■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋信之

■第15回(立秋)フェイスブック句会入賞発表■

2012-08-09 00:52:17 | 日記
■立秋句会入賞発表■
■入賞発表/2012年8月9日■

【金賞】
★蝉時雨ひとりの部屋の音を消す/矢野 文彦
ひとりの部屋は、ひとりが作る小さな音。その音は蝉時雨に消されてしまって、部屋は蝉時雨でいっぱい。部屋が大樹の茂る戸外になったようにも思える。(高橋正子)

【銀賞】
★サクサクと野菜切る音涼​しかり/井上 治代
野菜を切る音が「サクサク」と快い。快さは涼しさに通じて、生活のこんなところにも喜びを見つけることができる。(高橋正子)

【銅賞】
★夏川に浮かべば遠き街の音/安藤 智久
夏川に小さな舟で浮かんだのか、筏のようなもので浮かんだのか。自然のただ中に居るのとは違って、街の音が遠く聞こえる。夏川と街との程よい距離感が新鮮な感覚で捉えられている。(高橋正子)

★夏惜しむ胸まで潮に浸りけり/小野寺 靖
胸まで深々と海の潮につかる。潮の匂い、水の冷たさ、照らす太陽など、もろもろを体全体の感覚で捉えて、それが「夏惜しむ」の心情となっているのがよい。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★青田風立たせ列車は駅に入る/藤田 洋子
日差も強く、植田が青一色に輝き、より一層鮮やかになる青田。そ​の田に風が吹き渡る山里の駅に鈍行列車が入行して来る。見るから​に穏やかな山里の景が見えてきます。(小口 泰與)

★窓一枚開け立秋の朝なりき/高橋 正子
いつもと同じように窓を開けても、これまでと違う立秋の朝の感覚​を味わうひとときがとても清々しいです。(高橋 秀之)

★夏惜しむ胸まで潮に浸りけり/小野寺 靖
楽しい夏だったのでしょう。そんな夏を惜しまれてじっと潮に体を​浸たされたお気持ち。じんときます。(迫田 和代)

★分校の五右衛門風呂や夏休み/古賀一弘
分校でキャンプをされたのでしょうか。五右衛門風呂に浸かり、楽しい夏休みの思い出を振り返っていると、暑い夏の物憂さも吹き飛んでしまいそうです。爽やかな秋もすぐそこまできています。 (井上治代)

★漱石の旧居への坂つくつくし/柳原美知子
松山の町の坂をのんびりと歩き、秋を感じられたのでしょう。「漱石の旧居」が「つくつくし」とよく響き合い、城下町の景色に親しみを感じさせてくれます。(小西 宏)

★サクサクと野菜切る音涼​しかり/井上 治代
「サクサクと」の音の清々しさに、新鮮でみずみずしい野菜も目に​見えるようです。夏の暑さの中にあって、日常のお暮らしの中での​一抹の涼しさに、心明るく楽しくなれます。(藤田 洋子)

★おみなえし一朶の雲を連れており/高橋 正子
おみなえしは秋の七草の一つでも有り、背が高く風に揺れる姿は楚々とした美しい女性を連想させ、万葉集にも多く詠まれた花だと聞いています。そのおみなえしが一朶の雲を侍らせている様で、万葉の世界のロマンと重なります。 (佃 康水)

★百日紅火の見櫓は雲に浮き/祝 恵子
青空をバックに百日紅が赤く燃えるように咲いています。遠方に目をやると、白い雲に浮いているように火の見櫓が見えます。一枚の絵を見るようで、鮮やかな景が浮かんできます。 (藤田裕子)

【高橋正子特選/8句】
★立秋の川面ひとすじ藻の緑/藤田 洋子
連日の暑さに少々うんざりしている時、ふと川面を眺めるとひとす​じの緑の藻が透けて見え、その一瞬に秋を実感されたのでしょう。​立秋の爽やかさが伝わって参ります。(佃 康水)
秋立つ日の川辺、少しだけ陽射しが柔らかくなり、水面の光も昨日​よりおだやかです。そこにひとすじ走る、藻の緑。爽やかな川面に​、気分も新たになるような涼しさを感じます。(川名 ますみ)

★今朝の秋ラジオの声に胸広げ/藤田裕子
立秋の朝のラジオ体操の溌剌とした明るさ。(小野寺 靖)

