■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■第19回(忘年)フェイスブック句会入賞発表■

2012-12-09 09:27:51 | 日記
■入賞発表/2012年12月9日■

【金賞】
★背丈ほどの鍬振り上げて冬耕す/井上治代
鍬を使うは、大変な力仕事である。自分の背丈と同じほどの鍬を振上げ、よろめかぬように、力一杯振り下ろす。冬耕の土に向けた力が快い。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★冷ゆること云いつつ和尚袈裟を着る/祝 恵子
仏事のある日は、冷えることが多いと私は経験している。「冷ゆること」を言いつつも和尚が、おもむろに、しかも淡々と袈裟を着る。和尚の泰然とした態度にユーモアさえ感じる。(高橋正子)

★初霜の大地へざくりと杭を打つ/古田敬二
初霜に強張った大地に杭を打ち込む。「ざくり」が人間の力強さ、また迫力をよく表わしている。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★みどり濃く水仙の芽の伸び出せり/藤田洋子
芽を出すものはみんな可愛いが、水仙は「みどり濃く」芽を伸ばし始めた。真冬の花の水仙らしく、濃いみどりが生き生きとして、幸先のよさを感じる。(高橋正子)

★過ぎた日を明るく語る年の暮/迫田和代
過ぎた日を明るく語れる年の暮は、すばらしく良いことだと思う。みんな、笑って、楽しく語り合う年の暮にしたいもの。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★冷ゆること云いつつ和尚袈裟を着る/祝 恵子
家での法要の席でしょうか?親戚縁者一同に揃い、おもむろに和尚が袈裟に着替えこれから始まりです。田舎では冬の寒い時季に法要が行われることが多く、同じような情景を何度も経験しました。(桑本 栄太郎)

★空青く冬紅葉みな眩しさに/川名ますみ
冬の青い空が紅葉の紅さを引き立て、眩しく感じさせてくれる晴れ晴れとした日が気持ちいいです。(高橋秀之)

★ビルの間の落葉掃くより街動く/藤田洋子
寒い朝、 ビルの間に舞い散った落葉をきれいに掃くことから、街がだんだん活気づいてきます。早朝の街の一こまが、生き生きと詠まれています。 (藤田裕子)

★柊の花の匂ひやかくれんぼ/古賀一弘
ひっそりと咲きほのかな芳香を放つ柊に、子どもたちのかくれんぼ。ほのぼのとした懐かしさと優しさを抱かせてくれる情景です。そこはかとなく匂う柊に、澄んだ冬の空気が静かに伝わります。(藤田洋子)

★過ぎた日を明るく語る年の暮れ/迫田和代
「過ぎた」日を「明るく」語れば、来る年もきっと「明るく」なるに違いない。明けて、明るい年に違いない。(高橋信之)

★初霜の大地へざくりと杭を打つ/古田敬二
大地をご自分で耕して農作物を作っていられる、とお聞きしています。初霜の降る頃となった今は、来春への準備でしょうか。初霜と「ざくりと」が響きあって、力強さを感じます。(小川和子)

★背丈ほどの鍬振り上げて冬耕す/井上治代
力強さと一途さに溢れた句と思います。屹度丹精込めた黒土だと思います。鍬音が聞こえませんか?。(迫田 和代)

【高橋正子特選/7句】
★遠山に雪頂きて街明ける/藤田裕子
しんしんと冷え込んだ朝、目覚めに仰ぐ遠望の雪嶺が美しく清々しいかぎりです。荘厳さを帯びる雪嶺を迎えた街に、澄んだ朝の空気が満ちています。(藤田洋子)

★満載の貨車の遠のく師走かな/佃 康水
師が走るのではなく、年の瀬の荷物を積んだ貨車が走るという軽い可笑し味に成程と共感を覚えました。(河野啓一)

★背丈ほどの鍬振り上げて冬耕す/井上治代
力強さと一途さに溢れた句と思います。屹度丹精込めた黒土だと思います。鍬音が聞こえませんか?。(迫田 和代)

