露出(販促活動)が必要です。

大手のメガネチェーン店さんでは、少しずつですが、「認定補聴器技能者」資格を取得させるようになってきています。

 『補聴器専門店は露出(補聴器啓蒙を中心とした販促)活動を。』

 『メガネチェーン店では、有資格者(認定補聴器技能者)育成を。』

この二つが促進すれば、日本も欧米並みに補聴器の普及と満足度が向上することでしょう。

「補聴器を買って良かった!」と思われる難聴者が増えることを目指したいですね。

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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ユーロトラック2012

2013-06-21 18:24:36 | 補聴器業界

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昨日からあいにくの天気ですが、幸い台風の影響はありません。

最近、ハクセキレイが飛んでこないので、スズメの餌付けに挑戦中。

意外にかわいいもので、店の窓にまで近付いてきて餌を催促してきます。

 

 

 

 

 

本日は、「ユーロトラック2012」について取り上げます。

「ユーロトラック2012」とは、欧州補聴器工業会(EHIMA)による補聴器に関する調査報告で、イギリス、フランス、ドイツ、ノルウェー、スイス、イタリア、日本の7か国10万人を対象調査しています。

これによると、難聴を自覚している人の割合は、各国それほど大きな差はありません。

 

 

平均すると10人に1人くらいの割合で、自分が難聴であると自覚しているようです。

しかし、補聴器使用率については欧米諸国と比べ、日本の水準が低いことがわかります。

 

 

難聴を自覚している人で、補聴器を使用しているのは、日本は14.1%。

圧倒的に低い水準だと思われます。

自身で難聴を自覚しているということは、日常生活の中でなんらかの不都合を生じているはずです。

「聞き返しが多い」「呼びかけに気付かない」「電話が苦手」「TVの音が大きい」などなど。

しかし、日本では8割以上の方が補聴器を使っていないのです。

 

 

両耳率については以下の通りです。

 

 

 

ヨーロッパでは7割近くの水準なので、補聴器を購入する際は、「両耳で買う」ことが当たり前なのでしょう。

 

私が補聴器メーカーに入社した当時(約15年前)、日本の両耳率は2割程度と言われていました。

現在では、約4割ですので、かなり両耳装用が増えてきました。

しかし、このデータを鵜呑みはできません。

ここ数年、日本のメーカーでは、既製品(耳かけ型)にも両耳価格を設定しています。

販売店は、2台で仕入れると両耳価格が適用されるため、店頭で1台在庫にすることもあります。

 

 

補聴器の普及については、各国での補聴器を販売する環境に差があるため同様に比較することはできないのかもしれません。

海外では、医師に準ずるオージオロジストが補聴器の販売やフィッティングに携わっていたり、保険適用で補聴器購入の補助があったり、日本ではない形での補聴器の供給形態があります。

日本では唯一、『認定補聴器技能者』という資格制度が存在しますが、未だ全国で2,000人程度。

認知度についても1割程度です。

 

 

しかし、先日東京の秋葉原で「JAPAN補聴器フォーラム2013」という補聴器の啓蒙イベントが開催されました。

今後も補聴器販売店協会、補聴器工業会、テクノエイド協会など業界団体が補聴器の普及・啓蒙活動を行なわれていくと思います。

 

 

一方、我々補聴器屋さんにできることは?

恐らく、一人でも多くの難聴者の方々に、「補聴器を買ってよかった。」「こんなことならもっと早く補聴器を使うんだった。」と言っていただけるよう、満足度を向上させていくことでしょう。

購入していただいた補聴器が、タンスの肥やしとならないように・・・。

欧米水準に近づくよう、微力ながら尽力していきます。

※本日の参考データは、AUDIO INFOSより。

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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JAPAN補聴器フォーラム2013(その4)

2013-06-18 12:12:17 | 補聴器業界

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先週の土曜日から2日間、『JAPAN補聴器フォーラム2013』に行ってきました。

飛行機の便の関係で、現地についたのは、14時頃でした。

場所は、電脳の街「アキハバラ」です。

15年位前に行った時とはすっかり様変わり!

以前は、大阪の日本橋の様に、PCオタク(実は、ワタシも・・・)が集う街でしたが、AKBやアニメマニアの街になってました。

40過ぎのオッサンには、不似合いな場所です。(笑) ※でも、ガンダムショップには入ってみたかった!

