シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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日本はもはや "金持ち国" ではない?

2009年06月12日 | 経済あーだこーだ
写真は、中大教授刺殺事件の山本竜太容疑者。
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最近、「勝ち組」「負け組」などという言い方が時々聞かれる。 私は、大企業にうまく就職して年収 500万 以上を得ている層を「勝ち組」、中小企業どころか就職も確定しないフリーターやアルバイトであったり 派遣切りにあって年収 300万 以下の層を「負け組」としているのではと、勝手に解釈している。
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「忍び寄る貧しさの影 ~ "下流マーケティング" への転換を急げ」(桐原涼 経営評論家/日経 BP net 6月8日) _ 抜粋_ 07年日本の1人当たり GDP は、OECD 加盟30カ国中 19位 で、日本より下に位置するのは、ギリシア・韓国・チェコなど中進国ばかり。 4,800万世帯 のうち、下位 4分の1 の 1,200万世帯 の平均所得は 210万円 で、その1人当たりの所得はおおよそ 1万ドル で、ポーランド・チリ・ロシアなどと同じ程度だ。 _全文は※追加1へ
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「やはり中国が国際市場に参入した影響は計り知れないと思います。 所得の低下において日本特有の理由があるかもしれませんが、中国人の所得レベルで世界に通用する商品を生産できるようになった、ということが大きな原因ではないでしょうか。 同じ品質の商品をもっと安い給与で生産できる、となれば、それまでの高給取りは仕事が無くなるのは当然です」(海外在住 読者コメント)。
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「所得が減少する中で変わらないのが税金です。 とにかく税金を払うのにウンザリしています。 家を買う、車を買う、とにかく何をするにも必需品を保有するにも毎年税金が請求されてくる」(金田満 読者コメント) 。
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「コミュニケーションできず孤立 … 就職めぐり屈折した感情抱く? 中大教授刺殺事件」(産経ニュース 5月30日) _ 抜粋_ 05年1~3月まで勤務した電子機器メーカーでは、容疑者は「技術、コミュニケーション力の不足」を理由に不採用となった。 07年8月からホームセンターのアルバイト店員として品出しを担当。 翌9月からパンや菓子を製造する工場のパートも掛け持ちで始めた。 ホームセンターと工場の2つの仕事を合わせても月収は10万円を超える程度だった。 転職を繰り返す中で生活レベルは下がり、仕事内容も専門分野から遠ざかっていた …
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なぜ年収 300万 以下という状況になるのか? なぜ雇用主はそのような給料しか出さないのか?__そういった職種つまり多くの「非熟練/単純労働/非専門職」にはコスト圧縮の力が強く働き、賃金が上がりにくく、逆の職種つまり少ない「熟練/複雑労働/専門職」に付けない人達が働かざるを得ないのだろう。

読者コメントにもあるように、圧倒的に安い中国製品が世界中に輸出されてきたことが理由の1つですね。 安価な中国製品がなければ、日本人の高い人件費で作った製品を日本人がそれなりの価格で買わざるを得なかったでしょう。

また、最近は中国製品の品質も上がってきて、中国製品だから即 安かろう悪かろうとはいえなくなってきており、日本製品と同等の品質のものが増えていると実感します。 それは、中国の生産現場での品質管理が向上してきたからで、それに加え輸入販売する側も厳しい基準を設けて粗悪な製品を排除していると想像します (「中国デザインを見直した」を参照下さい)。
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もう1つのコメントの「税金」ですが、これは欧米諸国を見ると__今後はもっと日本の税率は上がっていくものと予測します。 米国の消費税は現状 10% 近く、欧州は 15%~25% です。 更に所得税の比率ももっと上がっていくでしょう。 これは社会福祉などを充実させようとすると、財源を確保しなくてはならず、消費税と所得税で賄うしか財源はないからです。

更にいうと、国債などの国の借金が 700兆円 もあり、これを返済していくには税金の比率を上げていくしかないのです。 逆にいうと、政府が国債を発行しなかったら、バブル後の日本経済はもっと悪くなっており、多くの企業が倒産し、失業者が溢れ、平均年収はもっと下がっていたでしょう。