★初霜の大地へざくりと杭を打つ/古田敬二
大地をご自分で耕して農作物を作っていられる、とお聞きしています。初霜の降る頃となった今は、来春への準備でしょうか。初霜と「ざくりと」が響きあって、力強さを感じます。(小川和子)

★寒晴れて朝の地平の眩しかり/河野啓一
冬の寒い日の朝、遠く地平まで見通す日差し。その眩しさに冬の澄んだ空気と気持ちよさが感じられます。(高橋秀之)

★みどり濃く水仙の芽の伸び出せり/藤田洋子
芽を出すものはみんな可愛いが、水仙は「みどり濃く」芽を伸ばし始めた。真冬の花の水仙らしく、濃いみどりが生き生きとして、幸先のよさを感じる。(高橋正子)

★冷ゆること云いつつ和尚袈裟を着る/祝 恵子
仏事のある日は、冷えることが多いと私は経験している。「冷ゆること」を言いつつも和尚が、おもむろに、しかも淡々と袈裟を着る。和尚の泰然とした態度にユーモアさえ感じる。(高橋正子)

【入選/16句】
★紅葉散る小径の色に空の紺/川名ますみ 
彩り鮮やかな紅葉が小径に散らばり、晴れ渡る空が照らしている景色は温かくほっとする一時です。(佃 康水)

★顔見世や暮るるに早き東山/桑本栄太郎
京都南座の十二月興行、「東山」が活きています。 先日、中村勘三郎の訃報を聞いたばかり。暮れ行く年の思いが深くなります。(多田 有花)

★恙なき記念日の朝葱刻む/藤田裕子
結婚記念日でしょうか。無事に毎日過ごせることの幸せを、記念日をむかえて改めて噛みしめている作者の心情が伺えます。葱を刻む音も調子よくトントンと弾みます。(井上 治代)

★木のベンチ占めて彩る散紅葉/小川和子
木々の下に置かれた木のベンチの上に、赤や黄の散紅葉が色鮮やかに敷き詰められ、散りてもなお美しい紅葉の光景に感動いたします。(藤田裕子)

★凍滝の音閉じ込めて起立せり/古賀一弘
滝が凍結し、止むのは、水の流ればかりではありません。響いていた音をも、閉じ込めます。鎮まった其処は淋しいようですが、見れば凍滝は「起立せり」。なんと力強く、且つ繊細な御句かしらと、幾度も読み返しました。(川名ますみ)
凍った冬の滝の様子を彷彿とさせる句である。中七が滝の静けさをうまく表現している。(古田敬二)

★風紋を残して今朝の初氷/古田敬二
当地も初氷を見ました。そちらはよほど風がきつかったのでしょう風紋がついていたのですね。本格的な寒さがやってきています。(祝 恵子)
冷えたと思ったら初氷、その氷には風紋が残っていた。対象を良く見詰めた良い句と思う。(古賀一弘)
この冬初めて張った氷は薄く風の影響で和紙のようになっていますね。いよいよ寒さが本格化した事を感じます。 (小口泰與)

★栞にと拾う黄葉に詩ごころ/矢野文彦
一葉の紅葉にもやさしい詩心、一読 して作者の優しい毎日の生活がうかがえます。(下地 鉄)
散ったばかりの瑞々しい黄葉の細やかで美しい造形におのずと詩ごころが湧いてきます。そんな黄葉を栞にして心豊かな季節の喜びが感じられます。 (柳原美知子)

★妙義へと冬の陽どっと落ちにけり/小口泰與
岩山の妙義山を、いっとき輝かす冬の入日を思います。(渋谷洋介)

★海鳴りの遠くにありて年の暮れ/下地 鉄
海鳴りの音を遠くに聞きながら、今年一年のできごとなど、しみじみと思い起こされています。 (藤田裕子)

★竹林の斜面に白く時雨れけり/桑本栄太郎
竹林を濡らす時雨を、とても抒情的に詠まれています。京都の風情も感じられ、「白く時雨けり」が素敵です。 (藤田裕子)