 

 

記念講演まで時間があったので、各メーカーさんの出展ブースを見学。

懐かしい面々の方とたくさんお会いすることができました。

メーカー営業時代、転勤で関西や中四国にも赴任していたので、当時お世話になった販売店の社長さんとご挨拶。

中には、私が独立したことをご存じない方もいらっしゃったり、また、「ホームページやブログ見てるよ!」と激励してくださる方もおられ、励みになりました。

 

 

また、各メーカーさんのブースにも、親交があった営業さんがおられ、「独立されたんですね!」と話が弾みます。

残念ながら、まだお取引きしていないメーカーさんもありますが、販売の実力を付けてから、お取引きしていただけるようお願いしました。

実力がないうちにお取引きしても、お世話になるばかりで恩が返せないですから・・・。

 

 

中でも、メーカー時代の同僚に会えたのは、とても嬉しかったです。

今は、境遇が異なりますが、当時は同じ目標の下切磋琢磨していたので、話が盛り上がり、危うく記念講演会の時間に遅れるところでした。

 

 

記念講演は、鎌田實先生(内科医)の「補聴器の『がんばらない』」。

補聴器を通じて、先生がこれまでに行われてきた、医療現場での活動、東北の震災やチェルノブイリ原発事故の話など、非常に有意義な内容でした。

鎌田先生の著作の本が多く出版されているようなので、購入して読んでみたいと思います。

 

 

2日目は、各メーカーのセミナーを受講。

時間の関係上、Phonak社、Widex社、Oticon社の3社を立て続けに聴講しました。

 

 

 

Phonak社では、スイス本社のオージオロジー/トレーニングマネージャーのAnna Biggins(アンナ ビギンズ)さんが、最新機種(Questシリーズ)の臨床を基にした両耳装用や効果について説明されていました。

 

 

通常のセミナーと違って、研究機関(大学)で行われた臨床データの発表は、聴いていてとても面白い内容です。

 

 

Widex社は、先ごろ発売開始された、新製品「Dream」の説明会。

補聴器のハードウェア自体が大きく進歩したという内容を詳しく説明されていました。

 

 

Oticon社では、大幅に進歩したフィッティングツール(ソフトウェア)についての内容。

通常のフィッティングでは、補聴器屋さんの経験による独自のフィッティングですが、同社の新しいツールでは、補聴器使用者の個別データ(聞き方の好み)に合わせてフィッティングを行っていくというもの。

当店での取り扱いはないメーカーさんですが、補聴器もソフトウェアも非常に技術力が高いメーカーさんであると改めて思いました。

 

 

出展ブースでは、補聴器メーカーのほか、人工内耳メーカー、電池メーカー、補聴器アクセサリーメーカーなども出展していて、非常に勉強になりました。

2日間臨時休業して行くに十分な内容で、とても有意義でした。

 

 

今後も開催されるかどうかはわかりませんが、一般の方々も多く参加されていたので、こうした業界が一致団結して行う補聴器の啓蒙イベントは、今後も開催してほしいと思います。

因みに、現地でイベントのアンケートを受けましたが、東京以外(関西、名古屋、福岡、札幌など)でも開催してほしいと答えました。

地方に研修出張いけるのは、一つの楽しみでもあります。(笑)

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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JAPAN補聴器フォーラム2013(その3)

2013-06-14 14:12:06 | 補聴器業界

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ついに明日より、『JAPAN補聴器フォーラム2013』が2日間開催されます。

 

 

かくいう私も、明日の土曜日はお店を臨時休業にして、しっかり勉強してきたいと思っています。

 

 

このイベントは、私が記憶する限り、過去にない最大規模の補聴器関連のイベントです。

以前にもブログで触れましたが、海外では春にアメリカの『AAA(American Academy of Audiology)』、秋にドイツで『EUHA(European Union of Hearing Aid Acoustics)』が毎年開催されています。

今回のイベントが毎年開催されるかはわかりませんが、日本国内の補聴器イベントとして定着すると嬉しいですね。

 

 

