シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

シャンシャン総会のようだったサミット

2008年07月13日 | 政治家 政治屋?
写真は、「NY ルーフトップ・バーで涼を」 (TRENDYnet)。

よく分かりませんでしたね、今回のサミット総括は__「… を共有する」なんて、どうにでも取れそうな話しです。 まるでいつもの総理のトークみたい。
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「洞爺湖サミット 各国メディアの反応 "辛口" 論評目立つ」(7月11日 毎日新聞) _9日閉幕した北海道洞爺湖サミット (主要国首脳会議) は、2050年までの温室効果ガス半減の長期目標を各国が共有することで合意した。 だが数値目標のない内容には、各国メディアの「辛口」の論評が目立った。

◆米国 _ 9日付ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙は、ブッシュ大統領の SHIFT (変化) との見出しを掲げた。 温室効果ガス削減の長期目標に対し、米国が関与を初めて示したためだ。 ポストは大統領の「変化」の理由を、気候変動の科学的な証拠や同盟国、議会多数派の民主党からの圧力と分析。 政府高官らが、任期が残り少ない大統領の花道作りに腐心した結果と見ている (※追加1へ続く)。
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「サミット首脳宣言はなぜ玉虫色になったのか?」(7月10日 田原総一朗の政財界「ここだけの話」/ 日経 BP net) _ 洞爺湖サミットは、前回私がここで語った予想通りの結果になった。 サミットについては、これが国家的行事だからか、マスコミはずいぶん甘い採点をしている。 だが、とてもマスコミが言うような評価はできない。

● 回りくどい表現の首脳宣言 ●
今回の洞爺湖サミットで、「2050年までにCO2を半減することに合意する」というのが、昨年の独ハイリゲンダムサミットが終わってから以後の、最低レベルの目標だった。

それ以上に、本当は2050年に至る中期目標も設定したかった。 2020~30年をめどに、xを EU は 20~25%、日本も 20% は無理だが、14~15% 減らすという、中期目標を立てるべきだという意見がとても強かった。

ところが結果的には、中期目標は立てられなかった。 それどころか、「2050年までにCO2を半減する」という「合意」もできなかった。 首脳宣言を見てみよう (※追加2へ続く)。
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1975年サミット発足当時の参加国は、G6 (仏/西独/伊/日/英/米) だった。 それが G7 (加を追加) 、G8 (ロを追加) となり、段々と参加国が増えてきた。 また元々、オイルショックとそれに続く世界不況を討議する経済会議だったのが、政治色も加えるようになった。 当初においては、様々な国際的な課題への強い影響力を有していたが、近年では影響力の低下とともに形骸化や単なるセレモニー化が指摘されている (ウィキペディアから) __などなど、どうも先進国クラブ化していると感じます。

そこでは、合意を目標としているため、反対する国が出ないような結論になっています。 つまり、合意によって不利益を受ける国が出ないような総括になり、当たり障りのないことに終始します。

当初は G6 の世界に占める総経済力が大きく、それでも良かったのですが、 G6~G8 の総経済力のシェアが低下、中印など新興経済国が大きな力を持ち始めてきた昨今は、重みが減っています。
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公的な会議では、これを付け加えようという提案が出ると、大概 賛成となります。 逆に今やっていることを縮小するか削除しようとすると必ず反対意見が出て 見送りとなることが多いものです。 かくて公的な集まりでは、あまり意味のないことが延々と続く傾向がありますよね。

その意味では、サミットの存在意義も薄くなっているようですね。 ここで実質的な討議をしようとしたら、例えば CO2 排出のことなら、実際の排出量が大きい 米/中/印+α国 でないと、討議しても効果がないでしょう。

でもピーターの法則にあるように、役人の数は増えこそすれ、減ることはないそうですから、サミットもピーターの法則の延長線上にあるのかも知れません。

今回のサミットは「ブッシュさん、長い間ご苦労サマ~」だったのかも …

以上


※追加1_ ◆ロシア _ 各紙は「この数年で最も退屈なサミットだった」(コメルサント) などと酷評。 理由については福田康夫首相の指導力不足を挙げる論評が目立った。 ブレーミャ・ノボスチェイ紙は「温暖化問題は、食糧危機問題などのため二次的となってしまった」と断じた。

