■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■6月月例ネット句会/入賞発表■

2017-06-12 00:33:00 | 日記

■2017年6月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年6月12日

【金賞】
★光る水受けて芒種の田一枚/多田有花
芒種は、現行歴では24節季の5月節の第一日目をいう。今年は6月5日。麦の刈り入れや、稲の植え付けをするころで、天候では、蒸し暑くなって、梅雨入りするころである。晴天であれば、強い太陽が水を光らせて田に落ちる。田一枚とあるので、光り落ちる水と、それを受ける平らな田水が立体的構成をなして面白い。(高橋正子)

【銀賞/3句】
★枇杷熟れて雲間に空の青澄める/柳原美知子
枇杷の熟れるころ、空には雲が多いが、雲間からのぞく青空は、夏そのものの澄んだ青さだ。枇杷と、雲と、空の青が油彩のように美しい。(高橋正子)

★ちんどんやクラリネットは夏空へ/祝 恵子
ちんどんやは、今では大道芸のような存在になっているが、開放的な夏空へ向かって吹くクラリネットの音色がノスタルジック。「夏空へ」の開放感がたまらなくいい。(高橋正子)

★蛍見に田水明りの山里へ/藤田洋子
四国で暮らしていたころは、夕飯を早めに済ませて、すぐ裏を流れる山川の橋の袂へ子供たちと蛍を見に行った。そこから少し奥へ行けば本当に山里になるが、その光景を思い出した。田に水が張られ、夕方の「田水明かり」に里は一層静かになる。ふっと蛍が火をともす。乱舞することもある。抒情のある句。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★包みたる濡れ新聞の夏の鯉/小口泰與
水が滴りそうな濡れた新聞紙にぴちぴちした鯉が包まれている。獲ったばかりの鯉のいただきものであろう。「鯉のあらい」となって涼しげに登場するのだろう。(高橋正子)

★張り紙の矢印の先ツバメの巣/高橋秀之
張り紙があって、矢印が描いてある。その先にツバメの巣がある。矢印の意味は言葉以上に物語って微笑ましい。ツバメをあたたかく見守る心に人はほっと心和む。(高橋正子)

★時の日やひっくり返せる砂時計/廣田洋一
6月10日の「時の日」。時の日に砂時計をひっくり返すのも何かの意味がある。「時」について考えればきりがない。デジタル化された時、文字盤の長針短針が示す時、もっと原初に近づいて砂時計の砂の落ちる間の時、哲学的時、物理学的時などと。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★青梅も蕗もみどりよ夜の厨/高橋正子
「みどり」がいい。夏の夜の厨を見事に詠んだ。主婦ならではの佳句。 (高橋信之)

★青梅を沈める水のゆらぎけり/高橋正子
主婦ならではの、いい観察だ。主婦の生活から生まれた名句と言ってよい。(高橋信之)

★ちんどんやクラリネットは夏空へ/祝 恵子
作者の見た風景が明らかに読み手の眼に浮かぶ。都会の夏の風景がいい。都会の抒情が読み手に快く届いてくる。 (高橋信之)

★包みたる濡れ新聞の夏の鯉/ 小口泰與
「濡れ新聞」がいい。「夏」の季節感がいい。 (高橋信之)

★張り紙の矢印の先ツバメの巣/高橋秀之
★時の日やひっくり返せる砂時計/廣田洋一
★枇杷熟れて雲間に空の青澄める/柳原美知子
★青梅の紅刷くものの転がりぬ/高橋正子

【高橋正子特選/8句】
★光る水受けて芒種の田一枚/多田有花
田植が始まり、稲作には欠かせない「芒種」の頃。水を張る田一枚の輝きに、季節の節目を迎えての喜び、晴れやかな明るさが感じ取れます。(藤田洋子)

★蛍見に田水明りの山里へ/藤田洋子
昨日蛍を見に行く予定が崩れて残念。蛍見学の情景がよく見える。 (満天星)

★玉苗のずらりと置かれ水満々/柳原美知子
苗代より採られた玉苗が、水を満々と満たした代田に配られ、愈々田植え直前の光景である。玉苗との季語が良く働き、豊かな水と共にまさに豊穣の日本の原点がここにある。(桑本栄太郎)

★満ちみちて棚田の水や時鳥/小口泰與
里山の長閑な田植え前の一時が、時鳥の声に励まされるようです。 (祝恵子)

★噴水の雀の羽を濡らしをり/谷口博望(満天星)
噴きあがる噴水の勢いや飛沫に飛び立つ雀の動きが見てとれるようです。飛沫に濡れてきらめく雀の羽も清々しく、本格的な夏を前に清涼感あふれる光景です。(藤田洋子)

