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高谷史郎「tangent(タンジェント)」感想。

2024年02月12日 23時50分00秒 | アート・文化



おそらく極私的な解釈をした感想かもしれませんので、まずそこはお断りをしておきます。

2016年にびわ湖ホールで「ST/LL」観てから8年。もうそんなに経っていたのか?思うほど高谷さんはここ数年、間を置かずDumb Type(ダムタイプ)を含め作品制作に没頭され、その精力的な活動に圧倒されるばかりなのですが、今回「tangent(タンジェント)」の公演予定を知ったとき、またもや圧倒されたのでした。
それは付け加えると、今年3月下旬から4月にかけて東京・新国立劇場と京都・ロームシアター京都で公演される、RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI「TIME」の予定をすでに聞いていて、その公演を控えている中での今回の「tangent」だったということもあります。


いつも芸術を鑑賞する時は、事前にできるだけ関連する情報を入れないようにして、できるだけ「素」の状態で鑑賞するようにしています。
ただ今回タイトルの「tangent」と聞いて、高校生の時に習った、三角関数、sin(sine)、cos(cosine)、tan(tangent)を思い出したのは言うまでもないのですが、なにぶん賢くない僕の頭は「何だったけ?」とそこで思考が停止。やはりあまり構えないようにしました。
それでも、会場入りして渡されたパンフレットの高谷さんの文章だけは読んでしまったのですが、ちょっとそれは鑑賞中いろいろな理解の手掛かりになったのではないか、と思います。

今回も高谷さんは音楽を坂本龍一さんにお願いしようとしていたのですが、悲しいことにそれはかなわず、高谷さんが考え抜かれた結果、去年リリースされたアルバム「12」の音を使うことになったようです。

本来はここから印象に残った舞台のシーンを取り上げ感想を書こうと思ったのですが、今後も世界で公演の予定があるとのことで、それはやめてこの舞台でのパフォーマンスを総じて、「tangent」なので3つのキーワードで表すとすれば、

音、光、人、

でしょうか。
この3つがいろいろな形で接する、触れる。
そして、音の部分には終始何かしら「坂本龍一さんなら、こうしたんじゃないか?ああしたんじゃないか?」という試行錯誤が感じられ、それはおそらく的を射ていたように思います。
「12」の音は非常に合っていました。

強いて、ひとつだけシーンを取り上げることが許されるのであれば、このパフォーマンスで唯一激しいかった音と光が乱れ合うことがしばらく続く中で、天井からぶら下げられ舞台中央で円を描くようにまわっていた球体を、舞台袖から出てきた演者が両手でパシッとつかまえ、その瞬間、舞台が暗転して終わるシーン。

僕はすごく気持ちが高ぶりました。
僕にはまるで、この地球上に起こるあらゆる事象。その中でも人が起こしたものは人でしか終わらせることができない、と言っているかのようでした。
つまり言い換えれば、戦争を起こすのも人間、終わらせるのも人間。

そのように高谷さんがメッセージをこめていたかは僕には知る由もないのですが、坂本龍一さん最後のアルバム「12」がリリースされてから一年、おそらく世界でいちばんこのアルバムを聴きこみ、パフォーマンスでどのように使うか?あるいはここからイメージをどのように広げていくか?を考えていたのではないかと推察する時、そこにウクライナでの戦争が終わらないまま、さらに起こったガザでのジェノサイドに坂本さんがいれば無視はしていなかったことは想像に難くないことであり、おそらくそれ自体も高谷さんは考え及んでいた可能性はあるかと思います。

さらに率直に言えば、この作品はもしかすると長らく一緒に作品制作をしてきた坂本さんへの鎮魂歌なのかもしれないとも思いました。

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