■2020年1月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年1月12日
【金賞】
06.寒梅の日暮れても紅失わず/小口泰與
寒中とは言え、日差しが少しずつ明るくなっている。日暮れても寒紅梅の紅が残り、いきいきと紅を発している。暮れ残る紅に春の気配がのぞくのである。(高橋正子)
【銀賞/2句】
17.真っ直ぐに差し込む朝日注連飾り/高橋秀之
年が改まり、注連飾りへ真っ直ぐに、まっさらな朝日が差し込む。ゆがまず、まっすぐ差す新年の朝日に今年一年の勢いを見る思いだ。(高橋正子)
37.たらの芽の香のみずみずし里帰り/高橋句美子
たらの芽は早春のものであるが、温室栽培もあって、店頭に出回っている。里帰りの折、店頭であろう、たらの芽を見つけ、みずみずしさに驚いた。話を聞くと、夫の里への里帰りとのこと。(高橋正子)
【銅賞/3句】
21.葉牡丹の照り翳りつつ色深む/藤田洋子
葉牡丹は、正月の花として、また、冬の花壇を彩る花として、身近に親しい。冬の日が照り、翳りするなかで、その色を深めて、味わい深い色になる。「照り翳りつつ」は、葉牡丹の渦巻きの様子にも重なり、よい観照だ。(高橋正子)
31.清流へ影も落とさず冬椿/柳原美知子
清流の流れの上に咲く冬椿。冬の貴重な赤い花であるが、日の具合であろう、流れには影が映し出されない。一幅の澄明な画を見るような句だ。(高橋正子)
24.バスを待つ園児の列に寒雀/西村友宏
バスを待っている園児の列に、怖気もしないで、寒雀が寄ってきた。園児たちを仲間とでも思っているのか。園児と寒雀の様子がかわいらしい。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
06.寒梅の日暮れても紅失わず/小口泰與
寒中に咲く梅の香りと薄暮にも浮かび上がる紅の色に心安らぐひとときです。厳寒の中にも春遠からじの思いがします。 (柳原美知子)
17.真っ直ぐに差し込む朝日注連飾り/高橋秀之
新年を迎える門戸に注連飾り。その特別な神聖さに注がれる「真っ直ぐな朝日」が、明るく清々しい年の始まりを感じさせてくれます。(藤田洋子)
玄関のしめ飾りに快晴の朝日が差し込む。今年一年の良きことが約束される風景である。 (古田敬二)
21.葉牡丹の照り翳りつつ色深む/藤田洋子
24.バスを待つ園児の列に寒雀/西村友宏
30.探梅のはじめどの枝も蕾なる/高橋正子
37.たらの芽の香のみずみずし里帰り/高橋句美子
39.冬苺の大福並ぶ祝日に/高椅句美子
俳句らしい面白味のある句だ。中7の「大福」が「並ぶ」と言ったところががいい。下五に置いた「祝日」も一句を引き締めている。(高橋信之)
【高橋正子特選/7句】
06.寒梅の日暮れても紅失わず/小口泰與
10.餅花を加えし生花玄関に/祝恵子
17.真っ直ぐに差し込む朝日注連飾り/高橋秀之
21.葉牡丹の照り翳りつつ色深む/藤田洋子
24.バスを待つ園児の列に寒雀/西村友宏
31.清流へ影も落とさず冬椿/柳原美知子
37.たらの芽の香のみずみずし里帰り/高橋句美子
【入選/13句】
13.冬耕や八十路の鍬を振る朝(あした)/古田敬二
傘寿を迎えてもなお元気に農作業に従事される姿を冬耕に籠めた。お元気で何よりです。(廣田洋一)
20.松明けて道後に軽き下駄の音/藤田洋子
道後温泉の、正月には少なくなっていたお客様も松明けと共に普段の様子に戻りました。入浴客の軽やかな下駄の音が心地良い。 (桑本栄太郎)
正月の休みも終わり観光客も去り市井の人達の普段の生活が始まった様子が素敵に詠まれています。好きな句です。 (小口泰與)
お正月気分がまだ残るころです。道後温泉に行き交う人の下駄の音でしょうか、何だか懐かしいです。 (祝恵子)
38.七草粥の一つひとつが小さな葉/高橋句美子
七草粥は文字通り七つの草があるので賑やかに見えますが、実はその一つひとつは小さな葉という当たり前のことに焦点をあてると、その一つひとつの葉が何かが気になるところです。 (高橋秀之)
01.傘をさす児童の列の七日かな/桑本栄太郎
休み明け、新学期が始まる子どもたちを見守る優しい眼差しを感じつつ、松明けて戻る日常へのふとした安堵感も思われます。 (藤田洋子)
33.夫に供う寒の水飲む愛猫よ/柳原美知子
ご訃報驚くばかりです。謹んでご主人様のご冥福をお祈り申し上げます。お悲しみの中、愛猫の存在にひとときの安らぎを感じます。どうぞご自愛くださいますように。 (藤田洋子)
35.寒椿一輪咲きたる八幡宮/廣田洋一
境内の澄んだ空気の中、寒椿の鮮やかな花の姿が目に浮かびます。一輪こその存在感と美しさです。
(藤田洋子)
02.てらてらと路面光りぬ寒の雨/桑本栄太郎
04.深葱や赤城の風の太きにて/小口泰與
05.入相の日矢貫通の大白鳥/小口泰與
07.寒中の夜の嵐が過ぎし朝/多田有花
08.鮮やかに新春の空へ虹かかる/多田有花
11.お正月赤子に絵付きの箸袋/祝恵子
36.撒く餌に声を上げたる百合鷗/廣田洋一
■選者詠/高橋信之
25.丘上る頭上寒空あおあおと
26.寒椿咲くその一輪が吾を向く
27.晴れの日の明るい冬日を浴びている
■選者詠/高橋正子
28.街筋の向こう大きく寒満月
29.水仙に日の影濃ゆし咲き揃い
30.探梅のはじめどの枝も蕾なる
「はじめ」こそ蕾の枝を見る探梅も、いつかは蕾の中に咲く一輪、二輪に出会う期待感を抱かせてくれます。やがて、無数の蕾の開花する時を思い、寒気の最中にも明るい春の兆しを感じます。 (藤田洋子)
■互選高点句
●最高点(同点2句/6点)
20.松明けて道後に軽き下駄の音/藤田洋子
26.寒椿咲くその一輪が吾を向く/高橋信之
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
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