■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

10月月例ネット句会/入賞発表

2019-10-13 22:49:41 | 日記

■2019年10月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年10月14日

【金賞】
07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ/多田有花
夏の間、巣を作り、子育てに忙しかった燕も秋には、大海をわたり南へと旅立つ。旅立ちの前に、集まり群れ飛ぶ姿が、朝の光に眩しい。間もなく去ってゆくことを思うと淋しい。(高橋正子)

【銀賞/2句】
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
秋の日和に外を歩くと、咲き乱れる花が触れてくる。触れられれば、また、花に触れてみる。花々のやさしい触感が身に伝わる。花に触れられ、触れる優しい時間だ。(高橋正子)

25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ
鉢植えのコスモスに、水を一杯、まるで、人に飲ませるように、さらりと移した。「さらりと」が、さわやかで、優しい。コスモスの花がうれしくて揺れ出しそうだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
13.稲刈機規則正しき音一日/柳原美知子
稲刈機の規則正しい音が休みなく聞こえ、稲は刈り取られて刈田となってゆく。稲刈機の確かな音に豊かな稔りが重なる。(高橋正子)

16.虫の音が夜風と共に流れくる/高橋秀之
日ごと細くなる虫の声。涼しい夜風にのって、窓から聞こえてくるのだ。夜風に乗てくる虫の綴れる声がさびしさを誘う。(高橋正子)

21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
野分が塵をすっかり払い、富士山は青々として聳えている。長く裾を引く富士の優美な姿をあらためて、日本一の山と思う。私は、四国に住んでいた頃、富士山を日頃見ている人たちは富士山は彼らにどのように思える山なのであろうかと、妙な疑問をもったが、少し、疑問がとけたように思えた。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
秋の快晴の日は空気が澄み渡って、天高くピクニックや遠足に最適で、コスモス畑でしょうか、その畑の中をコスモスに触れられ触れて歩く素敵な景ですね。(小口泰與)

07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ/多田有花
燕が飛ぶ綺麗な光景が目に浮かびます。(西村友宏)

16.虫の音が夜風と共に流れくる/高橋秀之
夜風にもやや寒さを覚えるころになり、虫の音を楽しめるのも後わずか。秋の深まりを感じ、その秋を愛でておられる様子が伝わってきます。(多田有花)

31.太鼓の音を空へ響かせ子供神輿/高橋正子
秋晴れの抜けるような青空へ響く太鼓の音、子供神輿の元気のよい掛け声、秋祭りならではの爽やかな心和む光景ですね。(柳原美知子)

15.拾いたての栗山の気配をいただきぬ/柳原美知子
21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ

【高橋正子特選/7句】
13.稲刈機規則正しき音一日/柳原美知子
黄金に稔った稲田が次々と刈田へと姿を変えていきます。その中で一日中響いている稲刈機の音。現代的な稲刈り風景がそこにあります。 (多田有花)

04.山柿へ山の光の重なれり/小口泰與
柿のつやつやした表面に光が重なる様子がきれいです。 (高橋句美子)

07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ/多田有花
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
16.虫の音が夜風と共に流れくる/高橋秀之
21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ

【入選13句】
24.帰郷バス降車ボタンに秋夕焼/西村友宏
久しぶりの帰郷でしょうか。夕焼けてゆく中の降車ボタン、待ち人達の姿が見えてくるようです。 (祝恵子)

35.朝寒の早起きすれば太陽眩し/高橋句美子
秋になり日の出も遅くなってきましたが、それでも朝日の眩しさを感じるためには早起きが必要である。そして、早起きしてみる太陽の眩しさ爽やかな一日の始まりでもあります。 (高橋秀之)

27.幼名で耳澄まし待つ大颱風/川名ますみ
大型颱風の予報に、子供の頃の怖かったり、どきどきした記憶が呼び覚まされます。刻々と変わる風雨の音にも耳を澄まし待つ緊張感がうかがえます。 (柳原美知子)

09.秋晴れを眺めつついるベッドかな/多田有花
病院のベッドであろう。秋晴れを眺めつつ、その秋晴れの下へ外出したいという思いが伝わってきます。 (高橋秀之)

11.招き猫の切手貼り付け秋便り/祝恵子
切手の図柄が招き猫なんでしょう。その縁起よさげな切手を貼りつけての秋便りは、先方への温かい思いが詰まっていそうです。 (高橋秀之)

