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各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

医学と統計(6)

2007-04-26 10:17:24 | 日記・エッセイ・コラム

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統計データの分析や解析のご依頼は「情報統計研究所」にお問合せ下さい。

情報統計研究所(ISL)のご紹介

情報統計研究所に寄せられる看護研究の多くはアンケート調査データです。アンケートの要約はグラフによる視覚的な表現が有効ですが、統計的検定や推定の問題も大切になります。所謂、出現度数の比率の差を検定するものです。看護研究に多いアンケート・データも多変量解析の対象となるものが多々あります。医学研究同様に主成分・因子分析を第1に考えてみては如何でしょう。

最近では共分散構造分析であるSEMやGMなどグラフィカル分析手法が気軽に使えるようになっています。共分散構造分析も主成分・因子分析や重回帰分析の延長線上にあると言えます。情報統計研究所を利用して多変量解析をもっと多用して欲しいものです。ところで、

L行×M列の分割表におけるカイ二乗検定で有意差が出れば有意差のある組み合わせを検討します。すなわち、2×M列であれば、どの行に有意差が有るかを調べる必要があります。ここでのカイ二乗検定は出現比率(度数)の差の検定ですが、もし、その比率(度数)に何らかのトレンド(傾向)があると順序カテゴリーの分割表として扱われます。順序カテゴリーとは「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」などとか、「-」「+-」「+」「++」「+++」とか言った大きさや順序がある分割表にまとめられたものです。

ある日、情報統計研究所に次の様な2列×5行分割表(参考図書例題)の質問が寄せられました。

question[1,2,3,4,5]、male[5,15,35,30,15}、female[10,25,30,25,10]

(不満=1、やや不満=2、どちらでもない=3、やや満足=4、満足=5)

このデータを通常のカイ二乗検定を行うとChiSq=6.0058(df=4),p=0.1987 となり有意差がないと判断されます。しかし、このデータの出現率には単調な傾向(q1<q5)がありそうです。そこで、傾向性仮説の検定を行ってみると、

ChiSq_trend=4.9221(df=1),p=0.0265 で有意差が認められました。

ちなみに、SAS-JMPでは「順序ロジスティック回帰」で実行しますが、その結果はChiSq_JMP=4.8129(df=1),p=0.0282 となりました。この様に、平均値差よりも順序を伴った変化を調べるときは、ここでの傾向性の検定を適用すべきでしょう。