備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム137.箱畳石

2009-03-04 23:11:53 | Weblog
「大石箱疊神社」(2008年6月14日記事)を再訪した。お恥ずかしいが、最初に参拝したときには、ご神体の「箱畳石」を見損ねていたのである。当神社は神殿がなく、巨大な岩に接して拝殿が造られているので、その巨岩が「箱畳石」だと思い込んでいた。実際には、正面の左手の小道を降りていくと山腹に露出している。「箱畳石」という名の通り、四角い箱のような石が積み重なっているものである(写真上)。自然の石の節理で、備中国の式内社「石疊神社」が思い出されるが(同神社のご神体はまた別格の威容である。)、小生は栃木県鹿沼市でみた「三枚石」を思い出した。これは「古峰ヶ原(こぶがはら)」にある石で、平たい石が三枚積み重なっているため、その名があるが、「三枚」は「三昧」に通じ、修験の修行の場所となっていた。また、近くに「古峯神社(通称:天狗の社)」という古社があり、日光の修験と深いつながりがあった。「三枚石」は広場にあるが、「箱畳石」は山腹に埋まっているし、石の前は狭い。そういうこともあって、「箱畳石」のほうが、より素朴に感じる。
ところで、近くに古社「天地神社」(2008年6月9日記事)があるが、その境内に「大石箱疊神社」の遥拝所の石碑が立っている。岡山県神社庁のHPでは「大石箱疊神社」の祭神が明記されていないが、一般には伊弉諾尊・伊弉冉尊とされている。元は素朴な巨岩信仰だったのが、後世に原始神である伊弉諾尊・伊弉冉尊を当てたのだと思われる。「天地神社」の祭神も伊弉諾尊・伊弉冉尊とされていることから、あるいは「天地神社」は「大石箱疊神社」の里宮だったのではないだろうか。


栃木県観光協会のHPから(三枚石新道の紅葉):http://www.tochigiji.or.jp/1279.html


写真上:箱畳石


写真下:「天地神社」境内にある「大石箱疊神社」遥拝の石碑