神が宿るところ

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大生郷天満宮

2021-05-15 23:26:23 | 神社
大生郷天満宮(おおのごうてんまんぐう)。別名:御廟天神。茨城県神社庁のHPでは、単に「天満社」となっている。
場所:茨城県常総市大生郷町1234。茨城県道123号線(土浦坂東線)と同134号線(鴻野山豊岡線)の交差点から、134号線を南へ約1.4km、「東仁連川」を渡ったところで左側道に入り北東へ約120m、突き当りを左折(北へ)したところが「一の鳥居」。なお、駐車場は1つ手前の交差点で左折(北西へ)して約250mのところにある。
社伝によれば、九州・大宰府(現・福岡県太宰府市)に左遷された菅原道真が三男・景行に「われ死なば骨を背負うて諸国を遍歴せよ。自ら重うして動かざるあらば、地の勝景我意を得たるを知り、即ち墓を築くべし。」と遺言して、延喜3年(903年)に亡くなった。景行も左遷されて駿河権介となっていたが、赦されて諸国を巡った後、常陸介として常陸国に着任した折、延長4年(926年)、筑波山北麓の現・茨城県桜川市真壁町羽鳥に塚を築いて遺骨を納めた。その3年後の延長7年(929年)、現在地に遺骨を遷し、社殿を建立したという。なお、当神社の創祀には平良兼(平将門の叔父で敵方)が協力したとか、景行は平将門の弟・将平の学問の師であったとかの伝承もあり、移転には、こうした人間関係が影響したかもしれない(桜川市真壁町は良兼の本拠地で、常総市は将門の本拠地に近い。)。天正4年(1567年)、兵火により社殿焼失したが、下妻城主・多賀谷氏の援助で再建された。大正8年の火災により再び焼失して、現在の社殿はその後再建されたものという。当神社によれば、関東から東北にかけて最古の天満宮であり、遺骨を御神体として遺族によって祀られた唯一の天満宮であるとして、「日本三天神」の一社に数えられているという。祭神:菅原道真公。
因みに、現・茨城県桜川市真壁町羽鳥に、菅原景行が道真の遺骨を納めたという古墳がある。「羽鳥天神塚古墳」と称し、現状は直径約18m、高さ約4mの円墳であるが、発掘調査によれば元の直径は約35m、更に周溝も含めると直径約44mに及ぶと推定されている。横穴式石室があったようだが、殆どが破壊されており、副葬品も殆ど発見されていない。築造時期は6世紀末~7世紀初頭とされている。ということで、この古墳が道真の遺骨を埋納するために築造されたものではないだろうが、下の写真10でもわかるように、筑波山がよく見える場所である。
蛇足:「日本三(大)天神」といえば、「太宰府天満宮」(現・福岡県太宰府市。延喜19年(919年)、菅原道真の墓所の上に社殿が建立されたという。)と「北野天満宮」(現・京都市上京区。天暦元年(947年)、朝廷の命により建立されたという。)が全国に約1万社以上あるとされる天満宮・天満神社・天神社・菅原神社など菅原道真を祀る神社の総本社的な存在となっており、大抵はこの2つの神社が入っている。これに加えて、当神社の他に、「防府天満宮」(現・山口県防府市。延喜2年(902年)の創建で、日本最初の天満宮という。)、「大阪天満宮」(現・大阪市北区。天暦3年(949年)、第62代・村上天皇の勅命により創建されたという。)などがある。なお、「谷保天満宮」(現・東京都国立市)は延喜3年(903年)の創建であるとして、東日本最古の天満宮と称している。


大生郷天満宮のHP


写真1:「大生郷天満宮」一の鳥居と社号標


写真2:参道の石段(男坂)


写真3:拝殿


写真4:本殿


写真5:「親鸞上人礼拝の杉」。元は拝殿の前にあった神木で、浄土真宗の宗祖・親鸞が当神社に参拝したとき、手植えしたものとされる。樹齢約700年と言われていたが、明治35年の台風で幹が折れ、大正8年の社殿火災の際に類焼してしまったという。


写真6:「刀研石」。当神社が現在地に遷座した由来を刻した石碑であるが、今では風化して文字は読めない。この石碑で刀を研ぐと、心願が叶うとされるため、その名があるという。


写真7:社殿裏手にある「菅原道真公御廟所」入口


写真8:「菅原道真公御廟所」。「御神忌千百年大祭記念事業」(菅原道真公没後1100年記念事業)として平成14年に建立されたもの。


写真9:同上、後ろに古い奥津城がある。


写真10:「羽鳥天神塚古墳」(場所:茨城県桜川市真壁町羽鳥字日月49。「桃山学園」南側入口の交差点を東に入る。「柿沼製粉(株)第一工場」の裏(東側)。駐車場なし。)。背後に見えるのは「筑波山」。夏の終わりに訪問したため、草に覆われて近づけず。南側に旧・真壁町設置の標柱があり、墳頂に石祠があるらしいが未確認。なお、墳頂の大木は桜で、春の眺めが良いそうである。
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