◆ドイツ _ 独紙の多くは、温室効果ガス削減の長期目標に基準年が明記されていない問題などを詳細に報道。 温暖化対策のため、政府が決定済みの脱原発を数年先延ばしすべきだとの問題提起も目立った。

◆ペルシャ湾岸諸国 _ カタールのガルフ・タイムズ紙は「洞爺湖のビジョンは幻影にすぎない」と指摘。 アラブ首長国連邦のガルフ・ニュース紙も「指導者が問題を先送りしていることは明らか」と批判した。

◆インド _ インド各紙は、温室効果ガス削減が経済成長を妨げかねないと懸念する論調が目立った。 ザ・ヒンドゥ紙は、シン首相が討議の場で「我々は (温室効果ガス排出量の) 量的規制を当面考慮できない」と述べたが宣言文に盛り込まれず、インドには不本意な合意だったと報じた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ※追加2_「2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量の少なくとも 50% の削減を達成する目標というビジョンを、国連気候変動枠組み条約 (UNFCCC) のすべての締約国と共有し、かつ、この目標を UNFCCC の下での交渉において、これら諸国と共に検討し、採択することを求める」(G8 首脳宣言より)

国連気候変動枠み組条約 (UNFCCC) というのは、国連条約といってよい。

元が英文というのもあるが、表現が非常に回りくどい。 いずれにしても、G8 の首脳で「合意した」とは言っていない。「検討する」と言っているわけだ。

これでは去年のハイリゲンダムサミットから、進歩したのか後退したのかわからない。 去年のほうが、はるかにわかりやすかった。

● 三つどもえの対立をまとめるだけに終始? ●
なぜこんなわけのわからない結果になったのかというと、CO2削減をめぐっては、アメリカと EU と BRICs などの新興国が、完全にケンカ状態になっているからだ。

EU は「少なくとも、2050年までにCO2を半減するのに合意するのが、最低限の目標」と言っていた。 本当は中期目標として、「2020年までに 25% 削減」とも言っていたのだが、とにかく少なくとも2050年までに半減することの合意を目指していた。

それに対しアメリカは、「先進国の EU やアメリカや日本が合意しても意味がない。 中国やインドなどの新興国は、先進国よりはるかに人口が多い。 こういう国々を一緒に合意させなければ意味がない」と反対した。

では中国やインドはどうかというと、「今までさんざん先進国が地球の空気を汚してきた。 さんざん汚してきた国と同じ土俵に載るなんて冗談ではない」という立場で、三者対立だった。
 日本は、京都議定書に「日本は 6% 削減」という数字を出したこともあり、どちらかというとEUに近い立場だ。 ところがアメリカへの配慮などいろいろあって、結局ケリがつかなかった。 これが6月に韓国のソウルで行われた会議の内容だ。

それがそのまま、今回の洞爺湖サミットに持ち込まれた。 福田さんというより、実際に準備を進める各国の事務方は、なんとかケンカ別れにならないようにしようと懸命に考えた。

最初からまとめようとは考えていないわけだ。 極端に言えば、ケンカ別れにならなければ、中身はどうでもいいということで、首脳宣言は何とももって回った、よくわからないものになった。 わかりやすいと、どこかの国が反対するから、わかりにくく、どうにでも解釈できる文章にまとめた。

だが、一夜明けて、さらに驚いた。 9日の中国、インド、ブラジルなど8カ国が加わった会合で、「2050年までに半減」という言葉が消えてしまったのである。 期限も削減量もなくなってしまった。 これでは明らかにハイリゲンダムサミットより後退である。

● 深刻な経済問題には手は打たれなかった ●
今、CO2よりもっと深刻な問題は、スタグフレーション (景気後退下のインフレ) だ。 原油価格が急騰し、去年の1月には高くなっても1バレル50ドルだったが、現在は1バレル145ドルとか、150ドルを越えるといわれている。 去年と比べて、1年で3倍上がった。

原油が高騰したために、電気料金、ガス料金、さらには穀物が一斉に上がった。 シカゴの取引市場の穀物の商品相場は、2倍、3倍という上がり方をしている。

このことをどうするかというのが、今度のサミットのもう1つの大きな柱だった。 というよりも、これが一番重要な問題だ。

日本や EU やアメリカは、穀物の値段が上がってもなんとか食べていける。 だがアフリカや南アメリカ、アジアの貧しい国々は、穀物を買えない。 今ですら餓死者がたくさん出ているのに、餓死者がもっともっと増えてしまう。 つまり死ぬか生きるかの問題だ。 それでなんとか、物価の急上昇を抑えられないかというのが、今度のサミットのもう1つの大きな柱だった。

