10月月例ネット句会に16名の方にご参加いただきました。ご参加ありがとうございました。10月月例句会の投句期間には、十三夜の月を観ることができました。それぞれの十三夜の句を寄せていただき、樋口一葉の名作「十三夜」を思い出しながら、皆様の十三夜の句を静かで明るく、またしみじみとした気持ちで読ませていただきました。深まりゆく秋を新鮮に詠まれている句がたくさんあり、感銘を受けました。入賞の皆様おめでとうございます。また、選とコメントをありがとうございました。これで、10月月例ネット句会を終わります。来月のネット句会もよろしくお願いいたします。
10月月例ネット句会に16名の方にご参加いただきました。ご参加ありがとうございました。10月月例句会の投句期間には、十三夜の月を観ることができました。それぞれの十三夜の句を寄せていただき、樋口一葉の名作「十三夜」を思い出しながら、皆様の十三夜の句を静かで明るく、またしみじみとした気持ちで読ませていただきました。深まりゆく秋を新鮮に詠まれている句がたくさんあり、感銘を受けました。入賞の皆様おめでとうございます。また、選とコメントをありがとうございました。これで、10月月例ネット句会を終わります。来月のネット句会もよろしくお願いいたします。
■2016年十三夜ネット句会■
■入賞発表/2016年10月17日
【金賞】
★コスモスにうもれて子らの声がする/祝 恵子
コスモスの花に埋もれて遊ぶ子らの声が、コスモスの花の中に響く。コスモスに響く子らの声が天使のように清らかに、無垢に思える。(高橋正子)
【銀賞2句】
★十三夜ふと口ずさむ校歌かな/河野啓一
十三夜の月は淋しさを誘う。その淋しさは、また青春へのなつかしさでもあって、思わず、校歌が口をついて出る。(高橋正子)
★寝入る児に童話本閉ず十三夜/小川和子
読み聞かせていた童話に聞き入りながら、幼子は寝入ってしまった。静かに童話の本を閉じると、折しも今宵は十三夜。安らかな子の寝息に十三夜の月が光を投げている。(高橋正子)
【銅賞3句】
★抱きし子の鈴音響かせ秋祭り/藤田洋子
子を抱いて秋祭りに連れ出す。祭りの法被や鈴を着けられているのだろう、その鈴がりんりんと可愛く響く。その響きで、嬰児も祭りに加わっているのだ。(高橋正子)
★高原のベンチに剝ける林檎の香/柳原美知子
高原と林檎の香りの取り合わせが、すっきりと爽やかだ。木から採ったばかりの林檎の香り、淡いグリーンの香りとしてイメージされる。(高橋正子)
★背筋立てきっぱり歩く冬支度/廣田洋一
背筋を立てて、きっぱりと歩く。その姿勢は「冬」という季節の本質であるのだ。冬支度の心構え。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★十三夜ふと口ずさむ校歌かな/河野啓一
最高の名月なので名残の月とも言われる十三夜を見て、ふと青春時代の懐かしいいろいろな事を思い出し校歌を口ずさむ作者の若かりし姿が鮮明に見えて来ます。
(小口泰與)
澄み切った夜空に輝く十三夜を愛で、眺めていれば、よって来たる遠い過去から今迄の長い年月を想い出します。何十年も会っていない学校時代の友人は、今頃どうしているのかな?など少し夜冷えもしている十三夜の感慨に、校歌を口ずさんでいます。 (桑本栄太郎)
★寝入る児に童話本閉ず十三夜/小川和子
子供さんに童話を聞かせて寝付かされた頃は9時ごろでしょうか。やっと空を見上げると、薄雲のベールに覆われた十三夜を見られたのではないでしょうか。私も広島でこの時間にこのような十三夜を見ました。 (谷口博望/満天星)
★コスモスにうもれて子らの声がする/祝 恵子
子どもの背丈を越えるほどに咲き群れているコスモス。子ども達はコスモスの迷路に入りこんで楽しそう。うららかな秋のひと時が思われます。 (小川和子)
★枝垂れたるままびっしりと萩は実に/佃 康水
可憐な紅白の花を咲かせ枝垂れて風に揺れていた萩が、いつの間にかそのままの姿で実をつけていて、秋の深まりを実感すると共にその生命力に感動します。(柳原美知子)
★伊予小富士稜線丸き十三夜/藤田洋子