しかし 国債による借金の使い道が全てうまくいって、日本の産業が活性化して税収が増えたかというと、そうではありませんね。 無駄な道路や建物ばかりが数多く出来て、結局多くのものが活用されておらず、バブル後の日本経済は停滞したままです。
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今の年金制度なども将来が明るいとはいえず、若者が喜んで加入し、掛け金を払うという状況にはありません。 結論は、戦後長く続いて制度疲労を起こしている「産業 官僚 政治が結びついた今の官僚政治」を一度 "ご破算" にして、現状に即した新しい政策を作り直し 若者が将来に夢を持てる日本にすることではないでしょうか。
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少し論旨から外れますが、中大教授刺殺事件のような不幸な事件を起こさないためにも、社会や企業が多くの若者を受け入れて育てるという環境も ある程度必要かと考えます。 バブル期前までは、企業は受け入れた新人を一人前の企業人に教育するという伝統がありましたが、今は即戦力のある新人を求め、なおかつ自分自身で中身をレベルアップしなくてはいけない時代になっています。

伝えられる報道から、この容疑者は専門職の技術レベルうんぬん以前に、「教授が忘年会で話しかけてくれない」など 社会人としての成熟が十分でなかったように感じますが。

以上


※追加1_● 失われつつある豊さ ●
09年第一四半期の実質 GDP 伸び率は、マイナス 15% と記録的な落ち込みとなった。 不況の影響で、国民生活の厳しさも増している。 今年夏のボーナス支給額は、過去最大の減少幅になると見込まれている。 統計的に見ても、国民の所得水準低下の傾向は明確であり、日本人は年々貧しくなっているのが現実だ。

かつての日本は、世界で最も豊かな国の一つであり、消費者の購買力は極めて高かった。 しかしそれも「今は昔」だ。 景気が回復したとしても、我々がかつての豊かさを取り戻せる可能性は少ないと思われる。 日本の国民所得減少は、今回の不況によりはじまったことではなく、長期趨勢的な現象だからだ。

07年における日本の1人当たり GDP は、OECD 加盟30カ国中 19位 に落ち込んだ。 日本より下に位置するのは、ギリシア・韓国・チェコなど中進国ばかりであり、日本のポジションは事実上先進国中最下位に沈んだと考えてよい。  01年時点では日本が第3位であったことを考えると、隔世の感がある。

1人当たり GDP の国際比較は為替変動の影響も受けるので、円安から円高に転じた08年は、日本の順位が幾分持ち直す可能性がある。 しかし1980年代後半から1990年代にかけて日本の定位置だったトップファイブの座は、もはや遠く仰ぎ見る存在になってしまった。

● じり貧の世帯所得 ●
マクロ経済の衰退に伴い、国民生活にも “貧しさ” が忍び寄っている。 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、07年の1世帯当たり平均所得は 556万円 であり、前年実績との比較で約 2% 減少した。 1世帯当たり平均所得は1994年にピークを付けた後、ほぼ一貫して低下しており、この10年間で 100万円 も減少した。

07年は景気回復期であったのにもかかわらず、世帯所得は減少しており、日本人の所得に対する下落圧力が非常に強いことを物語っている。 そして08年以降は景気後退期となるため、世帯所得の下落に拍車がかかる可能性が高い。

● 忍び寄る "貧しさ" ●
われわれは、「日本人は豊かだ」という固定観念から脱却する必要がある。 07年の国民生活基礎調査によると、日本全国 4,800万世帯 のうち、下位 4分の1 の 1,200万世帯 の平均所得は 210万円 であった。 これを世帯人員で割った1人当たりの所得は、おおよそ 1万ドル であった。
 
ちなみに1人当たり GDP が 1万ドル 程度の国は、ポーランド・チリ・ロシアなどである。 単純比較はできないものの、日本人の 4分の1 は先進国の水準には遠く及ばない所得での生活を余儀なくされていると言っても、それほど間違いではないであろう。

現在の日本には "貧しさ" の影が、徐々にではあるものの確実に忍び寄っている。 4月の失業率は 5% の大台を超え、過去最悪の水準に迫る勢いだ。 また生活保護世帯数も、毎月過去最悪の水準を更新し続けている。

今までの日本は、国民が押し並べて豊かで社会の安定性も高い稀有な国だった。 生活困窮者は非常に少なく、われわれは "貧しさ" をほとんど意識することなく過ごしてきた。 しかしそのようなユートピアは、すでに失われつつある。 これからの日本は、"貧しさ" が当たり前に存在する普通の国にならざるを得ないであろう。

● 下流マーケティングの時代 ●
日本が「豊かな国」から「普通の国」に変化することにより、日本の市場構造も大きく転換する可能性がある。 市場階層を上流・中流・下流の3階層に分けた場合、多くの国では下流が最大ボリュームとなるピラミッド型の市場構造になっている。 これに対して今までの日本は、中流市場のボリュームが大きく、下流市場のボリュームが小さい特殊な市場構造になっていた。

