■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■立春ネット句会入賞発表■

2015-02-04 22:31:24 | 日記
■立春ネット句会■
■入賞発表/2015年2月4日■

【金賞】
★明日寒明け青空市に花並ぶ/祝恵子
明日は寒が明ける。暦の上のことであるが、「寒明け」には、厳しい寒さに耐えたことから解放される喜びがある。青空市には、とりどりの花が並び、春はそこに来ているではないか。(高橋正子)

【銀賞2句】
★梅咲いて軽き会釈の行き交える/藤田洋子
寒い中にも梅が咲き、あたりにも日差しがこぼれる。行き交う人も軽く会釈をして、微笑んで行き過ぎる。梅の花が咲くころの軽さに、暖かい瀬戸内の早春を思い出す。(高橋正子)

★靴紐を締めて春立つ山に入る/多田有花
「春立つ山」が清新。靴紐をしっかり締めて、心を引き締め、心新たに山に入る。「春立つ」喜び。(高橋正子)

【銅賞3句】
★立春や子等のあいさつ歯切れよし/井上治代
「立春」の声を聞けば、厳しい寒さから解放された嬉しさが先に立つ。人も活動的になる感じだ。子どもたちの挨拶もはきはきと歯切れがよい。子供たちへの眼差しがあたたかい。(高橋正子)

★雪掘りて得し蕗の芽の青さかな/内山富佐子
まだ雪深いけれど、もしかして蕗の芽が出ているかもしれないと、雪を掘り、掘り当てた時の嬉しさ。雪の中の「青さ」が一入目に染みる。(高橋正子)

★夕映えを梅の蕾も受けとめる/川名ますみ
日がずいぶん永くなった。夕映えの光が長く、沈み惜しむかのように梅の蕾に届く。梅のつぼみも、日ごと暖かさに開くばかりになったいる。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★厨房の隅まで磨き春迎う/内山富佐子
未だ寒い日々ながら日毎に日脚も伸び、とうとう立春を迎えた。暦の上とは言え、立春を迎えればこれからは日毎に暖かくなるのだと思えば、自ずと厨房まで磨き上げたくなる主婦ならではの心弾む思いである。(桑本栄太郎)

★靴紐を締めて春立つ山に入る/多田有花
春だ! しっかりと足元を整えてまだ雪も残っているであろう山に向かおう。浮き立つような清冽な雰囲気が伝わってきます。「春立つ山」がいいですね。(河野啓一)

★梅咲いて軽き会釈の行き交える/藤田洋子
梅が咲き芳香を嗅げば、春の訪れを感じ、寒さで萎縮した心身を軽くしてくれるようです。人の往来も少しずつ増え、微笑が行き交う温かい情景が感じられます。 (柳原美知子)

★春立ちて鳥跳ねている塀の上/柳原美知子
春が近づくと鳥たちの活動も活発になってきます。高い鳴き声が聴こえたり、木から木へ飛び移り木の実をつついたりしている様子を見かけます、立春の日に鳥が嬉しそうに跳ねている姿は可愛いかったことでしょう。(井上治代)

★立春や子等のあいさつ歯切れよし/井上治代
立春ともなれば、全てが明るくなる。登校、あるいは下校の子等のあいさつは、明るく、そして歯切れよし、である。(高橋信之)

★米櫃のかろき音たて春迎う/桑本栄太郎
「米櫃」といえば、母を思う。幼き頃の母であり、厨の母に纏いついていた幼き頃の私である。(高橋信之)

★節分や一人の豆撒き丁寧に/井上治代
家人の居ない節分の夜、お一人なればこそ念入りに撒く年の豆に、家内の幸を願う気持ちが込められているようです。季節の行事を大切になされ、丁寧な日々のお暮らしがうかがえます。(藤田洋子)

★明日寒明け青空市に花並ぶ/祝恵子

【高橋正子特選/8句】
★雪掘りて得し蕗の芽の青さかな/内山富佐子
見当を付けてあったのでしょう。掘り出した雪の中に、青き蕗の薹を見つけた喜びが伝わってまいります。 (祝恵子)

★靴紐を締めて春立つ山に入る/多田有花
春を迎えたばかりの山に、気を引き締めてこれから入るという思いが伝わってきます。 (高橋秀之)

★明日寒明け青空市に花並ぶ/祝恵子
明日は、嬉しい「寒明け」で、「寒の時期が終わって、立春となる」のである。「青空市に花並ぶ」であれば、明日の寒明けは、明るくて、なおのこと嬉しい。(高橋信之)

★梅咲いて軽き会釈の行き交える/藤田洋子
梅咲いて、その下での「軽き会釈」は、春近しの軽く明るい風景だ。(高橋信之)

★春北風やはるか鞍馬の峰白く/桑本栄太郎
春を迎えた京都。まだ北風が冷たく、遠く仰ぐ鞍馬の山は雪化粧をしています。「鞍馬」という地名が句に広がりを与えました。春らしい暖かい日を待ち望みながら、峯の雪を仰ぐのも京都らしい暮らしの一こまです。(多田有花)
1月半ばの歩き会で京都を囲った峰峰の冠雪を見ました。まだ残っているのですね。春が待ち遠しい京の街です。(祝恵子)

