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AHP(Analytic Hierarchy Process、階層分析法)について。
前回、前々回と同じアンケート・データを用いてAHPについて考えてみたいと思います。
AHPはサーストンやシェッフェの一対比較に「代替案」を取り入れたものと考えることが出来ます。アンケートでのAEDに対する質問は、
A:誰でも使用出来るのが良い。
B:医師や救命救急士(有資格者)に限るべきだ。
C:間違っても安全であること(誤操作で作動しない)。
でした。そして、そのプライオリティは表1の様にまとめる事が出来たとします。
すなわち、
誰でも使用できること(A)は、
有資格者に限る(B)より”やや重要”で、AEDは誤動作しないとの前提なら、
安全である(C)よりも、誰でも使用できることが”非常に重要”であるとなります。
AEDの使用は有資格者が行うべきだ(B)は、
安全で誤動作しない(C)と云っても、やはり、有資格者に限った使用の方が”かなり重要”であるとなります。
AEDの安全性(C)は、
厳格なME機器の審査で安全性が保障されているのなら、誰れも使用出来ることが”非常に重要”と判断されます。
この結果は、AEDに関して相対的な尺度で判断したもので、ここでの、一対比較は、
1=同じくらい、3=やや重要、5=かなり重要、7=非常に重要、9=きわめて重要
であり、その逆は、
1/3、1/5、1/7、1/9 で表します。また、2、4、6、8、は中間のときに使います。
ここで、
表1の重要度の指数は、
A=0.649、B=0.279、C=0.072 で 表1の整合性 (CI:Consistency Index ) は CI=0.032 であり、CI<0.1 ですので有効とみなします。
表1の一対比較から、救命救急におけるアンケートからAEDの使用は「誰でも使用出来る」ことが重要と判断されますが、AHPでは図1の様な階層構造から、最上段の”救命救急処置”でのプライオリティを考える事になります。
図1 階層構造
AHPでは、図1の様な階層構造を考えて目的である”救命救急処置”に求められる”評価基準”の重要さを判断し、次に、”評価基準”から見て重要な”代替案”を決め、最終目的である”救命救急処置”に重要なものは何かをアンケートから導きます。
次回に続く!