★かくも濃く冬紅葉映ゆ平林寺/小川和子
寒さが増すと紅葉の紅も濃くなり、雨の後などは特に美しくみえます。お寺の中の紅葉だとなおさら風情があるように思われます。平林寺という固有名詞の使い方も一句をよくまとめていると思います。(井上治代)

★柿熟れて空一面に彩散らし/渋谷洋介
柿は実りの秋を象徴する果物だと思います。オレンジ色の柿の実がたわわに実り、空を仰ぐとまるで灯りのように輝いてきれいです。(井上治代)
柿が熟れて 来て、青い冬空をバックに朱色の彩をふりまいたようです。大きな柿の木なのでしょう。みごとですね。 (河野啓一)

★遠くまで群青色の冬の海/高橋秀之
冬の海は暗いイメージがありますが、晴れた日は遠くまで見渡せ群青色に輝きます。広々とした海を眺め、ひとときの安らぎを感じている作者の心情が伺えます。(井上治代)

★蟹食べに冬の但馬の海の町/多田有花
これから食すであろうかに料理を思い浮かべつつ、播磨地方から但馬に向かい、そして海の町へ。私も先週海の町まで蟹を食べに行きましたので、そのワクワク感がよく分かります。(高橋秀之)
但馬の海辺まで名産の蟹を食べに。蟹刺し、焼きガニ、かにすき--。よだれが出てきそうです。素晴らしい冬の愉しみです。 (河野啓一)

★天守日を返す町並み落葉降る/柳原美知子
街並みからひときわ高くそびえる天守閣。天守を仰ぐ街並みには天守から返す冬の日差しと降る落ち葉。平穏でのどかな冬の日常を感じます。(高橋秀之)


■選者詠/高橋信之
★冬晴れて青一色の今朝の空
寒い朝でも海岸の景色はまた格別。遥か沖合まで群青色が帯になって広がり素晴らしい眺めです。 (河野啓一)

★茶の花の数多小粒が朝の日に
冴えわたる朝の日差しを受けて、白色五弁の茶の花が際立つ白の鮮やかさです。茶の木に開く数多小粒の白の嬉しさに、明るく晴れやかな一日の始まりを感じさせていただきました。 (藤田洋子)

★冬紅葉くれない空へ清潔に
燃え立つ様な冬紅葉がくれないの空に映え、一層清らかな彩りを見せてくれている。極みの冬紅葉です。(佃 康水)

■選者詠/高橋正子
★雨あとのいろは紅葉の谷深し
谷に自生するいろは紅葉は樹高もあり、ありのままの自然美を見せてくれるのでしょう。雨あとの清澄な気の中、いちだんと鮮やかな、みずみずしい紅葉の美しさが目に浮かび、谷深きいろは紅葉の感動が伝わります。 (藤田洋子)
雨に濡れ、みずみずしく鮮やかないろは紅葉に彩られた谷から立ちのぼる冷気。深谷を流れる清らかな水音もしんしんと透徹した冬へと季節が深まっていくようです。 (柳原美知子)

★さんしゅゆの実の真っ赤なる十二月
晩秋から冬にかけて赤い実をつける樹木は沢山ありますが、さんしゅゆもその一つなのですね。十二月、クリスマスのリースやクランツにも使われる赤い実ですが、冬枯れの中でうれしい「真っ赤な」実です。 (小川和子)

★しんかんと蝋梅ひらく森の空
森の空へ静かに蝋梅が花ひらいた。その周辺は深閑とした空気が漂い、穏やかに咲き始めた蝋梅がとても新鮮に見えて参ります。(佃 康水)


■互選高点句
●最高点(7点)
★初霜の大地へざくりと杭を打つ/古田敬二

●次点(5点/同点2句)
★雨あとのいろは紅葉の谷深し/高橋正子
★背丈ほどの鍬振り上げて冬耕す/井上治代

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)


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コメント (23)
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