私の実習先の病院は一番上のシェフ(executive chef ) が午後、病棟を回ります。
食欲がなく、体重が減りがちな癌患者にとって食事を十分に食べて体力をいかに落とさないかというのは
とっても大切なんです。
そのため、病院の料理は患者さんの好きなものを、レストランのメニューのようなたくさんの品目の中から
自分の好きなものを好きな時間に病室からして注文します。
料理は一時間以内に部屋に運ばれてくることになっているので、
患者さんは自分の食べたい30分~1時間前くらいに注文するんです。
さてさて、そんな食事の質に力を入れているこの病院ですが、シェフがとってもすごい人なんです。
特にいろいろな環境の変化や、治療に大きく食欲を左右されがちな小児病棟を中心に、
食事が口に合わない人がいないか、何か食事に関して質問や意見がないか、
病室をまわるんです。
先日、ちょうど夕食の時間帯に、シェフが料理をカートに乗せてエレベーターに乗り込むところを発見!
私は自分の実習時間は終了していたので、思わず
「一緒に病室に行ってもいいですか?」って聞いてみたら OKだというので
ついていきました。
シェフが病室に入ると部屋から大きな歓声が。
個室にはまだ幼い患者さんとご両親らしき人が。
さらにシェフが料理のふたを開けるとその男の子が
顔を赤らめて「きゃー!」と感激の声。
どうやら男の子が特別に食べたいものをシェフにお願いして
つくってもらったみたいなんです。
男の子は頭にシェフとおそろいのコック帽をかぶっていて、シェフの大ファンのようです。
でも憧れのシェフを目の前にしてすごい恥ずかしがりよう。
お母さんに抱きついて真っ赤になって喜んでます
そしておかあさんにこそこそ声で何か一所懸命伝えています。
お母さんが「自分でシェフに言ってみなさい」と男の子に言うんですが、
男の子はシェフにお願いごとがあるのに恥ずかしくて直接言えないみたいなんです。
シェフが「なんでも言っていいよ」っていうのに
なかなか男の子が言えないので、見かねたシェフが
「じゃあ私後ろ向いててあげるから、そしたら言える?」って男の子に聞いて
男の子に背を向けました。
そしたらやっと男の子が小さな声で
「また好きな料理頼んでもいい?」って。
シェフはすごい大笑いして「なーんだ、そんなことか。2回目どころか何度でも好きなもの言って!作ってあげるから!」って
男の子の喜びようったら!体をくねらせて喜んでました。
そしてもう一つお願いがある・って
男の子はあこがれのシェフとおそろいのコック帽にシェフのサインをもらいたかったんです。
男の子はシェフにサインをもらい、さらにツーショットで写真をとってもらい、本当にうれしそうでした。
そしてそれを見守る両親のうれしそうな顔!!!
癌の治療って大人でも大変なのに、小さな子供はたくさんの大人に囲まれて毎日つらい治療と戦っています。
そんな子供にあれだけの幸せなひと時をプレゼントできるシェフって、本当に素敵だなと思いました。
もちろん憧れのシェフに好きなものを作ってもらった男の子はきっといつもよりもたくさん食べれたんじゃないかなと思います。
シェフだけでなく、この環境をコツコツと作り上げてきた栄養部の人たちに脱帽です。
友達に「癌専門の病院で働くなんて大変だね、毎日死とかに向き合って、すごくつらそう」って言われることがあるんですが、
そんな中でもささやかな喜びや幸せがたくさんあるんだな。
そんなささやかな幸せを大切にしてる人たちって素敵だなって思いました。
素敵なお話をありがとうございます。ほんとに、素敵。
私だって患者さんを喜ばせてあげたい、頑張りたいって、そう思いました。
AKIさんは尊敬する大先輩。
お会いしたことはないけど、
日本にいた頃からmaluさんのようにAKIさんのページを見ていました。
私はまだまだインターンの身ですが、
感じたままにアメリカの医療事情をアップしていきたいと思っているのでこれからも
たまにのぞいてみてくださいね。
そして、日本の医療現場からのコメントいただけるととっても嬉しいです。
私は大学院を決めるのはとてもとても悩みました。
ただ、最終的に決め手になったのは以下です。
1.American Dietetic Association (アメリカ栄養協会)に
RDをとれるとして認定されている大学院
2.修士とRDを同時にとれる大学院
3.自分の学力で合格をもらったところ
4.大学の立地と気候
上記で行きたいと思った大学院は
アメリカに見に行きました。
結局見てから出願しないことにした大学はありませんが、
出願準備中いろいろ大変な中で実際にキャンパスを見たということは
自分の近い将来の姿を具体的に感じられてとても励みになりました。
また、ネットを通じて行きたい大学に実際に通っている方に
連絡をとって話を聞いたりもしました。
苦労して選んだ大学院ですが、
私はいろいろあって渡米後一年で
他の大学に転学しました。
転学はそれはそれで大変でしたが
二つの大学院を経験できるのはなかなか
ない経験なのでそれはそれでよかったかと。
学費も一つの検討材料ですね。
がんばってください。