コロナで外出自粛要請があった頃は図書館も行かないようにしていましたが、要請が無くなってからはちょくちょく行くようになりました。今回は
タイのお寺についての本を見つけたので、借りて読んでみました。
内容としては人類学者が自分探し的な目的で一時出家するお話です。出家生活するお寺はタイの王族も出家生活をする格式高いお寺ですが、そこのお坊さんの会話は雑談ばかりで、仏教についての議論などまるっきりなくて失望したと書かれていました。一般人も一時出家するのがタイの通過儀礼らしいですが、一般人はそれで満足して、一時出家後も仏教への理解を深めたいと考える人は少数派のようです。
一番印象に残ったのは、俗物そのものに私個人の目に映った高僧が格式高いお寺にいることです。チャオクン(役職名)というのが著者の指導をする高僧ですが、一般人の自宅で歓待したい(ニーモン)という申し出で、上司も同伴することに露骨に嫌な顔するとか、一般人以上に俗っぽい反応ですね。それ以外にも著者が今まで一緒の部屋で生活していたのを、著者用の部屋が準備出来たのでそこに移りたいというと、1週間位口を聞いてもらえなかったかったとかのエピソードもありました。
煩悩塗れの俗世間から離れたくて出家した人にとっては、お寺も煩悩塗れで人間関係にも神経を使わないといけないということになったら、何のために出家したのか、ということにもなりかねませんね。逆にここに書かれているソムデットという高僧は真逆で、いつでも冷静で立派なお坊さんのイメージそのものといった感じでしたが。
その他に印象に残ったことは、タイ人はピィーという悪霊を恐れているとか、占いで人生を決めるとか、反日運動(1976年出版、今回読んだのは2021年に再出版した本)があったということですね。私の記憶ではお釈迦様は占いを禁止されていたと思いますが…。本の内容は人間模様が中心で教義や修行方法は記載は殆どありませんでしたが、いずれにしてもタイ仏教の実態の一端を知れたことは良かったです。