『5.5畳記』  鴨長葱 著

プチ世捨て人の痛い雑記by人生挫折オンリーの40代改めジジイ屁垂れフリーター

狂った!?子供向けアニメの元ネタ小説

2018-05-27 09:56:34 | 読書

  図書館でSF小説を借りて読みました。『バーサーカー:赤方偏移の仮面』(フレッド・セイバーへーゲン著、早川書房)という題名で、かなり古い短編小説です。因みにバーサーカーとは狂暴な人などを指す言葉で、北欧神話等に登場する狂ったように戦う戦士が語源らしいです。ドラクエのモンスターやFFの魔法、漫画の題名にもなっていますね。


  何故この小説を読んでみようと思ったかというと、ネットで「ザンボット3」というアニメの元ネタだと知って興味を持ったからです。ザンボット3は私が子供の頃に見ていたロボットアニメです。宇宙から突然侵略してきたガイゾックという敵とザンボット3というロボットに乗って戦う話なんですが、かなりエグい内容になっています。


  先ず、主人公達が一般民衆から非難され続け、投石を受けたりもします。何故かというと、戦闘で壊れた町が次回には直っていることはなく、民衆も焼け出されて難民になり、そうなった原因は主人公達にあると考えてしまうからです。3家族からなる主人公達は外見は普通の日本人ですが、実は大昔に地球にやってきたビアル星人という宇宙人で、故郷の星をガイゾックに滅ぼされています。民衆に彼らが宇宙人であることが知られ、ガイゾックが地球に現れたのは彼らが地球にいるからと思われています。そんなわけで、主人公で中学生の勝平は同級生から「私達を助けたいなら、早く地球から出て行って!」とまで言われる始末です。


  次に敵のガイゾックのとる作戦が子供向けアニメでは類を見ない程、極悪非道な作戦を仕掛けてくることです。有名な作戦では「人間爆弾」作戦があります。人間を誘拐して爆弾を体内に入れて記憶を消し、元の生活に戻し、体内の爆弾が時間が来ると爆発するという作戦です。勝平の同級生も人間爆弾にされるのですが、ビアル星の科学技術を持ってしても、爆弾を取り除くことは出来ず、なす術がありません。
  爆弾にされた人たちは他の人を爆発に巻き込まないように、人がいない所へ移動してい行きますが、その中にその同級生もしました。「人のいない所へいくよ。最期くらいカッコつけさせてくれよ。」と達観したように振る舞って去っていきましたが、歩いているさなかに死ぬことが怖くなって半狂乱になります。しかし無情にも時間が来て爆発していしまいます。それを見た勝平は何も出来ない自分に無力感を感じ、「ごめんよ。」と慟哭します。
  同級生が半狂乱になるシーンは強烈なのに覚えていないのですが、何故か爆弾になった人達が集団で夕焼けの中、荒野を歩いて行くシーンは覚えています。これから自分が爆発して死ぬことを分かっている人達が集団で歩いている状況に言い知れぬ陰惨さを感じたことが頭の中に残っています。
  1970年代のアニメですが、現在は中東等などでリアル人間爆弾が存在する始末ですね、汗。


  最後にラスボスと対峙するシーンですが、敵の母艦内に突入してラスボスと相まみえると、ラスボスは脳の形をしたコンピューターでした。それはガイゾック星人が作った悪意を持った生物を感知して滅ぼすコンピューターでした。
  ラスボスから自分の家族を犠牲にしてまで何故地球人を守るのだ、いままで散々迫害されてきたじゃないか、というようなことを問われるのですが、勝平はみんないい人達だ、みたいなことを言うのが精一杯で、明確には論破出来ませんでした。自分達が命がけでやってきたことが完全否定されるという展開です。結局はラスボスは撃破して、地球に戻るのですが、その時の勝平が「俺たちはつまらないことなんかしなかったよな。」とつぶやきます。


  分かり易い勧善懲悪とは違ったストーリーですが、子供の自分には分からなかったですね。まあ、全話見たかも記憶は定かではないのですが…、汗。ストーリーの意味については高校生くらいにならないと理解出来ないような気がします。子供時代も大人になってからも2度楽しめるおいしい作品という見方も出来るかもしれません。


  エグい内容を3本立てで紹介したのは、「怒り新党」でザンボット3が紹介されたことに倣っています、汗。毒舌のマツコや有吉も突っ込まずに引いていましたね。まあ、最後の善悪逆転に関しては、悪意を持った生物を滅ぼすコンピューターを作ったガイゾック星人自体も悪意の生物だろ!!と突っ込めるとは思いますが…。「欧米か!」(特に世界の警察だった米(過去形!?):死語)とも「宇宙の警察(宇宙刑事!?)か!」とも突っ込めるかもしれせん、汗。あと、ラストシーンは、とある海辺になんとか脱出して気を失っている勝平のもとに迫害から一転して祝福しに民衆が掛けつけて、その民衆の中で、同級生の女の子の膝枕の上で、勝平が目覚めるところで終わるのですが、これは漫画版の「GANTZ」のラストシーンでオマージュされているようです。


  小説の話からかなり逸脱してしまいました、汗。まあ内容は普通の娯楽小説でしたね。遥か遠い昔に、とある宇宙人が外敵を滅ぼすために知的生命体を感知するとそれを滅ぼすコンピューターを作って、その宇宙人も滅んでコンピューターだけが宇宙に彷徨していたのだが、地球人を発見してしまい、戦いが始まり、地球人がそのコンピューターをバーサーカーと名付けたという設定です。この設定をちょっといじって使ったようですね。


  普段、読書については小説を含めてフィクション物は読む習慣が無いので、短編を数話読んでやめてしまいました。小説は心理描写が多い恋愛小説や独白調の小説などは読み応えがあると思いますが、アクションシーンが多いSF物なんかは、アニメ・漫画・映画で育った私にとっては、小説なんかは蛋白な感じがして、アニメ等程楽しむことがなかなか出来ません。過去に「椿姫」(恋愛小説)、「吾輩は猫である」(独白調の小説)なんかを読みましたが、古い小説ではありますが、面白かったですね。






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