伊予小富士の稜線が十三夜の月明かりに丸みを帯びて感じられ、幻想的な十三夜の景がしみじみと胸に沁みわたります。(柳原美知子)
★背筋立てきっぱり歩く冬支度/廣田洋一
★抱きし子の鈴音響かせ秋祭り/藤田洋子
★高原のベンチに剝ける林檎の香/柳原美知子
【高橋正子特選/8句】
★夜半澄めば肌に染み入る後の月/小川和子
後の月の透明感のある美しさと清らかな月光は、本当に「肌に染み入る」ように心身を安らかにしてくれるような気がします。 (柳原美知子)
★星月夜駅舎に隠れ遠い空/高橋句美子
月も星も輝いているはずが駅舎に隠れて遠くに感じる。雲ののない秋の夜空が幻想的に感じます。 (高橋秀之)
★ごんぎつね出てきそうなり彼岸花/井上治代
江戸-明治期の民話に基づき創作された童話・ごんぎつね。戦後テレビその他で大変よくしられるようになりましたが、そうした庶民性と「彼岸花」という呼称がよく響き合っていると思いました。ほのぼのとした一句ですね。(河野啓一)
★十三夜ふと口ずさむ校歌かな/河野啓一
★背筋立てきっぱり歩く冬支度/廣田洋一
★コスモスにうもれて子らの声がする/祝 恵子
★抱きし子の鈴音響かせ秋祭り/藤田洋子
★高原のベンチに剝ける林檎の香/柳原美知子
【入選/7句】
★富士山が秋の車窓に影絵となる/多田有花
新幹線や東名高速で行き来していると。光の方角によっては富士山が影絵のように見えるときがあるのでしょうね。素晴らしい大景を描写されたものと思いました。(河野啓一)
★朝明けやどどっと畦の曼殊沙華/小口泰與
朝の空の茜色と地の赤い花の大きな景色を読み込んだ美しい句と思います。 (廣田洋一)
朝の澄んだ大気の中、「どどっ」と畦に咲き揃う曼珠沙華、ことさらさやかで澄明な秋の到来に、季節の喜びを感じさせてくれます。(藤田洋子)
★一枚を羽織り二夜の月を愛づ/桑本栄太郎
十五夜の頃はまだ暑いくらいでしたが、十月も半ばを過ぎ、朝晩は肌寒さを覚えるようになりました。季節の移り変わりの微妙な感覚がさらりと詠まれていて好きです。 (多田有花)
★虫の背に月影青き十三夜/河野啓一
小さな虫の背にも、十三夜の月の光が降り注ぎ、静かに夜が更けてゆく様子が感じられます。細かな観察と流れるような五、七、五の調べがすばらしいと思いました。(井上治代)
★鰯雲茜に染まりゆくかなた/柳原美知子
茜に染まる夕暮れのいわし雲が晴香彼方の遠い空にある。秋ならではのひとときを感じます。(高橋秀之)
★藤袴へアサギマダラは命継ぐ/谷口博望 (満天星)
どちらも生存数の減少が懸念されている希少生物かと思いますが、大げ差に言えばお互いに相手を必要とする共生関係なのでしょうね。うつくしいちょうときれいなはな。興味深く読ませていただきました。(河野啓一)
海を渡り長距離を移動するアサギマダラ、淡い藤袴に浅葱色の羽の紋様も美しく、命を継ぐアサギマダラに心寄せ、愛しむ眼差しを感じます。(藤田洋子)
★電車待つホームにふたり十三夜/高橋秀之
日中の喧騒とは違ってひっそりと静まるプラットホーム。ふたりとなるホームに秋の夜の澄んだ空気が漂い、深まる秋の十三夜です。 (藤田洋子)
■選者詠/高橋信之
★いさぎよく切られ南瓜の内部の黄
この南瓜は、見事というほど、すぱっと、いさぎよく切られている。そして中は充実した黄色の実となっている。昨今はハロウィンの南瓜を思い出させるが、収穫への感謝でもある。(高橋正子)
★さわやかに朝日射し込むわが書斎
書斎へ今、朝日が射し込み心も晴れ晴れした今日一日のスタートです。と同時に書斎もきれいに整理され、さっぱりとした快い佇まいまでも見えて参ります。 (佃 康水)
大変な残暑が去って急に朝晩寒くなりました。それだけに書斎に朝日が差し込むさわやかさと温かみは何物にも代えられないと思います。共感の一句です。(河野啓一)
★さわやかな畳の上に寝転べる
秋の日差しがほんのりと畳をあたため、秋風がさわやかに感じられる和室。その畳の上に伸び伸びと寝転ぶ心身ともに安らかな至福の秋のひとときです。(柳原美知子)
■選者詠/高橋正子
★木の実落つる音に子の耳鋭くなれり
