備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム141.一宮(その4・備中国)

2009-03-28 19:20:11 | Weblog
備前国には「一宮」を称する神社が3つもあったが、備中国一宮は「吉備津神社」以外にはない。
「一宮」が立派過ぎて、「二宮」以下は殆ど話題に上らない。だが、岡山市北区上高田にある式内社「皷神社」が「二宮」を名乗る。鳥居の扁額にも「二宮皷神社」とある(写真上)。なぜ「二宮」とされたかは不明だが、主祭神が大吉備津彦命の后とされる高田姫命であることに関係しているのだろう。大吉備津彦命はもともとヤマトの皇族であり、四道将軍として山陽道に派遣され、吉備国を平定した後はヤマトに戻ったというのが自然だが、吉備国に残り、吉備氏の祖となったともいわれる。こうしたことから、「一宮」「二宮」が「吉備津系」の神社であることは当然ともいえる。「三宮」以下は不明。
備中国の式内社は18社であるが、個性的な神社が多い。例えば「麻佐岐神社」(総社市秦)は、拝殿のみで本殿がなく、磐座を直接祀っている。「備中国最古之社」、「全国随一最高之磐境」などといった小さな標識が立てられている。最古とか最高とかの真偽は不明だが、古式の祭祀形態を表現していることは確かだろう。岡山県神社庁のHP(下記)では「本国一宮格を定められた」と記されている。しかし、「一宮(その3・石上布都魂神社)」の項で書いたように、これは古さの問題ではない。もちろん、(「一宮」でなければ)「二宮」「三宮」であることにも、さしたる意味はないのだろうが。


岡山県神社庁のHP(皷神社):http://www.okayama-jinjacho.or.jp/cgi-bin/jsearch.cgi?mode=detail&jcode=19062

同(麻佐岐神社):http://www.okayama-jinjacho.or.jp/cgi-bin/jsearch.cgi?mode=detail&jcode=19037


写真上:皷神社鳥居。「二宮皷神社」とある。


写真下:麻佐岐神社。本殿はなく、玉垣に囲われた「磐座」そのものを祀る。