★水鉢に雨を数える涼しさよ/川名ますみ
睡蓮を活けておられる水鉢でしょうか。雨の音に透明感が感じられ、涼しさに共感いたします。(小西 宏)

★ひろしま忌祈りの席や万の椅子/佃 康水
八月は祈りの月です。特に原爆の惨禍を受けられた地の方には、祈りの気持ちがいっそう深いものと思います。「万の椅子」にそれが象徴的に表されています。 (多田有花)

★蝉時雨ひとりの部屋の音を消す/矢野 文彦
多くの蝉が降って来る様に一斉に鳴いて、今まさにせみ時雨の時期です。色んな種類の蝉が鳴くので、部屋の音を消してじっと聞き入るのも秋ならではですが、何となく秋の寂しさも感じますね。 (佃 康水)

★お土産と音零しつつ江戸風鈴/黒谷 光子
東京土産の江戸風鈴を持っていくと、中を開ける前から風鈴の音が零れてくる様子は、吊った風鈴とは違う風情があります。(高橋秀之)

★夏川に浮かべば遠き街の音/安藤 智久
夏の川にゆったりと浮かんでいる。街の音は遠く、ゆっくり流れる時間がそこにあります。(高橋秀之)

★夜の秋五輪の記録かけめぐる/矢野 文彦
今、オリンピックが熱く報じられています。選手の皆さんの健闘ぶり、メダルの数、すばらしい記録が生まれています。国民が一丸となって応援している夜の秋です。 (藤田裕子)

【入選/19句】
★風のふと身に添う岸辺秋立ちぬ/藤田 洋子
気づけば風が身に心地よい。ああ秋になったのだと思われたのでしょう。「ふと身に添う」こういう風に気付きたいものです。綺麗な​句ですね。(祝 恵子)

★風鈴の音心地よく縁を拭く/黒谷 光子
縁側はよく風が通ります。そこを拭き掃除しておられます。時おり風が風鈴を鳴らし、詠者もその風に吹かれます。吹いてくる涼風の​感覚が伝わってきます。(多田 有花)

★金魚鉢に小粒の餌のひとつまみ/安藤 智久
金魚鉢に広がり揺れる赤く薄い大きな鰭。そこに小さく広がり沈ん​でいく小粒の餌をぱくりと口に入れる。(フッと、いったんは吐き​出してみせる動作もあるのかもしれません)。「ひとつまみ」が宜しい。金魚鉢にまつわる一編の物語を読むようにイメージが広がります。(小西 宏)

★炎昼の湯の介護士の美脚かな/矢野 文彦
健康美溢れる介護士さんの介助の下、炎昼の汗だくの身体を湯に浸す至福のひととき。介護士さんとの日頃の温かい交流が思われ、ほの​ぼのとした気持ちになります。(柳原美知子)

★低空のヤンマ草原平らかに/小西 宏
草原の草の丈すれすれに颯爽ととぶヤンマの勇姿が目にうかび、草​原に立つ心地よさも伝わってくるようです。(小川 和子)

★石鎚の山を真中に夕虹立つ/柳原美知子
眼の前には石鎚の山が聳え立ち、夕方の虹が大きく半円を描き美しい光景です。まるで一枚の写真をみているような感じがしました。(井上治代)
石鎚山は四国第高峰その峰真ん中にして夕虹が立った。大きな景、清々しい感じのする雄大な句である。(古賀一弘)

★東天の雲を黄金に今朝の秋/多田 有花
立秋の日の出の景が鮮やかに詠まれています。雲を黄金にしつつお日様が見えてくるのが素敵です。(藤田裕子)

★立秋といえどあちこちほしい白/迫田 和代
立秋がきたとはいえ、今年は猛暑でまだまだ暑い日が続きそうです。そのような時に清澄な白い色に出合うとほっとします。白い雲、白木槿などを眺め涼しさを味わいたいものです。 (井上治代)

★ここちよき風の目覚めや今朝の秋/桑本 栄太郎
涼しい風に目覚めると、気持のよい一日が始まります。立秋の日の風は昨日とはまたひとつ違った感じがします。これから、一日一日秋も深まっていくことでしょう。 (井上治代)

★山女の斑(ふ)光りて谷の雲迅し/小口 泰與
川の流れの中の山女なのでしょう。すばやい泳ぎによって斑点が流れ耀き、それが迅い雲の流れと競い合っているうです。ひんやりとした渓谷の涼しさが伝わってきます。(小西 宏)