この問題でも、アメリカと EU はまったく対立している。 こういう物価の高騰は、BRICs などの工業化で需要が急増しているからだ、というのがアメリカの言い分だ。

EU は、それもあるが、多くはアメリカの原油などの投機相場だと言っている。

その投機を規制しろと、EU は言っている。 日本も本当はそう言いたいが、アメリカに遠慮している。 この問題をめぐっては、6月に大阪で行われた G8 財務相会合で「インフレを見守る」という、なんとも中途半端な結論となった。

今回もまったく同じで、世界経済が危ないといわれているのに、「経済はいずれよくなる」という結論だった。 日経新聞は「根拠なき楽観」(7月9日社説) と書いている。

● 名前だけ書いた答案用紙を出しただけか? ●
しかも「商品先物市場の規制」という文言は、ついに入らなかった。「インフレを見守る」というのと同じような言葉だ。 これもケンカにはならないが、議論を詰めた結果の合意ではない。 高騰、特に原油と食料の高騰で、1番被害を受けているのは、アフリカや南米やアジアの貧しい国々だ。 これは死ぬか生きるかの問題だ。 今回初めてこういう国々を正式の会員ではないが、サミットに参加させた。

そういう国々は、「先進国がCO2を2050年までに 80~95% 減らせ」と言っている。 これが何を意味しているかというと、はっきりいえば、「今まで先進国は、食べるものも、着るものも、石油の使い方もぜいたくをしすぎだ。 だから生活のレベルを落として、自分たちにその分をまわせ」ということだ。

細かいことを言えば、アメリカは、トウモロコシからバイオエタノールを作り、ブラジルもサトウキビからバイオエタノール作っている。 特に、アメリカがトウモロコシからバイオエタノールを作るために、トウモロコシの需要が増え、トウモロコシを主食にしている多くの国は、餓死する可能性がある。 この問題をどうするかということがかねてから論議されていたが、今回はそのことも結論が出ず、すべてあいまいに終わった。

ブッシュ大統領は今回が最後のサミットということで、気をつかっていた部分もあると思う。 結論を出すことよりも、ケンカ別れせず、アメリカを蚊帳の外に出さないで終わって、福田さんはほっとしているだろう。

テストになぞらえるなら、アメリカが「テストは受けないぞ」と飛び出すのではなく、一応みんなで出席してテストを受けた。 アメリカも「ブッシュ」と名前まで書いた。 だが答案用紙には何も書いていない。 僕はこういうことだと思う。

● 先進国だけのサミットは事実上意味をなさなくなった ●
同時に今回はっきりしたことは、サミットは事実上意味をなさなくなっているということだ。 先進国だけでは、何も決められなくなった。 数年前から「サミットの限界」という言葉が盛んに言われている。

サミットのありかた自体を根底から考え直さなければならない。 そういう言葉が、総括する文章にはない。 これが僕の感じた一番の問題だ。

マスコミの評価が甘すぎる、という不満も持っている。 マスコミはもしかすると、日本政府にうまく踊らされているともいえる。 最初から政府が、ケンカ別れするかもしれないと言い過ぎたので、ケンカしなかったからまあいいか、ということだろう。こ れは政府のマスコミ対策が、ある意味うまかったとも言えるかもしれない。

温暖化問題は、これからが大変だ。 来年デンマークのコペンハーゲンで、COP15 (国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議) が行われる (※)。 これは環境問題をどうするかという会議で、来年の15回目が最終回だ。 結論を出さなければならない。 主催者のデンマークは、今度のサミットに大不満だ。 仮に2050年までにCO2を半減することに合意したとしても、大不満だったろう。 絶対にそのプロセスである中間の数値目標を出してほしかった。

今回の洞爺湖サミットは、本当は去年のハイリゲンダムサミットから来年のデンマークの COP15 につなげる役割を持っていたはずなのに、その役割を果たしていない。 来年の COP15 に向けて、もめにもめるだろう。 どうなるか予想がつかないというのが現状だ。

※ ちなみに、COP14 (国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議) は今年末ポーランドで開催される。

以上

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