原題は the glass castle、邦題では「〜の約束」が付されるが、この作品の父親は約束を守る意識がないのだ。
妻と子ども3人を抱える父は、夢追い人と言うには凶暴である。ただし凶暴性は外に向く、本人は白色人であるが人種差別に対しては、猛然と牙を剥く。
家族と1か所に定住する気はさらさらなく、母も子を放任するペインターである。
ただそんな父、子どもたちに夜空の星をひとつずつ選んで、プレゼントするようなロマンティストでもある。
次女は長じて、ニューヨークで人気コラムニストになるが、
セレブリティの仲間入りをしかけた時に、街角でゴミ捨て場を漁る父に遭遇する。
ついに声を掛けられなかったことが、心の呵責となるのだ。
だらだら書いたが、父を心底嫌っていたはずの次女が、最後は偽インテリの集いから外れ、社会に反駁する心を備えた独立した女性として生きて行く道を選ぶ、それこそまさに父からのDNA。