今、外に新聞を取りに出たら…
「あっ。冬のにおいだ」
空気が昨日までとは違います。
このにおいをかぐと、いっつも
学生時代少し長くいた北のカナダの風景や懐かしい人の顔が浮かびます。
においは不思議です・・・。
したのやムラはどんなにおいだったのかな?
森の木々のにおい?動物の脂のにおい?「ひーお」の焚く火のにおい?
知ることができたらどんなにいいでしょう。そうしたら、もっと彼らに近づけるのに。
さて、前回は、縄文土器に模様をつける縄を使ったブースをご紹介しました。
今回は、その縄のもと「糸づくり」のブースをご紹介。
下野谷遺跡公園の一番南には「からむし」という草が植わっています。
一見野草のようですが、福島県の昭和村から株分けしていただいた、
貴重な草です。
イラクサ科の一種で「苧麻(ちょま)」や「青苧(あおそ)」ともいいます。
この草からはとても強い繊維がとれ、
縄文時代にも使われていたと考えられちます。
また、今でも、越後上布などの糸として珍重されています。
この草については、長くなるので、また別にお話しましょう。
さて、この草を、遺跡公園に植える時から大切に見守っているのが
縄文サークル・したのやのみなさん。
公民館の縄文講座から始まったサークルで、結成4年にもなります。
いつも、下野谷遺跡や下野谷遺跡公園を盛りたててくれる強力な味方です。
今年は、「からむしで糸づくり」で参加。
かりとった「からむし」の皮から繊維をとります。
特別な道具を使って、皮から繊維をとることを「おひき」といいます。
今回は、ケーキ作り用のカッターで代用。
沖縄ではミミガイというは貝を使います。
縄文時代はどうだろう?
サークルの机にはいろいろなものが。
クリックして大きくして見てね。
しゅろの葉っぱでつくったかご(緑色の)。
自作の土笛(吹いてみることができました)。
かごに入っているトチやクリは今年、縄文の森でとれたものです。
作った糸やどんぐり、貝などを使って、素敵なストラップづくりも。
完成品はこんな封筒に入れてくれました。
からむしの葉っぱに一枚一枚墨をつけて押した手作り品。
細やかな心配りはさすが!
これからも、下野谷遺跡をずっと盛りたててくださいね。
お昼ごはんも食べられなかったとか。
縄文サークル・したのやのみなさん、本当にお疲れさまでした。
民具展示の準備の息抜きにお祭りの報告書いてます。
台風も遠ざかったようなので、明日は洗濯やら掃除やら、家事日和かな?
今日中に、いろいろ片付けよう!
(と書いているうちに日付変更!夜中だよ。)
さて、東伏見坂上自治会のもう一つのコーナーは
『縄文土器の模様って?』でした。
縄文土器は「縄」で模様をつけることが多いので「縄文」土器といいます。
この模様づけの縄を「縄文原体」とよび、山内清男氏らの研究により、
本当に、たくさんの種類があることが解明されてきたことは、
報告②の凧男さんへのリコメントでも書きました。
縄文人の感性と工夫には、心から脱帽です。
で、それを利用して素敵なミサンガを作っちゃおう!というのがこのコーナー。
ちょっとわかりづらいかもしれません。
写真をクリックして大きくして見てください。
より合わせる糸を準備中。
手前のテンバコ(灰色の箱)のなかの緑色のものは粘土。
土器の模様のつけ方の見本を展示します。
こちらが完成品。
左側が、縄文時代中期の土器によく見られる模様をつけるための
「原体」を使って作ったミサンガです。
お願い事をして腕につけよう!
右側は、ちょっと、おしゃれな特別品。
西東京市 自然を見つめる会のTさんが穴をあけて用意してくれた
ムクロジの実(はねつきのはねの先の黒い部分)を使って、
自治会のYちゃんが、かめしーたに作ってくれました。
うれしい!ありがとう、大切にするね!
遺跡を護る一番の力は地元の理解と協力です。
そんな意味では絶大な力の協力者が昨年からお祭りに参加!
東伏見坂上自治会、 したのやムラ のある地域に住む皆さんです。
彼らのブースは
『どんぐりで遊ぼう』と『縄文土器の模様って?』。
さてさて、どんなコーナーでしょう?
まずは『どんぐりで遊ぼう』から。
材料は、「しーた」と「のーや」も大好きなどんぐりや松ぼっくり。
発砲スチロールにささっているのが、みんなが絵具で模様づけした「マテバシイ」。
松ぼっくりは西東京市自然を見つめる会の方が、当日届けてくれました。
こんな風に模様づけ。
じゃんけんに勝つと特別などんぐりがもらえるよ。
「しーた」や「のーや」のように食べてもいいけど
(ただし、マテバシイは、当時の東日本ではあまり多くはありませんでした)、
ちょっともったいないから、ペンダントやストラップにしてね!
台風14号が来ているので、今日は1日雨とか。
来週3日は『民具展示』。台風のあとの秋晴れ予報信じてます。
さて、お祭りの続きです。
早稲田大学には、考古学研究室以外にもう一つ、
考古学好きの学生の集まっているところがあります。
それが、早稲田大学考古学研究会=考研です。
こちらは学生サークルで、会員の学部もいろいろ、他大学の学生もいます。
学生サークルですが、多くの考古学研究者を輩出してきた、歴史あるサークルです。
今回のお祭りでは、こちらの学生さんも大活躍!
昨年に引き続き『勾玉づくり』ブースを開いてくれました。
勾玉ブースは大人気。
受付で、勾玉キットをもらい、お姉さん、お兄さんに作り方をならいます。
こちらが『勾玉キット』。
手作りの『勾玉読本』つき。
縄文時代には、ヒスイなどの堅い石も使いますが、
今回は柔らかい「ろうせき」(昔、道路に絵を描いて遊びませんでしたか?)
を使っていました。
削る道具も、縄文時代は石の道具でしたが、今回は紙やすり。
こんな、紙芝居風屋さんふうの説明をきいて
(考研のみんなの似顔絵つき。似てる!!)
勾玉づくり開始!
みんな一生懸命。
完成した勾玉を首から下げて、さあ!次のブースに行こう!
考研のみなさん、お疲れさま!
会場には、後輩の活躍を聞きつけた、地元に住む大大先輩達も訪れ、
歴史あるサークルのあったかい絆を感じました。
ところで、どこでも、大人気の勾玉ですが、
あの、くにゅっとした形は、まだ縄文時代には、あまりありません。
下野谷遺跡でも、ペンダントトップと考えられる石の玉が見つかっていますが、
形はイノシシの牙にそっくりです。
「したのやムラ」の狩りのリーダー「ぎん」がつけている
獲物のイノシシの牙のお守りに似せて作ったのかも。
©S.Takishima2007