■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■4月月例ネット句会/入賞発表■

2021-04-12 12:44:17 | 日記
■4月月例ネット句会/入賞発表■
■2021年4月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年4月11日
【金賞】
13.桜咲く中へ噴水あがりけり/多田有花
桜と水の潔さを強く感じさせる句。桜、噴水と季語が重なるが、主題は桜。都会的な桜の風景が新鮮に詠まれている。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
39.桜鯛うろこ浴びつつ捌きけり/柳原美知子
桜鯛は、3月~6月ころ鯛は産卵をひかえ内湾の浅瀬にくる鯛は鱗が桜色に染まるのでそう呼び、美味である。季節をたのしむ日本の食に、桜鯛があることはうれしいこと。鯛の鱗は固く、鱗をとるときには、鱗が顔に飛び散ることもある。「うろこ浴びつつ」であるが、それは生きの良さであり、桜の季節の心の華やぎでもあるのだ。(髙橋正子)

08.さらさらと音させ春の種を蒔く/古田敬二
春の種を蒔くのだが、蒔く手から離れるときさらさらと音がする。春の光りと混じりあった小さな種の音が快い。「種蒔く」は、春の季語で、籾種を蒔くこと。蔬菜や花の種を蒔くときは、物種蒔く、花種蒔くとするのが普通だが、「春の種」として、新しい感覚を呼び起こした意味がある。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
24.大阪の港を跨いで春の虹/高橋秀之
大きく捉えたられた港の景色。大阪の港の空を跨いで春の虹がかかった。それをずばり、そのままを詠んで大らかな春の虹となった。(髙橋正子)

28.初めての教科書匂う花曇/西村友宏
桜が咲いているが、どんよりした空は冷え冷えとして、気分が重くなるような日、つまり花曇の日。こんな日は嗅覚が敏感になるのか、真新しい教
科書はインクの匂いがした。花曇が感覚的にとらえられている。(髙橋正子)

33.瓶立ての花一輪は透き通る/髙橋句美子
瓶に立てた桜の花の一輪。見る向きによって一輪が透き通っている。それだけのことだが、精神がきりっとしている。瓶の色は桜と合う昏めの透明な青い色か。静物画の小品のような一句。(髙橋正子)

【高橋信之特選/7句】
28.初めての教科書匂う花曇/西村友宏
新しき教科書はどことなくインクの匂い漂う、まさに気分を新鮮にさせてくれるものを持っています。花曇りと相まって、4月初旬の新入生の雰囲気がありありと浮かんできます。 (高橋秀之)

39.桜鯛うろこ浴びつつ捌きけり/柳原美知子
真鯛は春の桜の咲く頃は、産卵のために内海に入って来ます。その時季の雄には腹回りが桜色に染まります。ピンク、青、白の混ざったうろこを浴びながら捌く心弾む作業です。(桑本栄太郎)

18.自転車は花のトンネル押してゆく/祝恵子
満開の桜の並木路を自転車に乗ったまま通り過ぎるのは、もったいないですね。ゆっくりと押して短く美しい桜の季節を味わいたいものです。 (柳原美知子)

32.桜散り若葉明るく一本道/髙橋句美子
桜が咲き始めると落葉樹の芽吹きも始まります。そして桜が散るころには若葉となってまばゆい緑が広がります。桜のころとはまた一味違う明るい一本道の姿です。 (多田有花)

13.桜咲く中へ噴水あがりけり/多田有花
24.大阪の港を跨いで春の虹/高橋秀之
33.瓶立ての花一輪は透き通る/髙橋句美子

【高橋正子選/7句】
08.さらさらと音させ春の種を蒔く/古田敬二
心地よい春の日差しの中、春撒きの野菜の種を軽快に畝にまかれている姿が眼に浮かぶようです。日々の生長が楽しみですね。(柳原美知子)

37.谷底まで花爛漫の峠ごえ/柳原美知子
桜が咲きそろった峠を越えていかれました。深い谷の下までいっせいに咲きそろった桜に彩られています。なんと贅沢なひと時でしょうか。 (多田有花)

13.桜咲く中へ噴水あがりけり/多田有花
24.大阪の港を跨いで春の虹/高橋秀之
28.初めての教科書匂う花曇/西村友宏
32.桜散り若葉明るく一本道/髙橋句美子
39.桜鯛うろこ浴びつつ捌きけり/柳原美知子

【入選/17句】
01.客待ちの舟遊ばせている春の潮/吉田 晃
遊覧船か、あるいはボートかいずれにしても波静かな入り江です。日差しも風もやわらかく、客の姿は無くてもそれもまたよしの風情です。 (多田有花)

