■2017年7月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年7月10日
【金賞】
★鮎酢や故郷の川まなうらに/谷口博望 (満天星)
鮎酢は郷土料理。鮎の獲れる故郷の清流の景色が、幾年たっても「まなうら」に浮かんでくる。そこに生活があり、人生がある。(高橋正子)
【銀賞/2句】
★朝顔の初めての朝を咲きにけり/祝 恵子
朝顔の清冽さを素直に詠んだ。朝顔は作者が育てたものだろう。初めて咲いた喜びとともに朝顔の清々しさが伝わってくる。(高橋正子)
★街にチラシ次々貼られ盆踊り/高橋句美子
盆が近づくと、町内会など盆踊りを知らせるチラシがあちこちに貼られる。手作りのものなど、チラシが次々増えて、都会にあっても人の輪への誘いがあって、道行くものにもうれしい。(高橋正子)
【銅賞/3句】
★ミニトマト採り来て昼餉の皿豊か/古田敬二
「皿豊か」に健康で明るい食卓が見える。家庭菜園で採れたかわいらしいミニトマトが昼餉を豊かに楽しくしてくれる。(高橋正子)
★梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
梅雨晴れに靴を鳴らして歩く一歳の児。歩くことがうれしくてたまらない。そんな幼子をわかわかしい気持ちで詠んだ。(高橋正子)
★花胡瓜咲いては青き実を伸ばす/柳原美知子
胡瓜の花は黄色で、朝露のなかに咲く花は新鮮だ。その花が次々咲いたかと思うと、すぐに青い小さい胡瓜となっている。青い実を「伸ばす」は、実感と驚き。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★紫蘇色の重石の縁まで上がり来る/古田敬二
大所帯でしたので、梅も容器一杯漬けていました。重石で紫蘇の汁も溢れる程でした。子供時代を懐かしく思い出させてくれた句です。(祝恵子)
★ミニトマト採り来て昼餉の皿豊か/古田敬二
採りたてのミニトマトは色彩も鮮やかで味もいい。見た目のトマトの数だけではなく、気持ちも豊かにさせてもらえます。 (高橋秀之)
★大輪のハイビスカス見て出勤す/高橋秀之
まだ梅雨ですが、晴れると真夏の日差しです。南国の花ハイビスカス、その色と形が出勤風景を明るくしてくれます。 (多田有花)
★源流の泉もて田植機洗いあぐ/高橋正子
源流に近い田んぼで田植え機を使って苗を植える。田んぼの泥で汚れた田植え機。来年まで使うこともない。源流の澄んだ泉で泥を落とし、農機具小屋に来年まで休ませておく。植え終った安堵感と来年まで使わない一抹の寂しさを感じます。(古田敬二)
清冽な源流の泉に感謝の気持ちを込めて丁寧に洗いあげられる田植機。大仕事を終えた農夫の息づかいやからからと回る水音が聞こえてきそうです。 (柳原美知子)
★鮎酢や故郷の川まなうらに/谷口博望 (満天星)
梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
★花胡瓜咲いては青き実を伸ばす/柳原美知子
★街にチラシ次々張られ盆踊り/高橋句美子
【高橋正子特選/8句】
★巣立ち終え軒の静寂や夏つばめ/桑本栄太郎
夏は雛を哺育の為、忙しく飛び交う燕も子つばめが育ち、旅立ちの準備にはいり軒の巣は静かなさ取り戻した景を見事に詠いあげました。 (小口泰與)
★朝顔の初めての朝を咲きにけり/祝 恵子
夏初めて咲く朝顔が初々しく清々しい朝です。「初めての朝」を迎えて、これから咲き続く朝顔の日々を思います。朝顔を愛おしみ、日々温かく見守る作者の眼差しを感じます。 (藤田洋子)
初めて咲いた朝顔のすっきり感がスレートにつたわってくるようです。色はたぶん紺かムラサキか、涼しげなあじわいです。 (河野啓一)
★ミニトマト採り来て昼餉の皿豊か/古田敬二
