おはようございます。
12月もあっという間に1週間が過ぎてしましました。
ほんとうに、師走・・・。
「忙」しさに「心亡」くさないように・・・。
さて、そんな時には心落ち着く手仕事を!
今年も、伊勢型紙教室の開催です。
本来は、小紋などの柄を染めるための型紙である「伊勢型紙」。
伊勢地方などに職人が多くいたのでこう呼ばれています。
和紙に柿渋を塗った紙を、鋭い小刀で彫っていきます。
小さな〇や花弁等が連続する精緻な模様が彫りだされます。
西東京市郷土資料室では、その技を応用して、
ここ数年、年賀状の型紙づくりの教室を行っています。
今年は午年。
先生が彫ってきてくださった、デザインの型紙。
ちょっと薄い色の紙は、工場で作られた柿渋紙代わりの製品。
最近は、こちらの方が多く出回っていますが、
先生のご厚意で、教室では、昔ながらの柿渋紙を使わせていただきました。
講師は、西東京市内在住の、南部俊彦さん。
今では本当に数少ない型紙彫り職人さんのお一人です。
型紙を補修したり、細かな模様を補正したりするのに必要な、
漆で紗と言われる絹糸を貼り込む技もお持ちです。
そういった技をもつ職人さんは、
今では本場伊勢でも1、2人しかいらっしゃらないとか。
お持ちいただいた小刀の数々。
彫り込む模様によって様々手作りしたもの。
刃先に挟んだ小さな小さな柿渋紙。
この厚さで、彫り込む線の幅を微妙に調整しています。
「道具を作れなければ、刃を砥ぎ治せなければ、職人はできません」
でも、今では、そういった技もなくなってしまいそうだとか・・・。
素人の私たちは、デザインカッターで、
好きな絵柄を先生に墨で写してもらって彫りぬきます。
細かな仕事に集中すると、頭も心もまっさらになるよう。
慌ただしすぎる日常から、ちょっと離れるこの時間。
必要なのかもしれません。
もちろん、仕事として型紙を彫る職人さんたちは、
そんなのんびりしたものではありません。
1日10時間以上も、小さな机の前に座り、
ひたすら細かな作業を続けることもざらだったそう。
しかし今では、パソコンなどで型紙が切りだされ、安価にできるため、
仕事は本当に少なく、
また、後継者もいないそう。
「仕事をしていく中で技を覚え、技も磨かれるもの。その仕事がないのでは・・」
保存会などが伝統の保持に努めていますが、
それでは、本来の技の継承にはならないのかも・・・。
コンピューターが切りぬく線はどこまでもまっすぐで揺るぎない。
人が彫る線は、どんなに精緻でも、どこかに揺るぎや間ができる。
そんな揺るぎや間のない日常に、私たちはどこか疲れてしまって、
本当はそんな揺るぎや間をもとめているのではないでしょうか。
けれど・・・。
さて、完成した型紙に水彩絵の具で色つけすれば、
ほら!
こんな素敵な年賀状の完成です。
左は、小学生の女の子の作品。かわいいでしょ?
柿渋紙は、本来染物の型紙。
水洗いすれば何度でも使えます。
一枚の型紙で、いろいろな色のバリエーションも楽しめます。
教室が終わって外に出れば、
田無タワーに三日月・金星のランデブー。
伝統技術の継承の難しさを考えさえられながらも、
心がちょっと安らいだ素敵な1日でした。