小さな子どもは何にでも素直にまた敏感に反応し興味を示します。そういった時期に自然豊かな場所へご一緒され、益々感性も養われるのではと思います。素早く反応を示す子に作者の喜びも伝わって参ります。 (佃 康水)
★蝶ふたつ野菊をこぼれ地に遊ぶ
蝶が遊んでいる、ふたつで遊んでいる。野菊の後は地に下りた蝶たち。「野菊をこぼれ」とは、新鮮な思いです。 (祝恵子)
「蝶ふたつ野菊をこぼれ」がすばらしいと思いました。秋チョウがもつれ合うように花からこぼれおち、地面すれすれにあそんでいる光景が目に浮かびます。晩秋の虫たちへの愛情も感じられる情景です。 (河野啓一)
★天空の紺ひと色の十三夜
月夜の空をすっきりと直截に言い切られた御句と感じました。(河野啓一)
■互選高点句
●最高点(5点/同点3句)
★電車待つホームにふたり十三夜/高橋秀之
★コスモスにうもれて子らの声がする/祝 恵子
★高原のベンチに剝ける林檎の香/柳原美知子
●次点(4点/同点2句)
★十三夜ふと口ずさむ校歌かな/河野啓一
★寝入る児に童話本閉ず十三夜/小川和子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。
2016年10月16日
■十三夜ネット句会清記
16名48句
01.富士山が秋の車窓に影絵となる
02.大橋の上を流れるうろこ雲
03.木の実落つ音夕暮れの森に
04.虫の背に月影青き十三夜
05.十三夜ふと口ずさむ校歌かな
06.同窓の集いに一句十三夜
07.今朝の畦忽と消えたる蜻蛉かな
08.朝明けやどどっと畦の曼殊沙華
09.常よりも今朝の赤城山(あかぎ)や水澄めり
10.京なれや路地にゆかしき実むらさき
11.月代や今宵の空は特別ぞ
12.一枚を羽織り二夜の月を愛づ
13.万歳の歓喜の赤や十三夜
14.藤袴へアサギマダラは命継ぐ
15.緑なる榧(かや)の実拾ふ山路かな
16.ごんぎつね出てきそうなり彼岸花
17.秋の飛行機夕日にむかい落ちてゆく
18.正装し月ゆっくりと昇りゆく
19.線路際電車になびく尾花かな
20.木漏れ日に一つ照りたる烏瓜
21.背筋立てきっぱり歩く冬支度
22.電車待つホームにふたり十三夜
23.鉢巻を締めて応援運動会
24.ただいまと帰れば秋刀魚の晩ご飯
25.藤袴池の周囲で背を伸ばす
26.コスモスにうもれて子らの声がする
27.芙蓉花蜂は切り取り持ち去りぬ
28.いさぎよく切られ南瓜の内部の黄
29.さわやかに朝日射し込むわが書斎
30.さわやかな畳の上に寝転べる
31.おもたせの薄茶点て合う十三夜
32.枝垂れたるままびっしりと萩は実に
33.亀島の甲羅に乗りて松手入れ
34.夜半澄めば肌に染み入る後の月
35.寝入る児に童話本閉ず十三夜
36.日照り雨受けて真っ赤にみずきの実
37.天空の紺ひと色の十三夜
38.木の実落つる音に子の耳鋭くなれり
39.蝶ふたつ野菊をこぼれ地に遊ぶ
40.伊予小富士稜線丸き十三夜
41.抱きし子の鈴音響かせ秋祭り
42.ネオンの灯揺らぐ秋霖中也の碑
43.高原のベンチに剝ける林檎の香
44.鰯雲茜に染まりゆくかなた
45.田の闇を仰げば仄かに後の月
46.星月夜駅舎に隠れ遠い空
47.見上げるとすすき穂のみな銀色に
48.一面のどんぐり踏みしめ音鳴らす
※互選を開始してください。5句選をし、その中の一番好きな句にコメントしてください。
(選句期間:10月16日午後6時~午後9時)
●10月月例(十三夜)ネット句会のご案内●
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠発行所にお申し込みください。
②当季雑詠(十三夜・秋の句)計3句を下記ブログ<コメント欄>にお書き込みください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d
③投句期間:2016年10月10日(体育の日)午前0時~10月16日午後5時
④選句期間:10月16日午後6時~午後9時
⑤入賞発表:10月17日午前10時
⑥伝言・お礼等の投稿は、10月17日午前10時~10月18日午前10時