神が宿るところ

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大黒石

2018-09-22 23:04:05 | 名石・奇岩・怪岩
大黒石(だいこくせき)。
場所:茨城県笠間市笠間。「笠間城跡」の「千人溜駐車場」入口の手前(北西)約200m(「笠間城跡」については、前項「佐志能神社」2018年9月15日記事参照)。駐車場なし。
笠間市街地から「笠間城跡」に向かって坂道を上っていくと、道路脇に巨大な石が現れて、びっくりする。この石が「大黒石」と呼ばれるもので、次のような伝説がある。「佐志能神社」(前項)で書いたように、「笠間城」があった「佐白山」には元々「正福寺」という寺院があり、百余の僧坊があった。この「正福寺」と七会村(現・茨城県城里町)の「徳蔵寺」との間で宗門争いが生じ、ある時、「徳蔵寺」の僧兵たちが大挙して押し寄せ「正福寺」を攻撃した。不意打ちにあった「正福寺」側が山頂近くに追い詰められたとき、山頂にあった巨石が突然動き出し、「徳蔵寺」の僧兵たちを追い散らした。これによって「正福寺」は何とか難を逃れることができた。元々、巨石は2つ並んでいて、1つが「大黒天」の姿、もう1つが「大黒天」が担ぐ袋に似ていた。転がり落ちたのは「袋」に似た石の方で、「大黒天」に似た石の方は、いつの間にか消えてしまったという。ところで、「大黒天」は本来、インドの神で破壊神である「シヴァ」の化身「マハーカーラ」。「マハー」が「大きい」、「カーラ」が「暗黒」を意味し、仏教に守護神として取り入れられると「大黒天」になった。「マハー」は「宇宙」、「カーラ」は「時間」や「生死」を表すともいわれ、「死神」・「地獄の神」のような存在だった。それが日本に伝わると、「大国主命」と習合し(同一視させたのは弘法大師(空海)だという説もあるが、根拠は無いようだ。)、福神となった。背負っている袋には宝物が入っていると考えられたらしい。「大黒天」が福神になったのは平安時代末期から中世と思われるので、仮に上記のような出来事が本当にあったとしても、これが「大黒石」と呼ばれるのは後世のことではなかっただろうか。
さて、「佐白山」は、ネットでみると心霊スポットとして有名らしい(怖いので、深く立ち入らない。)。しかし、この「大黒石」は「大黒天」に所縁があるということで、幸運をもたらすものとしての伝承もある。「大黒石」に小さな窪みがあって、これを「へそ」というが、これに3回続けて小石を投げ入れることができれば(ただし、その際に、既に入っている石を落とすと無効)、幸運が訪れるという。


笠間市のHPから(大黒石のいわれ)

佐白山 正福寺のHP


写真1:「大黒石」。幅約5m、高さ約3m。


写真2:山側(写真1の裏側)に窪み(「へそ」)がある。


写真3:「笠間城跡」大手門跡の前の駐車場(「千人溜り」)の向かい側にある「笠間百坊旧跡」石碑


写真4:写真3の石碑の後ろの小道を上ったところ。石塔や卒塔婆がある。
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