★梅一輪の位置定まりて青空に/高橋信之
伸びた枝の中でひとつの花が開き始めました。それによって、枝も景色もしっかりとした焦点を得ました。梅が咲き始める頃の明るくきりっとひきしまった空気が思われます。(多田有花)
未だ寒さ厳しいながらも、水色の空に梅が一輪咲き綻びました。大きく広がる青空の下から梅の木を眺めれば、先初めのたった一輪の梅はその所を得た。確かなる梅の咲き初めの情景がよく捉えられている。(桑本栄太郎)

★夕映えを梅の蕾も受けとめる/川名ますみ
おそらく鉢梅の夕景と想われますが、今日か明日かと梅の開花を待ち望んでいる作者が想われる。蕾の開花を待ちながら、暖かい春を待っている心情がよく窺える。(桑本栄太郎)

★立春や子等のあいさつ歯切れよし/井上治代

【入選/6句】
★春立ちて明日香の里の鳥の声/河野啓一
春を待っていた鳥の声が明るく響き、のどかな明日香の風景が広がっています。これから少しずつ暖かくなっていくのを楽しみにしている、作者の様子を思い浮かべることができました。 (井上治代)

★いつしかに花器の柳の枝芽吹き/柳原美知子
断ち切られた柳の枝でも春が来ればちゃんと芽吹く。自然の命の確かさを感ずる一句です。 (内山富佐子)

★人やさし山河うるわし国建つ日/河野啓一
建国記念の日、人に恵まれ、美しい自然に恵まれ、日本のよさを再認識いたします。国を愛する心、未来への願いが感じとれます。 (藤田洋子)

★立春の朝に新しい服おろす/高橋秀之
まだ寒さが残っていても、立春という言葉を聞いただけでうきうきしてきます。新しい服を着て颯爽と歩いてみたい気持ちがよく分かります。(井上治代)

★青空を映してつづく雪の道/迫田和代
青空のもと、日に輝く雪の道が清々しく美しいかぎりです。寒さの中にも、春の兆しが感じる情景に心明るくなれます。(藤田洋子)

★噴煙の南へ流る余寒かな/小口泰與
「噴煙の南へ流る」であれば、北風吹く「余寒」である。「南へ」という言葉がいい。一句の中で詩の言葉となった。(高橋信之)

■選者詠/高橋信之
★梅の香につつまれ歩く幸せに
実感です。梅の高雅な香りにつつまれて歩ける幸せ いろいろ考えながら。素適な一時ですね。 (迫田和代)

★冬芽空へ空へ確とした意思がある
冬芽が空へとのびている、空へ空へと重ねたことで冬芽たちが意思を持って、大空に向かって伸びている姿が見てとれるようです。(祝恵子)

★梅一輪の位置定まりて青空に

■選者詠/高橋正子
★くらがりを戻りて暗きへ豆を打つ
節分の夜、家の隅々まで豆を打ちます。今は人が居ない、灯りの消えた部屋も、念入りに。ほの暗い廊下を行きつ戻りつ鬼遣らいをなさる、ご家族を想うお気持ちが、温かく沁み入ります。(川名ますみ)
節分は立春の前の夜をさし、豆まきは夜におこなうのが本来の姿とか。「くらがりを戻りて暗きへ」という繰り返しが面白く、昔から続く豆まきの習俗の姿が浮かび上がってきます。邪気を払う祈り、願いの姿です。 (多田有花)

★夕べの月しろじろ年の豆を打つ
夕べの「月」が昇れば、「豆を打つ」ことも、日本の風景らしい、昔からの親しみを感じる。「豆を打つ」ことは、日本の今の日常であるが、日本の原初からの風景に思える。(高橋信之)

★立春の窓から強き朝が来る

■互選高点句
●最高点(9点)
★靴紐を締めて春立つ山に入る/多田有花

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
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14 コメント

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コメント (井上治代)
2015-02-05 10:56:04
春立ちて鳥跳ねている塀の上/柳原美知子
春が近づくと鳥たちの活動も活発になってきます。高い鳴き声が聴こえたり、木から木へ飛び移り木の実をつついたりしている様子を見かけます、立春の日に鳥が嬉しそうに跳ねている姿は可愛いかったことでしょう。

立春の朝に新しい服おろす/高橋秀之
まだ寒さが残っていても、立春という言葉を聞いただけでうきうきしてきます。新しい服を着て颯爽と歩いてみたい気持ちがよく分かります。
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コメント (藤田洋子)
2015-02-05 13:07:36
★節分の一人の豆撒き丁寧に/井上治代
家人の居ない節分の夜、お一人なればこそ念入りに撒く年の豆に、家内の幸を願う気持ちが込められているようです。季節の行事を大切になされ、丁寧な日々のお暮らしがうかがえます。