採りたてのミニトマトは色彩も鮮やかで味もいい。見た目のトマトの数だけではなく、気持ちも豊かにさせてもらえます。 (高橋秀之)
★星空へ植田の蛙声極め/柳原美知子
学生時代、夏休みに田舎へ帰郷したときの情景を懐かしく思い出しました。「声極め」が星空へよく効いていると思いました。 (満天星)
★青き海静まる先に雲の峰/廣田洋一
明るい夏海の青さとその先に立ち上る雲の峰の白が目に鮮やかに浮かび、いよいよ夏本番の前の静けさに心洗われるようです。(柳原美知子)
★鮎酢や故郷の川まなうらに/谷口博望 (満天星)
★梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
★街にチラシ次々張られ盆踊り/高橋句美子
【入選/9句】
★地に倒れ伏して真白きグラジオラス/ 多田有花
夏の盛りともなれば、畑は向日葵、グラジオラスなど色々な花が一斉に咲いて来ます。グラジオラスの花には白、黄色、紅、薄紅などありますが、白い花は夏の嵐に倒れても、とても涼やかな景色です。 (桑本栄太郎)
★早朝の日差しとともに夏の風/高橋秀之
早朝の風も爽やかな良い句です。今日もしっかり働こうと言う気になります。(廣田洋一)
★七月や水の匂いに沿い歩く/多田有花
七月になると小川の水の匂いも夏を感じさせるものに変わってきます。その匂いに沿って歩くひとときに夏を感じます。(高橋秀之)
★雨後の空広げし杜の夏祓/藤田洋子
夏祓いの輪を通してみると雨上がりの大空が普段より広く見えるのも、気持ちのいい大空だからこそです。
(高橋秀之)
★恵まれて曾孫誕生天の川/河野啓一
曾孫さんのご誕生の喜びが溢れるように、澄んだ夜空に輝く天の川の美しさです。天空の銀河を仰ぐ作者の思いがしみじみと温かく伝わります。(藤田洋子)
★静けさの水の余白や花菖蒲/小口泰與
花菖蒲の紫が水の余白に鮮やかに浮かびあがり、風と水の匂いがしんと胸の内を流れるようです。(柳原美知子)
★梔子の白まっさらに山雨過ぐ/藤田洋子
夕風も凪いだ夏の夜空を仰ぐと思いがけなく大きな満月がぽっかりと浮かび明るく輝いている。夏本番を迎えて、夜空からも力強いエネルギーが感じられる若々しい句ですね。(柳原美知子)
★木洩れ日の染み入る峠時鳥/小口泰與
■選者詠/高橋信之
★あした咲く鉢の朝顔ベランダに
身近なベランダに育てられた鉢の朝顔が、明るく清々しい一日の始まり、季節の喜びをいっそう感じさせてくれます。これからの暑さにも、朝毎に目を楽しませてくれる可憐な朝顔を思い元気付けられます。(藤田洋子)
★扇風機の風に吹かれる背を向けて
★朝蝉のしきりに鳴きて今朝の晴れ
■選者詠/高橋正子
★源流の泉もて田植機洗いあぐ
源流に近い田んぼで田植え機を使って苗を植える。田んぼの泥で汚れた田植え機。来年まで使うこともない。源流の澄んだ泉で泥を落とし、農機具小屋に来年まで休ませておく。植え終った安堵感と来年まで使わない一抹の寂しさを感じます。(古田敬二)
清冽な源流の泉に感謝の気持ちを込めて丁寧に洗いあげられる田植機。大仕事を終えた農夫の息づかいやからからと回る水音が聞こえてきそうです。 (柳原美知子)
★傾く日に七色失せず虹の橋
★耳そばだて聴く源流の時鳥
■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
★空へ植田の蛙声極め/柳原美知子
★梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
※7月10日発表の集計に誤りがありました。上記のように訂正します。(7月11日)
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。