★今朝の秋白雲なびく生駒山/河野 啓一
季節が変わる日の朝の新鮮な思いは俳句を詠む人ならではです。元日にも似たすがすがしいものを感じます。その新鮮な気持ちが御句から漂ってきます。 (多田有花)

★遥けしや秋夕焼のわが帰路に/小川 和子
この時期はまだ日が長く全天を染めるような夕焼けが見られます。そうした夕焼けの中を家路につかれているのでしょう。徒歩かあるいは乗り物か、いずれにせよ人生の歩みの中の美しい夕焼けです。 (多田有花)

★睡蓮の花びらを透く陽よ水よ/川名ますみ
水に濡れた睡蓮の花を美しくリズムよく詠まれたのが印象的です。静けさの中にも、差し込む陽の光や水の滴りの動きが感じられるように思いました。(河野 啓一)

★水鉄砲の水滴残る窓ガラス/安藤 智久
しばらく水鉄砲で遊んだ子供たちがどこかへ行ってしまったのでしょう。窓ガラスに残った水滴が、子供たちの嬉しそうな顔や歓声を残しています。(黒谷 光子)

★鎮魂の沖より花火揚がりけり/小野寺 靖
去年の今頃はまだ花火どころではなかったが、漸く少しづつ普段の生活が戻りつつある震災による被災の地。しかし沖の海の底には、津波で流された御霊が未だ沢山収容されていない事を想うとき、美しい花火も作者の深い鎮魂の思いなのである。(桑本 栄太郎)

★新涼や鴨の水輪の交差する/古田 敬二
水面を滑らかに泳ぐ鴨たち、生まれる水輪も交差して、まだ厳しい残暑を身に覚える中で、秋になっての爽やかな清涼感を感じさせていただきました。(藤田洋子)

★透き通る烏賊の刺身や日本海/高橋 秀之
漁期は夏場が多く旬な烏賊、透き通る烏賊の身がことさら美しく涼しげで、日本海ならではの美味しさを感じさせてくれます。(藤田洋子)

★立秋の驟雨竹薮騒がせて/多田 有花
急に降りだした雨にざわめく竹藪、竹の葉擦れもさやさやと、驟雨の雨の清々しさも加え、ことさら秋の立つ気配が感じられます。(藤田洋子)
大粒の雨が急に激しく降って来て竹薮はざわめき始めた。しかし、それも短時間でからりと上がり、何となく涼気を感じ、さすが秋だなと実感されたのではないでしょうか。(佃 康水)

★あぜ道に忽と湧き出づ秋茜/小口 泰與
夏の風景だったのが、赤とんぼは突然に湧き出るように現れ、里の​景色が秋の透き通った色に一変した。鮮やかな季節の変化だ。(安藤 智久)


■選者詠/高橋信之
★花合歓の光あふるる下に居る
合歓の花は小枝の先に絹糸のような細い紅色の雄花をつけます。先​端のほうは紅で下のほうは白くまるで赤い光を吹いているように見​える。中七の「光りあふるる」はその有様をうまく表現しており、その花​を見上げる作者の姿が見えます。(古田 敬二)

★古代蓮明るし楽し朝の中に
古代蓮の美しさが朝の空間を占め、そこは明るい楽しい世界となっています。俗世間を忘れ、極楽浄土に身を置いているような清らかなお心になられたことと思います。 (藤田裕子)

★カサブランカに吹く朝風が白い

■選者詠/高橋正子
★窓一枚開け立秋の朝なりき
いつもと同じように窓を開けても、これまでと違う立秋の朝の感覚​を味わうひとときがとても清々しいです。(高橋 秀之)

★おみなえし一朶の雲を連れており
おみなえしは秋の七草の一つでも有り、背が高く風に揺れる姿は楚々とした美しい女性を連想させ、万葉集にも多く詠まれた花だと聞いています。そのおみなえしが一朶の雲を侍らせている様で、万葉の世界のロマンと重なります。 (佃 康水)

★沖見つつ海で泳ぐことを捨て

■互選高点句
●最高点(8点)
★花合歓の光あふるる下に居る/高橋信之

●次点(7点)
★窓一枚開け立秋の朝なりき/高橋正子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
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