05.散る花の一つだに無き山上湖/小口泰與
桜が満開の頂点にあって山上湖を囲んでいます。すぐにその緊張が破れて花が舞い始めるのですが、その一瞬の貴重な瞬間をとどめておられます。 (多田有花)

12.御衣黄の浅黄咲き初む花の冷え/桑本栄太郎
桜の咲く花時は陽気が変わりやすく、薄ら寒さが訪れる事がある。御衣黄桜は淡い緑色、やがて花びらは赤く染まって行くその変化を的確に詠った素敵な句ですね。(小口泰與)

29.自転車のサドルを高く春の道/西村友宏
春を喜ぶ作者の気持ちが、サドルを高くに表現されている。背が高ければ当然サドルの位置も高くなるが、このサドルの高さは作者の心の位置であり作者の笑顔が想像されます。(吉田晃)

30.夕支度きらりと光る春大根/西村友宏
夕方、食事の支度を始めて、材料を色々取り出して並べる中に、春大根が白く光った。日常のさりげない光景だが春大根の光をうまく捉えた。 (廣田洋一)

31.木の芽摘む葉うら葉おもて濃い緑/髙橋句美子
木の芽が芽吹き、いつの間にか濃い緑になって、手の中にある感動が伝わってきます。口調もよく、みずみずしい生命力が感じられます。 (柳原美知子)

34.さくらさくらさくら人なき公園/川名ますみ
公園の桜が満開になっています。けれど公園に人影はありません。もったいないような光景です。このままとどめておきたい、と思いますが移ろっていくからまたいいのですね。 (多田有花)

35.その先のひかりを透かす花曇/川名ますみ
花曇の空にも透けてみえるひかりには、ほのかな香りや華やぎが感じられ、心がやすらぐようです。 (柳原美知子)

38.行く先を落花つぎつぎ染めゆける/柳原美知子
落花を浴びながらの花見、今年もいい花見ができましたね。 (祝恵子)

03.葉桜になりゆく日々の美しき/吉田晃
04.里山の錆びた改札桃の花/小口泰與
07.御嶽の遠くにかすんで桜咲く/古田敬二
11.見上ぐれば青空透かし花万朶/桑本栄太郎
14.山々の躍動はるか木の芽晴/多田有花
16.土を替え肥料を加え春の苗/祝恵子
20.八重桜川面に向かひ枝垂れけり/廣田洋一
36.春陰に小動物を照らす小屋/川名ますみ

■選者詠/高橋信之
25.卓上にいろいろあれどチューリップ
卓上にある一本のチューリップの存在感。お宅に咲いたものなのでしょう。春の明るさと愛おしさを感じさせてくれます。 (柳原美知子)

26.辞書開くことも明るく春の朝
27.赤きばら一輪立てて朝の卓

■選者詠/高橋正子
40.ふりあおぐ空に囀り雲もなし
雲一つない爽やかな春の空に、囀りが加わることで、美しい光景が際立ちます。気持ちのいい作者の心境も伝わってきます。(西村友宏)

42.野蒜咲く川の光を花に得て
川のきらきらした光を浴びた野蒜の生命力を感じます。 (髙橋句美子)

41.八重桜幼な木ながら花ゆたか

■互選高点句
●最高点(5点)
24.大阪の港を跨いで春の虹/高橋秀之
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10 コメント

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コメント (柳原美知子)
2021-04-13 00:30:11
18.自転車は花のトンネル押してゆく/祝恵子
満開の桜の並木路を自転車に乗ったまま通り過ぎるのは、もったいないですね。ゆっくりと押して短く美しい桜の季節を味わいたいものです。

31.木の芽摘む葉うら葉おもて濃い緑/髙橋句美子
木の芽が芽吹き、いつの間にか濃い緑になって、手の中にある感動が伝わってきます。口調もよく、みずみずしい生命力が感じられます。

35.その先のひかりを透かす花曇/川名ますみ
花曇の空にも透けてみえるひかりには、ほのかな香りや華やぎが感じられ、心がやすらぐようです。

25.卓上にいろいろあれどチューリップ/高橋信之
卓上にある一本のチューリップの存在感。
お宅に咲いたものなのでしょう。春の明るさと愛おしさを感じさせてくれます。
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コメント (多田有花)
2021-04-13 11:17:06
32.桜散り若葉明るく一本道/髙橋句美子
桜が咲き始めると落葉樹の芽吹きも始まります。
そして桜が散るころには若葉となってまばゆい緑が広がります。
桜のころとはまた一味違う明るい一本道の姿です。