だが現在、日本独特の市場構造は、他の多くの国と同様に下流のボリュームが大きいピラミッド型の構造に変わりつつあるのではないだろうか。 実際に世帯年収が 300万円 を下回るような低所得者層は、年々増加する傾向にある。 このような変化を前提にすると、今までの主流市場であった中流マーケットが衰退に向かうことは避けられないであろう。 その一方で今後は、下流マーケットが最大の成長市場となる可能性が高い。

これにともない企業のマーケティング戦略も、大幅な見直しが不可欠になるであろう。 今まで多くの日本企業は、豊かな中流市場をターゲットとし、ビジネスを成り立たせてきた。 そして中流層の消費者により豊かな生活を提案することで、製品・サービスの付加価値を高めることに心血を注いできた。 しかし今後はこのような中流マーケティングではなく、下流層をターゲットとするマーケティングが重要になる。
 
これからのマーケティングは「いかに高く売るか」ではなく、「いかに安く売るか」が肝心だ。 時代のベクトルは "下流マーケティング" を指し示している。

● 下流に向かう奔流 ●
そして今、多くの企業が下流に向かって漕ぎだした。
 
ユニクロを展開するファーストリテイリングは、廉価ブランド「ジーユー」を強化している。 ジーユーでは 990円 のジーンズなどが爆発的に売れ、売上高を大幅に伸ばしている。 またイオンやイトーヨーカ堂などの大手スーパーはディスカウントタイプの店舗の出店を急いでいる。 西友も親会社であるウォルマートの商品調達網を生かし、低価格商品を投入するなど、価格競争力の強化に必死である。
 
外食業界では中流層をターゲットとするファミリーレストランの不振が続き、ワンコイン (500円) で食事ができるファストフードが好調だ。 消費者の低価格志向の高まりを受け業界各社は、一斉に低価格業態の開発を進めている。 また家具業界では、ニトリが再三の値下げで価格競争力を強化し、急速にシェアを高めている。

家電業界でも、デジタル製品の値崩れが加速している。 ただし下流マーケティングの主導権を握っているのはヤマダ電機などの家電量販店であり、付加価値志向マーケティングからの転換が遅れている電機メーカーの苦戦は否めない。
 
日本だけではなく、グローバル市場の潮流も下流マーケットに向かっている。 高付加価値製品の比率が高い欧米市場は軒並み不振であり、成長しているのは中国やインドなど途上国の市場だ。

グローバル市場ではすでに、50万円 の自動車や 3万円 のパソコンが主流となっている。 日本企業はこの流れに乗り遅れ気味であり、このままでは世界市場でのシェアを失うことになりかねない。

● 主流は年収 300万円 世帯 ●
07年における1世帯当り平均所得は 556万円 であった。 だが日本の平均的消費者として、年収 500~600万円 の人をイメージすることは適切とは思われない。 世帯所得の平均値には、少数の富裕層が平均を引き上げる効果が含まれており、大半の世帯の所得は平均値に達していない。

下図に世帯所得の分布を示した (略)。 これを見ると、年収 100~400万円 が世帯所得のボリュームゾーンであることが分かる。「年収 300万円 時代」はすでに現実のものとなっているのである。 現在の経済情勢を鑑みれば、今後は 100~300万円 のゾーンの構成比がさらに高まると予測できる。

現在の日本では "豊かさ" の存在感が急速に薄れ、"貧しさ" の影が色濃くなっている。 だが日本に蔓延しつつある貧しさは、飢えに苦しむような絶対的貧困ではない。 日本の下流層の多くは、100~300万円 程度の世帯所得がある。 これは今世界で最も元気な途上国の中流層と、同等以上の所得水準と言える。

日本では、「年収 300万円 未満でもそれなりの生活をしたい」というニーズが年々高まっている。 このニーズを捉えることができれば、衰退基調の日本市場の中でも、ビジネスとして成長できるはずだ。

● ビジネスモデルの見直しを急げ! ●
年収 100~300万円 の消費者層は、今後日本においても世界においても、消費市場の主流となる可能性が高い。 したがってこの消費者層に支持される製品やサービスを生み出すことが、今後の企業にとって極めて重要な課題となるはずだ。
 
ただし下流市場に対峙するためのビジネスのあり方は、中流市場への対応とは本質的に異なる。 それゆえに現代の日本企業は、ビジネスモデルの抜本的に見直す必要に迫られている。 "下流マーケティング" への転換を急がねばならない。

以上

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