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ペンギンの憂鬱
2004
アンドレイ・クルコフ


ソ連解体後のきな臭いウクライナはキエフを舞台に売れない作家と鬱病のペンギンが暮らす。そしてその周りで起こるおかしな出来事。
ちょっと聞いただけで鬱陶しくなるような設定です。
ペンギンと暮らすというと、どうしても「エヴァンゲリオン」を連想してしまうのですが、そういうお話ではありません。

あっさりとした、結末なのかもよく分からない終わり方をするお話で「うっそうとした」という感覚です。サスペンスのようなお話ですが、何が解決するでもなく物語は続く。
以前読んだ講談社ノベルスの佐藤友哉「フリッカー式」での「無理矢理にトリックを文学で解決してしまう」(高橋源一郎氏談)感じです。でも、それが悪いわけではありません。
ラストの主人公の行動なんて普通に考えたら全く意味も分かりませんし、理由も分かりませんが、全体を通して感じることの結果としては合っているという感覚です。ぎっちぎちに理詰めで感情を解説するよりはこっちの方が好きです。


風邪をひいて、ぼーっとしながら読んでいたので所々誤解しているかも知れません。感想の殆どが読んだときの体調とか気分に相当左右されるので、この本にあまり良い感想がもてませんでした。
ぽかぽか休日の昼間向けではなく、クソ寒い日の晩にストーブでも焚いて読む感じです。

ペンギン、飼ってみたいです。やっぱり寒いところじゃないと駄目なんでしょうか?
これでも買って落ち着きます。

余談ですが、この本、完全にジャケ買いしました。
多分、半年くらい前にどこかの書店をふらふらしていたときに目に付き、その場では買わず、しかし、その後、文芸コーナーをうろうろするたびに目に入る。
全く知らない作家でしたし、どこかで書評を読んだわけでもないのですが、やけに惹かれ、ついに読んでみました。
自分で言うのもナンですが、自分の嗅覚はたいしたものです。
止まらなくなるほど無茶苦茶面白かった訳ではないのですが、「あー、こういうの好きだわ」です。
以前、遊びに行った京都は一乗寺の恵文社という本屋なんだか雑貨屋なんだかにてCDを買った時のことを思い出しました。お店自体も恐ろしく好みのチョイスで、そこにあったCDがあまりにも気になり、ジャケット裏を読んでも全く知らない人ばかりのmorr musicというレーベルのコンピ。あまりにも好きそうな臭いが充満していたので、買ったらヒット。近所にあんな店あったら良いなぁ。

で、この本、「どうも村上春樹っぽいな」と思い続けて読んでいたんですが、多分、好きだからそう思うのだろうと思っていましたが、訳者あとがきにて「これって村上春樹っぽくない?」なことが書いてありました。それベースで選んだのではなかったのですが。恐るべし。
やっぱり、好きなモノって寄ってきますね。

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