12.萩咲けり仏日和の寺の庭/祝恵子
「仏日和」というのが秋晴れの日のお寺の庭を象徴しています。柔和な仏像の笑みのような穏やかな日和、お参りしたお寺の庭には萩が咲きそろっていました。(多田有花)

26.列車の響き次第に減りて颱風来/川名ますみ
最近では、台風の襲来に備えてあらかじめ計画運休する交通機関が増えています。台風19号に備え、首都圏でも電車が次々運休していったのでしょう。それを敏感な耳でとらえておられます。(多田有花)

02.溝蕎麦や細川(ほぞ)を流るる水の音/桑本栄太郎
澄んだ細川の水音もやさしく、秋光にきらめく雫を帯びた溝蕎麦の可憐さが眼に浮かぶようです。(柳原美知子)

08.点滴の始まりを待つ秋の朝/多田有花
14.朝空へ畦を描ける曼珠沙華/柳原美知子
22.見送りし列車のドアに赤蜻蛉/西村友宏
34.秋晴れの光眩しくガラス窓/高橋句美子
35.朝寒の早起きすれば太陽眩し/ 高橋句美子



■選者詠/高橋信之
30.今日をたのしみに秋刀魚焼く匂い
今日一日のたのしみを思われる生活、季節のたのしみを思われ、秋刀魚を焼く匂いに満足感を覚えられる充実したお暮しぶりに心惹かれます。(柳原美知子)

28.さわやかな今日の始まる朝日の部屋
29.卓上の薄が風もなく揺れる

■選者詠/高橋正子
32.子供神輿小さき街の街筋を
子供神輿は、色々と支援してくれる家を回る。故に小さき街の街筋を、と言う12文字が良く実態を表しているのが上手い。 (廣田洋一)

31.太鼓の音を空へ響かせ子供神輿
33.台風の風雨の音に林檎剥く

■互選高点句
●最高点(同点3句/4点)
10.秋日和花に触れられ触れてゆく/祝恵子
21.富士山の青々そびゆ野分あと/廣田洋一
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに/川名ますみ

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
コメント (7)
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■10月月例ネット句清記

2019-10-13 17:03:36 | 日記

■10月月例ネット句清記
2019年10月13日
12 名36句

01.赤き実の屋根に垂れ居りからす瓜
02.溝蕎麦や細川(ほぞ)を流るる水の音
03.吟行の月の名残りや御所の庭
04.山柿へ山の光の重なれり
05.谷川の水押す風や秋の湖
06.桔梗やゲイトボールの打球音
07.秋燕や朝の光に群れて飛ぶ
08.点滴の始まりを待つ秋の朝
09.秋晴れを眺めつついるベッドかな
10.秋日和花に触れられ触れてゆく

11.招き猫の切手貼り付け秋便り
12.萩咲けり仏日和の寺の庭
13.稲刈機規則正しき音一日
14.朝空へ畦を描ける曼珠沙華
15.拾いたての栗山の気配をいただきぬ
16.虫の音が夜風と共に流れくる
17.秋晴れに神戸の海は煌めいて
18.朝晩は涼しくなりて黄葉す
19.底紅や女子高生の笑ひ声
20.このところジムに来ぬ人秋の風

21.富士山の青々そびゆ野分あと
22.見送りし列車のドアに赤蜻蛉
23.部屋干しの服連なりて台風来る
24.帰郷バス降車ボタンに秋夕焼
25.水一杯さらりと鉢のコスモスに
26.列車の響き次第に減りて颱風来
27.幼名で耳澄まし待つ大颱風
28.さわやかな今日の始まる朝日の部屋
29.卓上の薄が風もなく揺れる
30.今日をたのしみに秋刀魚焼く匂い

31.太鼓の音を空へ響かせ子供神輿
32.子供神輿小さき街の街筋を
33.台風の風雨の音に林檎剥く
34.秋晴れの光眩しくガラス窓
35.朝寒の早起きすれば太陽眩し
36.昼休みの鞄を重く栗蒸し羊羹

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。
コメント (8)
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●10月月例ネット句会ご案内●

2019-10-07 13:03:45 | 日記

●10月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2019年10月7日(月)午前6時~2019年10月13日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月13日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月14日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、10月14日(月)正午~10月17日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
コメント (14)
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