★包みたる濡れ新聞の夏の鯉/小口泰與
★張り紙の矢印の先ツバメの巣/高橋秀之
★ちんどんやクラリネットは夏空へ/祝 恵子

【入選/6句】
★せせらぎへ指差す先の初蛍/藤田洋子
幼子を囲み初めて見せる蛍でしょうか。せせらぎの音と幻想的な蛍火の闇に包まれて、家族の穏やかで平和な至福のひとときが思われます。(柳原美知子)
せせらぎの方に何かを見つけて指をさすとその先には今年の初蛍が飛んでいる。蛍の夕べは気持ちいい季節です。 (高橋秀之)

★夏風邪にソーダ水の缶冷たし/高橋句美子
夏風邪の手に持つソーダ水の缶、夏風邪の身なればこその、冷やされた缶の感覚がよく伝わります。長引く夏風邪にどうぞお気をつけて。 (藤田洋子)

★桑の実や母の無き子に甘く熟れ/桑本栄太郎
どこか郷愁を誘う桑の実。初夏に色付き実を結ぶ桑の実の甘さに、お子さまへ向けられる優しい心情がうかがえ、心温まります。 (藤田洋子)

★渓流の白銀の水夏木立/ 小口泰與
渓流に太陽の陽を受けて白銀に光る水と緑いっぱいの夏木立が涼し気な雰囲気を醸し出してくれます。 (高橋秀之)

★石畳の間にどくだみの真っ白い花/ 高橋句美子
★さらさらと葉より色のせ紫陽花の絵/祝 恵子

■選者詠/高橋信之
★夏座敷男三代健やかに
吹き抜ける風も心地よい夏座敷に男達三代が集まっている素晴らしい景が見えています。仲の良い素敵なご家族ですね。 (小口泰與)

★初夏健やかに子が居て孫がいて
三代揃って、本当に健康で明るい家庭が見えてくる。(廣田洋一)

★わが前を孫歩きいて初夏の風
孫が歩いている様子を後ろから見つめている愛情の気持ちと気持ちよい初夏の風がマッチングして、微笑ましく、そして爽やかな気持ちにさせてくれます。 (高橋秀之)

■選者詠/高橋正子
★青梅も蕗もみどりよ夜の厨
★青梅の紅刷くものの転がりぬ
★青梅を沈める水のゆらぎけり

■互選高点句
●最高点(5点)
11.光る水受けて芒種の田一枚/多田有花

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■6月月例ネット句清記

2017-06-11 17:46:41 | 日記

■6月月例ネット句清記
2017年6月11日
12名36句 

01.大海の浪に乗り居りあめんぼう
02.天王山逆さ青嶺の車窓かな
03.桑の実や母の無き子に甘く熟れ
04.初浴衣の露店巡りやお稲荷さん
05.噴水の雀の羽を濡らしをり
06.人だかりの原爆ドーム青鷺来
07.満ちみちて棚田の水や時鳥
08.包みたる濡れ新聞の夏の鯉
09.渓流の白銀の水夏木立
10.晴天の続くこのごろ芒種かな

11.光る水受けて芒種の田一枚
12.にわか雨何度も梅雨入のゴルフ場
13.張り紙の矢印の先ツバメの巣
14.梅雨入りの日の事務所に傘並ぶ
15.真っ青に広く大きく夏の空
16.時の日やひっくり返せる砂時計
17.空梅雨や如雨露の水を降らせたり
18.水馬や小魚の影踏みており
19.花菖蒲池に目をやる男の子
20.ちんどんやクラリネットは夏空へ

21.さらさらと葉より色のせ紫陽花の絵
22.蛍見に田水明りの山里へ
23.点るたび蛍の葦辺声上がる
24.せせらぎへ指差す先の初蛍
25.玉苗のずらりと置かれ水満々
26.梅雨に入る板間に飼い猫伏しおりて
27.枇杷熟れて雲間に空の青澄める
28.青梅も蕗もみどりよ夜の厨
29.青梅 の紅刷くものの転がりぬ
30.青梅を沈める水のゆらぎけり

31.石畳の間にどくだみの真っ白い花
32.ふわふわと靄につつまれアイスクリーム
33.夏風邪にソーダ水の缶冷たし
34.夏座敷男三代健やかに
35.初夏健やかに子が居て孫がいて
36.わが前を孫歩きいて初夏の風

※互選を始めてください。
5句選をし、そのうち一句にコメントをお願いします。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●6月月例ネット句会投句案内●

2017-06-02 10:47:19 | 日記

●6月月例ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(夏の句)3句
②投句期間:2017年6月5日(月)午後1時~2017年6月11日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:6月11日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:6月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、6月12日(月)正午~6月14日(水)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする