■花冠月例句会■

俳句雑誌「花冠」の月例ネット句会のためのブログ 管理 高橋句美子・西村友宏

■2月月例ネット句会/入賞発表

2023-02-13 17:59:30 | 日記
■2月月例ネット句会/入賞発表
■2023年2月例ネット句会■
■入賞発表/2023年2月13日
【金賞】
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
蜜柑の採れない雪国へ蜜柑を送った。「香をぎっしり」に送った人の思いがこもる。届いた荷を開けたとたん、蜜柑の明るい色と香りが弾けるように出てくるだろう。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
渡り鳥が返る季節。空を帰ってゆく鳥の影が途切れずに川に映る。「川面の影」を通して詠むことで、鳥たちへの別れのさびしさが表現されている。(髙橋正子)

22.春の水峡の四方の山鳴らす/柳原美知子
山に滲みこんでいた水や雪解けの水が、春になり水音高く流れ出す。迫り合う四方の山々からも流れ出すと、うれしい春の到来となるのだ。里山の風景が詠まれて懐かしい。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
暖かくなって、草餅にする餅草を摘みに二人が現れた。「また二人」連れ立って現れたのだ。ということは、先に来た人たちもいた。春が来て蓬摘みなど、生活はますます楽しくなる。(高橋正子)

08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
年が改まって入る風呂は、湯気まであたらしい感じがする。あたらしい香りのする湯気をリッラクスして、胸いっぱい吸い込む。初風呂とはいいものだ。(髙橋正子)

38.梅咲けば庭おのずから光りだす/多田有花
梅の花は満開となっても静かな雰囲気をあたりに漂わす。庭に咲いて「おのずから光りだす」、静かな光のような花なのだ。先師の臥風先生は、梅が咲いた景色を「寂光土」と詠まれた。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
北国へ帰ろうとする鳥は何なのでしょう。鶴、鴨、雁、白鳥、いずれにせよ長い旅路の始まりです。途切れることなく列をなして飛んでいく姿は、冬から春への移り変わりを教えてくれます。 (多田有花)

21.珈琲をほっと頂く木の芽時/友田 修
木の芽時の春の息吹を感じる嬉しさの中にもまだまだ肌寒い日、コーヒーの温かさにくつろぐひとときの幸せ。「ほっと」がよく効いていて自然体の詠みぶりに惹かれます。 (柳原美知子)

03.まんさくの花芽ふくらむ葉のままに/桑本栄太郎
06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
11.差し出せる手に飛び込みぬ福の豆/廣田洋一
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃

【髙橋正子特選/7句】
8.梅咲けば庭おのずから光りだす/多田有花
春の明るい日差しに照らされて輝くように咲く梅の花によって、自然と庭も明るくなります。 (西村友宏)

17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子
早春らしい御句です。束ねられた菜の花のひとつの様子に目をとめられた細やかな観察眼と優しいお気持ちが伝わります。(多田有花)

17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子
早春らしい御句です。束ねられた菜の花のひとつの様子に目をとめられた細やかな観察眼と優しいお気持ちが伝わります。(多田有花)

22.春の水峡の四方の山鳴らす/柳原美知子
山の積雪が解け、勢いよく流れ来る豊かな水。山からの水が、また四方の山を鳴らして春が始まります。山峡に響く、春の訪れを聴かせていただきました。 (川名ますみ)

06.また二人餅草摘みに現れし/小口泰與
08.初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
10.鳥帰る川面の影の途切れずに/廣田洋一
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃
17.束ねらる菜の花蕾開きそう/祝 恵子

【入選/20句】
09.寝て起きぬひかりて根づく雪の原/弓削和人
雪国でなければ触れられない光景であり、感覚であると思います。日常のなかに雪があり、今朝は雪がやんで光が一面の雪の上に差しているのでしょう。厳しくも眩しく明るい景色が浮かびます。(多田有花)

14.手拭を浸せば透けて寒の水/吉田 晃
手拭が透けるほどの鮮烈な水の流れが冬の厳しさを感じると共に、澄み切った空気のもとで、日常生活をおくる一日の断面を切り取った瞬間が快い。 (弓削和人)

20.空の青薄く明るき春の朝/友田 修
春の朝の景色は薄く明るい青で、この句の通りである。上手い写生句である。(廣田洋一)
ぼんやりと明るい春の光を感じます。 (髙橋句美子)

25春の雪片手のクレープほかほかと/西村友宏
春の雪の白さとふわふわした質感が クレープとよく合っていて、軽やかで若々しい句ですね。 (柳原美知子)

26.新しきワイシャツ白く春の朝/西村友宏
新しい白いワイシャツと春の朝から、冬から春へと季節がまた巡ってきて、輝く希望を感じます。(友田修)

27.白梅や神社参りの背を伸ばす/西村友宏
神社へお参りに来て見れば、境内の白梅はもうすでに咲いて居り、その神々しい花と香りに、作者は思わず背筋を伸ばしました。 (桑本栄太郎)

30.豆まきの升をあふれて跳ねる豆/髙橋句美子
升から零れ落ちた節分の豆を見て「跳ねる豆」と詠まれたところに明日立春を迎える喜びが感じられ、素敵だと思います。 (柳原美知子)

40.春立つ日新しき刃が髪を断つ/川名ますみ
「立つ」と「断つ」。日本語は同音異義語が多く、そこから独特の連想を生みます。髪を切るのは何かを断ち切るような感覚、そして春が立つのは新しい始まりです。(多田有花)

41.新しき鋏の響き今朝の春/川名ますみ
 春とは言え2月はまだ極寒の月ではあるが、次第に温暖の日が多くなり、草木が芽ぐむ季節となる。新しい鋏で古い草木の枝を剪作者の気持ちの良い景が浮かびます。 (小口泰與)

02.薄氷の片方に寄りぬにはたづみ/桑本栄太郎
04.月光に妙義の奇岩冴返る/小口泰與
05.噴煙の広ごる先の余寒かな/小口泰與
07.みちのくの道はさびしや雪霰/弓削和人
15.冬灯し万年筆の黒き字へ/吉田 晃
18.頂きし冬の野菜はキッチンへ/ 祝 恵子
23.村はずれ一樹に咲き初む薄紅梅/柳原美知子
29.節分の赤鬼の面陳列され/髙橋句美子
37.足もとに青き輝きいぬふぐり/多田有花
40.春立つ日新しき刃が髪を断つ/川名ますみ
43.春の夜の灯りの下で妻を待つ/髙橋秀之
44.建国の日の丸眺める銀婚日/髙橋秀之

■選者詠/髙橋信之
31.たらの芽がしずかに白い皿の上
たらの芽のみずみずしいみどりが白い皿に映え、山の春の息吹と香りが感じられる食卓。静けさの中にも春到来の喜びが感じられるひとときです。(柳原美知子)

32.蓮根の穴が九つこれ立春
33.みな赤くパックに詰まり春いちご

■選者詠/髙橋正子
34.つぎつぎと水をくずして春の鴨
次々にやってきた鴨たちの着水、賑やかなことでしょうね。 (祝恵子)

35.満作の花よ悴む手を触れて
日本固有の木で、昔から生薬として重宝されてきた。しもやけや湿疹に効能があるという。詠者は幼少の昔、この葉の世話になったのだろうかと思ったりもする。悴む手を触れてそのことを思い浮かべているのであろうか。「満作の花よ」に込められた思いを想像する。(吉田晃)

6.雪どけの道濡れきって春の月

■互選高点句
●最高点句(7点)
13.雪国へ送る蜜柑の香をぎっしり/吉田 晃

集計:髙橋正子
コメント (13)
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