私がメーカーに在籍していた時は、開催・出展する側の立場でしたが、今回は販売店側の立場。

各メーカーさんのセミナーや特別講師(ドクターなど)の講演をしっかり拝聴したいと思います。

本来は、すべてのメーカーさんのセミナー、講師による講演を隈なく出席したいのですが、スケジュールの関係上無理ですね。(笑)

 

 

全国の販売店で補聴器に従事する方、医療機関、介護関係者、そして関東近辺の一般の方とたくさんの人が来られるでしょう。

個人的には、以前、仕事でお世話になった、関西、中四国の販売店の社長さんもいらっしゃると思うので、お会いできたら嬉しいですね。

写真をたくさん撮って、週明けのブログでレポートしたいと思います。

 

 

 

 

 

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補聴器相談

2013-06-13 12:52:13 | ブログ

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昨日は、関西では35℃ちかくあったみたいですね~。

暑いのも堪えますが、湿度が高いと体力を奪われます。

自宅で除湿機を使っていますが、1~2時間程度でタンク一杯に水が溜まります。

「室内にこれだけ水分があるんだ。」と毎度驚かされます。

溜まった水を捨てるとき、「この水、何かに利用できないかな?」といつも考えてしまいます。

 

 

さて、今日は先ほどいらっしゃったお客様について・・・

半月ほど前、市のイベント会場にて、福岡の方の補聴器業者さんが催していた補聴器相談に参加。

きこえの測定、補聴器試聴、補聴器を使っての効果測定を行ってもらったようです。

補聴器購入を検討したが、来られた業者さんが自宅から遠いことから、その業者さんでの購入を断念。

ご自宅から通える範囲で、補聴器屋さんを探しているということでした。

 

 

 

実は、本日で3度目のご来店。

過去2回は、

 ・1回目・・・相談のみ(カタログとQ&Aをお渡し)

 ・2回目・・・聴力測定(弁別測定も含む)、測定後にきこえの状態をご説明。

 ・3回目(本日)・・・貸出試聴(何日かご自宅を含め、日常生活で試す。)

 

息子さんが同席され、メガネ兼業店さんも含め、どこがいいか検討されています。

いくつかの補聴器屋さん(メガネ店も含む)で補聴相談されているので、何度も聴力測定を実施。

しかし、弁別能(ことばのききとり測定)を行うと、この測定は兼業店さんでは行われなかったとか・・・。

測定後にすぐ、補聴器試聴という流れだったらしいです。

 

 

2回目の来店の際は、娘さんと3人で来店されました。

この時、ご家族にもお母様の聞こえの状態を理解していただくため、補聴器メーカーのソフトにある『難聴シミュレーター』を活用。

店頭のスピーカーから、健聴者のきこえとお母様のきこえ具合とを比較試聴していただきました。

 

健聴者のきこえ

 

お母様の実際のきこえ

 

 

 

この疑似体験は、ご本人にもご家族にも相当なインパクトがあったご様子。

息子さんは、「お母さん、こんなに聞こえてないんじゃ、まともに会話できるはずがない。」と言われていました。

 

 

本日3回目のご来店で、初めて補聴器を試聴、このまま数日間貸出となりました。

比較的弱めの設定でしたが、それでも補聴効果が出ていました。

店内でFMラジオをBGMで流しているのですが、

 「さっきから、ラジオ鳴ってたの?」

相談中は、説明の邪魔にならないようボリュームを小さくしています。

 「これ、聞こえてるの?」と息子さんもビックリ!

 

 

来週、再来店されることが決まっていますが、貸出試聴期間の判断に一言加えさせていただきました。

貸出期間中は、あくまで補聴器屋さんの経験上行われる初期フィッティング。

この間判断していただくことは、多少不具合や不快感があっても、今後調整してもらえれば、補聴器を使っていけるか?という点です。

本格調整は、補聴器購入後、ご本人が使われていく補聴器です。

貸出の補聴器の精度をいくら高めていっても仕方ありません。(と私は思っています。)

 

 

補聴器は、きこえを補ってくれる便利なものですが、お年を召した方にとっては面倒なお手入れがあるのも事実。

そういったトータルの部分をしっかり貸出期間で判断していただきたいです。

 

 

しかし、きこえを実感されて、お母様の表情にぱあっと笑顔が出たときは、こちらもうれしく感じました。

きっときこえの新しい世界が広がると思います。

 

 

 

 

 

本日は以上です。

 

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