■2019年1月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年1月14日
【金賞】
20.七草の真白きものより刻みゆく/祝恵子
七草は正月七日、七種類の若菜を粥に炊きものとは、菘かすずしろのことであろう。真白き゚ものを先に刻むことで、なにかしら神事めいた気持ちになる。新年の始めの清潔感のある句だ。(高橋正子)
【銀賞/2句】
01.寒林の高き梢や青空に/桑本栄太郎
寒林の高い梢は青空にその枝枝を広げ、青空には、はや明るい日差しが射している。梢は日差しに春を予感し、厳寒の寒さに煌めいている。(高橋正子)
15.冬芽せる桜並木を子と仰ぐ/廣田洋一
冬芽の桜を見つけ、子と一言二言言葉を交わしたのであろう。桜の季節を楽しみに、親子のさりげなく静かな情愛が詠まれている。(高橋正子)
【銅賞/3句】
07.暖房を入れてデスクへ初仕事/高橋秀之
初仕事は、部屋に暖房を入れることから。暖房のスイッチを入れ、デスクへ。確かな手順で今年も仕事を始めた。(高橋正子)
28.破魔矢の鈴鳴らして降りる石段を/高橋句美子
神社で破魔矢をもらい、手に持てば、鈴が揺れてりんりんとかわいい音で鳴る。石段を下りるときは、体も上下して音も大きくなる。破魔矢を持つときの新しく、嬉しい気持ちである。(高橋正子)
21.一つとて同じ猪なし年賀状/祝恵子
今年は亥年。年賀状には思い思いの猪が描かれたり、デザインされたりして、一つとして同じものがない。一枚一枚見て、微笑んでいる作者の様子が思い浮かぶ。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
01.寒林の高き梢や青空に/桑本栄太郎
今頃の空気の感覚がよくわかります。寒さは厳しいけれど、日差しは明るさを増し、春が日ごと近づいているのを感じます。 (多田有花)
20.七草の真白きものより刻みゆく/祝恵子
七草がゆの材料は白いものが多い。どれから始めても白色が多い。あえて白いものを選んで刻むとしたところの七草がゆの緑の葉っぱが思い浮かぶ。 (古田敬二)
15.冬芽せる桜並木を子と仰ぐ/廣田洋一
桜の木々に冬芽を見つけ春が来て花が咲くのが待ち遠しく感じられます。(高橋句美子)
桜は冬の間に次の春に咲く花の準備を整えます。寒中でまだ蕾がほころぶのは先ですが、それを思いながら、お子さんと連れ立って歩かれています。 (多田有花)
07.暖房を入れてデスクへ初仕事/高橋秀之
仕事納めが28日、初仕事は4日でしょう。新年あらたな気持ちで仕事場に入り、暖房をつけられました。 日常の始まりです。(多田有花)
21.一つとて同じ猪なし年賀状/祝恵子
28.破魔矢の鈴鳴らして降りる石段を/高橋句美子
33.山茶花に七草の空あおあおと/高橋正子
【高橋正子特選/7句】
10.包丁に体重載せて餅を切る/古田敬二
鏡餅でしょう。鏡開きの後、それを細かくして善哉などにします。大きな硬い餅に挑んでいる姿が見えてきます。 (多田有花)
01.寒林の高き梢や青空に/桑本栄太郎
15.冬芽せる桜並木を子と仰ぐ/廣田洋一
20.七草の真白きものより刻みゆく/祝恵子
21.一つとて同じ猪なし年賀状/祝恵子
25.温泉に浸かって気づく冬の月/ 西村友宏
34.雑煮食う餅の強さを歯にあてて/高橋信之
【入選/10句】
05.上州に冬の名だたる風のあり/小口泰與
義理の兄弟姉妹が上州に住んでるが、いつも冬は、風が強いから春になったら遊びにおいでと言う。そう言う土地の厳しさを教えてくれる名句である。(廣田洋一)
08.獅子舞に頭を食われ照れ隠し/高橋秀之
獅子舞に出くわし、無病息災を願って頭を噛んでもらったお子さんの可愛らしい仕草や照れ笑いが目に浮かびます。今後も引き継がれたい日本のお正月の情景ですね。(柳原美知子)
13.喜寿過ぎて働く余生破魔矢受く/廣田洋一
この正月を迎え喜寿(77歳)となったが、まだ健康で働く事が出来る。その事の感謝と、更にいつまでも健やかなる事を願って破魔矢を受けた。喜びと明るい正月の心情が良い。 (桑本栄太郎)
18.時雨がちなれど愉しき初ハイク/多田有花
時雨などなんのその、年明けに早くもハイキング、羨ましい、お元気ですね。(祝恵子)
23.皮をはぐ寒鰤の身の弾力よ/柳原美知子
寒中の鰤は12月から正月にかけて味は増し、その頃が旬とされている。その生き生きとした鰤の美味しい素晴らしさを素敵に表現されていると思います。 (小口泰與)
04.浅間山かがやき増すや冬の朝/小口泰與
冬の朝日の鮮烈な光を受けて、浅間山は一段と輝きを増し、今日の始まりを明るく勇気づけてくれるようです。 (柳原美知子)
02.朝日さす水面まぶしく寒晴るる/桑本栄太郎
12.初氷子供心で割ってみる/古田敬二
17.底冷の大和三山歩きけり/多田有花
22.ていれぎの水はればれと寒の鯉/柳原美知子
■選者詠/高橋信之
34.雑煮食う餅の強さを歯にあてて
しっかりと搗かれた粘りのある雑煮餅を、しっかりと噛んで味わわれ、年の始めの意気込みが感じられます。今年もお元気で、良き年でありますように。 (柳原美知子)
35.餅良かれ白きねばりの雑煮食う
36.冬始め妻の高声聞いており
■選者詠/高橋正子
31.冬晴れにひろげたきもの心の帆
冬晴れの澄んだ日の大空に大きな心の帆を広げてそのまま出航したくなる。そんな心の清々しさを感じます。(高橋秀之)
33.山茶花に七草の空あおあおと
ふと見上げた七草の空の澄み切った青さの中、山茶花の花が清々しく、寒さの中にも春遠からじの解放感が感じられます。 (柳原美知子)
32.寒浄し桜餅さえ白き色
■互選高点句
●最高点(7点)
20.七草の真白きものより刻みゆく/祝恵子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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