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医学と統計(95)

2013-10-25 12:20:54 | 日記・エッセイ・コラム
精度管理とYoudenplot について(1)。

臨床検査の現場では、特に生化学検査では日常的に精度管理が行われています。いわゆる、管理図法と言われるもので自動分析機の精度の指標として用いられています。
臨床検査における精度管理は長年の研究や経験から優れた方法が開発されています。今回、ここに紹介する「Youden plot(双値法)」は、特に目新しいものではありませんが、臨床検査のみならず色々な分野で役立つと思いますのでご紹介しておきます。
まずは、
精度管理用管理血清の仮想データを使ってみましょう。

A法によるデータ
A1:20.5, 21.1, 21.5, 22.3, 22.7, 23.6, 20.9, 21.4, 23.5, 22.3, 23.5, 22.5, 22.5, 23.4, 24.0, 24.5, 24.8, 24.7, 24.9, 27.2
A2:20.5, 20.7, 21.5, 21.7, 22.3, 22.4, 21.2, 21.5, 23.5, 22.9, 24.1, 23.5, 23.5, 23.5, 22.7, 24.2, 24.4, 24.7, 25.1, 27.0

B法によるデータ
B1:21, 19.8, 21.0, 21.0, 20.5, 20.3, 21.5, 21.9, 21.0, 22.0, 20.8, 21.0, 21.0, 22.0, 22.1, 22.3, 22.0, 21.9, 21.0, 22.0
B2:19, 21.0, 21.0, 20.8, 21.0, 20.3, 21.8, 21.7, 21.0, 21.3, 20.6, 21.0, 22.0, 21.5, 22.5, 21.9, 21.9, 22.6, 23.7, 20.0

図1:A法による Youden plot
Youden_amehotd
横軸(x)はA1値、縦軸(Y)はA2値の散布図(相関係数 r=0.933、変動係数 CV=7.04%)。

図2:B法による Youden plot
Youden_bmethod
横軸(x)はB1値、縦軸(Y)はB2値の散布図(相関係数 r=0.339、変動係数 CV=4.03%)。

図1と図2 において、実線の楕円形と円形は説明上、適当に描いたものです。実際には、90%又は95%信頼楕円や相関楕円あるいは 80%確率楕円を用いるのが良いかと思います。
要するに、
X軸とY軸の2つの値の相関が高ければ楕円形分布に、低ければ円形分布になります。
この例での、
図1は系統誤差(例えば、Caliblation の誤差など)が、図2は確率誤差(例えば、ランダムなバラツキ誤差など)が
疑われます。また、系統誤差は正確性(Accuracy)に、確率誤差は精密度(Precion)に対応づける様ですが、臨床検査のもろもろの誤差要因が複雑に絡みますので単純ではありません。

臨床検査値は日々の精度管理の努力によって信頼性が保障されています。

次回に続く。







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