★青空を映してつづく雪の道/迫田和代
青空のもと、日に輝く雪の道が清々しく美しいかぎりです。寒さの中にも、春の兆しが感じる情景に心明るくなれます。
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コメント (多田有花)
2015-02-05 15:50:34
★春北風やはるか鞍馬の峰白く/桑本栄太郎
春を迎えた京都。まだ北風が冷たく、遠く仰ぐ鞍馬の山は雪化粧をしています。
「鞍馬」という地名が句に広がりを与えました。
春らしい暖かい日を待ち望みながら、峯の雪を仰ぐのも京都らしい暮らしの一こまです。

★梅一輪の位置定まりて青空に/高橋信之
伸びた枝の中でひとつの花が開き始めました。
それによって、枝も景色もしっかりとした焦点を得ました。
梅が咲き始める頃の明るくきりっとひきしまった空気が思われます。
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コメント (桑本栄太郎)
2015-02-05 18:22:20
★梅一輪の位置定まり青空に/高橋信之
未だ寒さ厳しいながらも、水色の空に梅が一輪咲き綻びました。大きく広がる青空の下から梅の木を眺めれば、先初めのたった一輪の梅はその所を得た。確かなる梅の咲き初めの情景がよく捉えられている。

★夕映えを梅の蕾も受けとめる/川名ますみ
おそらく鉢梅の夕景と想われますが、今日か明日かと梅の開花を待ち望んでいる作者が想われる。蕾の開花を待ちながら、暖かい春を待っている心情がよく窺える。
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コメント (祝恵子)
2015-02-05 21:41:53
★春北風やはるか鞍馬の峰白く/桑本栄太郎
1月半ばの歩き会で京都を囲った峰峰の冠雪を見ました。まだ残っているのですね。春が待ち遠しい京の街です。

★冬芽空へ空へ確とした意思がある
冬芽が空へとのびている、空へ空へと重ねたことで冬芽たちが意思を持って、大空に向かって伸びている姿が見てとれるようです。
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お礼 (河野啓一)
2015-02-06 10:02:55
信之先生、正子先生
お忙しいなか立春句会を有り難うございました。春の気配を感じつつ勉強させていただきました。藤田さま、集計のお世話有り難うございました。
「春立ちて」と「国建つ日」を入選句におとり下され御礼申し上げます。また同句に嬉しいコメントや選をいただいた井上様、藤田様、多田様、誠に有難うございました。
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お礼 (迫田和代)
2015-02-06 14:19:09
信之先生
正子先生
このたびはお忙しい中立春ネット句会を開催なさり有難うございました。私用で御礼が遅くなって御免なさい。入選句にお選びいただき有難うございました。
藤田 洋子様
藤田様のコメントとても嬉しかったです。有難うございました。
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お礼 (祝恵子)
2015-02-06 16:06:25
信之先生、正子先生、立春ネット句会の開催をありがとうございます。
両先生に特選を、金賞まで頂き感激です。嬉しい句評も賜りましてありがとうございました。
迫田和代様には「立春」に、藤田洋子様、川名ますみ様、多田有花様、柳原美知子様には「寒明け」に選を頂きましてありがとうございました。
藤田洋子様、いつもお世話になります。
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御礼 (桑本栄太郎)
2015-02-06 18:44:00
高橋信之先生、正子先生
お忙しい中、立春ネット句会を開催頂き、大変有難うございます。
信之先生には「米櫃のかろき音たて春迎ふ」の句を特選句にお選び頂き、想い出深いコメントも頂戴しまして大変有難うございます。今では米櫃はライスボックスですが、立春を迎える二月は食品の種類も少なくなり、端境期でもあります。同句に貴重なる選を賜りました、迫田和代様、河野啓一様、内山富佐子様、高橋秀之様、多田有花様には心から御礼申し上げます。
又、正子先生には「春北風やはるか鞍馬の峰白く」の句を特選句にお選び頂き大変有難うございます。祝 恵子様、多田有花様には嬉しい素敵なコメントを頂戴しまして大変有難うございます。
藤田洋子様には、「枝つたうように芽吹きやゆきやなぎ」の句に貴重なる選を頂戴し、その上いつもながら集計の労を頂き、大変有難うございます。
両先生を初め、会員の皆様には立春を迎えたとは言え、まだまだ寒い日が続きます。どうぞご自愛を頂き、お風邪など召しませんよう!!
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お礼 (柳原美知子)
2015-02-07 00:07:20
信之先生、正子先生、立春ネット句会を開催していただきありがとうございました。
皆様と共に春を迎える喜びを感じさせていただきました。
「春立ちて鳥跳ねている塀の上」を信之先生の特選句にお選びいただき、「いつしかに花器の柳の枝芽吹き」を入選句にお加えいただき、とても嬉しく感謝申し上げます。
井上治代様には、「春立ちて」に温かいコメントを、河野啓一様には選をいただき、ありがとうございました。
内山富佐子様には、「柳の枝芽吹き」に嬉しいコメント
を、井上治代様、多田有花様には選をいただき、ありがとうございました。
藤田洋子様には、いつもお世話いただき、感謝申し上げます。
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