神が宿るところ

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オシャモッツアン

2011-04-20 22:54:36 | その他
焼津市「花沢の里」の道を日本坂峠に向かって上っていく途中に、「オシャモッツアン」と呼ばれる、岩が露出した場所がある。単なるゴツゴツした岩なのだが、祈ると歯痛に霊験あらたか、という。花沢の里(2011年4月19日記事)
「オシャモッツアン」とは不思議な名であるが、「焼津市史 民俗編」(平成19年7月)によれば、「花沢の里」にあるもののほかにも、同名のものについて記載されているが、全く別のものである。
それは「左口神社」で、左口公会堂(焼津市小川新町4丁目3-18)の敷地の奥に鎮座している。元々、この辺りには「左口森」という森があって、通称「オシャモッツァン」といわれる「左口神社」が祀られていた。旧・小川村の時代(明治2~昭和27年)には近くに避病院が設けられ、赤痢患者などが隔離されたが、全員が退院すると村役場から吏員がきて、この社の前で祭事を営んだ。元の避病院の跡は現在、隣接する「左口森公園」となっている。当神社の祭神は猿田彦命だが、御神体は男根状の石神とされており、男のシモの神さん、悪病避けの神さん、子宝の神さんなどと呼ばれていた、という。一般に、神社は社殿を南向き、又は東向きに建てるが、当神社は西向きになっている。南向き・東向きというのは日の出の方向で、当神社が西向きなのは、日の入り、すなわち陰の方向であり、陰=シモに関することに御利益があるのだという。
隣の藤枝市では「オシャモッサマ」というものがあり、村の隣接点に神仏を祀る例がある、という。藤枝市平島の「オシャモッサマ」は、平島・水守・市部の三ヵ村が接する水田の中にあり、こんもり土が盛られた上に榎、杉、漆、槇などの木が生い立ち、一種の塚となっている。地元の人々は「神様を祀る場所なら勝手に動かすこともできないので、揉め事にならなくてよい」と考えている、という(「藤枝市史 別編民俗」(平成14年3月)による。)。
以上、3つの「オシャモッツアン」は、名前は同じでも、「モノ」は異なる。共通するのは、①隆起したもの、あるいは凸形であること、②信仰の対象であること、があげられる。実は、「左口神社」は東日本で広く信仰される神社で、「諏訪神社」と関連が深いとされる。現在の「諏訪神社」の祭神は建御名方神であるが、一説では、元々「ミシャグヂ」という神が信仰されていたとされる。「ミシャグヂ」神がどんな神だったか不明だが、元は巨岩や巨木などに対する自然信仰だったともいわれている。この「ミシャグヂ」神に、「御左口」神という字が当てられたとされる。
「ミシャグヂ」と「オシャモッツアン」、似ているような、似てないような、という感じだが、どうだろうか。


写真1:焼津市小川新町鎮座の「左口神社」。祭神:猿田彦命


写真2:社殿脇にある御神体のレプリカ?
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