37.谷底まで花爛漫の峠ごえ/柳原美知子
桜が咲きそろった峠を越えていかれました。
深い谷の下までいっせいに咲きそろった桜に彩られています。
なんと贅沢なひと時でしょうか。

01.客待ちの舟遊ばせている春の潮
遊覧船か、あるいはボートかいずれにしても波静かな入り江です。
日差しも風もやわらかく、客の姿は無くてもそれもまたよしの風情です。

34.さくらさくらさくら人なき公園/川名ますみ
公園の桜が満開になっています。けれど公園に人影はありません。
もったいないような光景です。
このままとどめておきたい、と思いますが移ろっていくからまたいいのですね。
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御礼 (桑本栄太郎)
2021-04-14 17:32:52
高橋信之先生、正子先生
四月花冠月例ネット句会を開催頂きまして、大変有難う御座います!!。そして「花の冷え」「花万朶」の二句を入選17句にお選び頂き、大変ありがとうございました。
又小口様には「花の冷え」の句をお選び頂き、嬉しいコメントも頂戴しまして大変有難う御座います!!。
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お礼 (祝恵子)
2021-04-14 21:12:47
高橋信之先生、正子先生、4月月例ネット句会の開催をありがとうございました。
信之先生の特選に「花のトンネル」入選に「春の苗」をお取りいただきましてありがとうございました。
「春の苗」に選句いただきました吉田晃様ありがとうございました。
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お礼 (祝恵子)
2021-04-14 21:19:24
柳原美知子様、嬉しいコメントを添えていただき、ありがとうございました。
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御礼 (小口泰與)
2021-04-15 10:02:14
高橋信之先生、正子先生
4月月例ネット句会を開催していただき有難う御座いました。
「桃の花」と「散る花」の句を入選句にお取り上げ頂き有難う御座いました。
多田有花様には「散る花」の句に素晴らしいコメントを頂き有難う御座いました。
高橋秀之様には「桃の花」の句に選をいただき有難う御座いました。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
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お礼 (多田有花)
2021-04-15 11:15:11
信之先生、正子先生
花冠4月月例句会を開催いただきありがとうございます。
「桜咲く中へ噴水あがりけり」 を金賞にお選びいただきありがとうございました。
兵庫県立フラワーセンターでの光景です。
桑本栄太郎さま、柳原美知子さま、選をいただきありがとうございます。

さらに「山々の躍動はるか木の芽晴」を入選句にお選びいただきありがとうございました。
近隣の山々はヤマザクラの時期が終わると一斉に広葉樹が芽吹きます。
廣田洋一さま、小口泰與さま、選をいただきありがとうございます。
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お礼 (柳原美知子)
2021-04-16 12:01:11
信之先生、正子先生、4月月例句会を開催いただき、ありがとうございました。
「桜鯛」の句を銀賞にお選びいただき、正子先生の丁寧なご句評を賜り、大変嬉しく感謝申しあげます。桜鯛が身近にあり、旬の海の幸として味わえるのはありがたいことです。こぶりの鯛でしたが、四苦八苦して捌いたことでした。
「花爛漫」の句にも正子先生の特選、「落花」の句も入選にお加えいただき、ありがとうございました。
桑本栄太郎様、祝恵子様、多田有花様には
温かいコメントをお寄せいただきありがとうございました。
髙橋句美子様、西村友宏様、廣田洋一様には選をいただき、ありがとうございました。
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お礼 (高橋秀之)
2021-04-18 23:13:08
高橋信之先生
高橋正子先生

4月月例句会を開催いただき、ありがとうございました。
また、今回は「大阪の港を跨いで春の虹」の句を銅賞にお選びいただきありがとうございます。
くっきりと見える大きな虹でした。

同句に選をいただきました廣田洋一さま、小口泰與さま、祝恵子さま、ありがとうございました。

※体調不良によりお礼が遅れました。申し訳ありませんでした。(現在は、回復しております。)
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お礼 (川名ますみ)
2021-06-06 21:23:00
信之先生、正子先生、4月月例句会を開催頂き、参加させて頂きまして、ありがとうございました。
拙句三句に入選を賜り、とても嬉しく存じます。有花さまには「さくら」の句にご共感を、美知子さまには「花曇」の句に優しいコメントを、秀之さまには「春陰」の句に選を頂きまして、感謝いたします。
正子先生の「初心忘るべからず」とのお言葉、身に沁みました。精進いたします。
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