
写真左は、マリナーズからヤンキースへ移籍したイチローは第1打席、マリナーズの観客に対しておじぎをする (Photo by Otto Greule Jr/Getty Images)。
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イチローのネクタイ姿は初めて見たが、どうにも似合わないねえ。 彼には、見慣れているというか 着慣れているというか、野球のユニフォーム姿が一番似合う。 好意的な内容や、裏をえぐったものから 様々な報道を読むと、それぞれ全く否定できないものばかりだ__
マリナーズ最高の年棒ながら 40歳前の肉体的に衰え始めた打率成績 (10年続けた 200本安打が昨年未達成/今年は定位置の1番を外され 打率も .261 と悪くはないがパッともしないなど)、11年間 奮闘して一度もワールド・シリーズに進めない貧打チームにいつまでもいるべきかどうか。
ただし ヤンキースにはキラ星のようなスーパースターが揃っており、あのワールド・シリーズで MVP を獲得した松井でさえ 翌年再契約されなかったから、イチローも来期が保証されているわけではない。 今期残りの3ヶ月でそれなりの成績が出せなければ、再契約されないだろう。 ヤンキースもそれに賭けているのだ。
日本に住む我々には、地元シアトルでのメディアの報道内容は伝わってこないから、よく分からないが、成績の落ち始めた昨年あたりから 厳しい内容が多くなり、それはボディブローのようにイチローに響いたことだろう。 チーム内でもそれが同僚の視線に現れてくるから、いやでも感じたはずだ__もう イチローはこのチームでは無理なんじゃないかという視線だ。 これには最高年棒を取る選手としては耐えられないと想像する。
野球も一つの格闘技だ。 スポーツ選手の肉体のピークは一般的に20代後半だろう。 ただ 経験を積み、努力を怠らないアスリートは技術を磨けば 35歳くらいまでピーク状態を延長できるようだ。
だから 多くのスポーツ選手は 35~40歳の時期に自分で決断するか、回りから背中を押されて引退するか、年棒を下げて (体に負担の少ない?) 他チームに移籍するか、負担の少ないポジションに変わるか、もしくはそれまでの経験を活かして後進の指導に当たる道を歩む。
松井もそうやって、自分を取ってくれるチームを渡り歩いているが、今の貧打では今期以降 メジャーリーグでは難しいだろうと想像する。 イチローのヤンキースでの活躍を見守りたい。
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「3カ月 “レンタル” 扱い イチロー 来季への保証なし」(7月25日 スポニチアネックス) _ ※追加1へ
「イチロー ヤンキースの獲得を大きく報道…米メディア」(7月24日 毎日新聞) _ ※追加2へ
「ヤンキース・イチローに大きな拍手 移籍初戦は4打数1安打!」(7月24日 スポーツ報知) _ ※追加3へ
「ヤンキースがイチローを獲得したワケ」(7月24日 日経) _ ※追加4へ
「イチロー電撃移籍の真相…チーム再建と衰えたベテラン」(7月24日 夕刊フジ) _ ※追加5へ
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以上
※追加1_ ◇イチロー ヤンキース移籍
今季で契約最終年となるイチローは、マリナーズとの契約延長を「放棄」したことで、来季以降への保証も完全になくなった。
今回のヤンキースの補強は残り3カ月間、プレーオフまでの「レンタル選手」としての意味合いが強い。 ヤンキースからの交換要員はマイナーの2投手 (ミッチェル、ファークワー) で、将来性が高く評価されているわけでもない。
また イチローに対するヤンキースの年俸負担額も約 225万ドル (約 1億7800万円) とされており、極めて合理的な補強であることをうかがわせる。
ヤンキースのブライアン・キャッシュマン GM は費用対効果を重視する。 09年ワールドシリーズ MVP の松井 (現レイズ) ですら引き留めなかった。
ある大リーグスカウトは再契約には、「打率も3割を大きく超えないといけない」と高いハードルを設定した上で「払ったとしても来季年俸は 500万ドル (約 3億9500万円) 前後」と、再契約するにしても今季年俸の3分の1以下でのオファーになると予想する。
8番・右翼からスタートした新天地で、イチローは自らの力で居場所を確保していくしかない。
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※追加2_ ヤンキースがイチローを獲得したことをニューヨーク・タイムズ紙は「イチローのデビュー戦に勝利を飾った」と詳報するなど各米メディアは大きく報じた。
7月末はウエーバー公示の制約がなく移籍ができる期限。 例年、後半戦やプレーオフに向けた大型トレードが行われる。 ヤンキースは俊足の生え抜きの左翼手ガードナーが右肘を痛めて今季の復帰が絶望的。 右翼手のスウィシャーも故障で精彩を欠き、外野手の補強がポイント。 そこに移籍を望んでいたイチローというかねて獲得を考えていた大物の話が舞い込んだ。 ジラルディ監督はガードナーが抜けた左翼での起用を望んでいる。
米メディアによると、シーズン中の移籍のため、ヤンキース側はイチローの今季年俸 1700万ドル (約 13億6000万円) のうち約 250万ドルを負担するにとどまる。 一方で若返りを図っているマリナーズはチーム最高だったイチローの年俸を来季は別の選手に回せる。 チーム事情や収支で双方に利点があり、シアトル・タイムズ紙は「正しい方向」と評価した。
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※追加3_ ヤンキースに電撃移籍したイチロー外野手 (38) が、いきなり古巣との一戦に「8番・右翼」で先発出場した。
前日まで、マリナーズの一員として遠征 (レイズ戦) に出ていたイチローが、シアトルに戻ってきたら相手チームのユニホーム姿。 しかも、この日のヤンキースの先発は、黒田博樹投手 (37)。 いきなり、黒田が投げイチローが打つという日本人選手の共演が実現した。
第1打席は3回表。 セーフコ・フィールドを埋めた観衆がスタンディング・オベーションで迎える中、イチローはヘルメットを脱ぎ、シアトルのファンに感謝をこめて四方に深々と頭を下げた。 打席では、マリナーズ先発・ミルウッドの2球目を中前へはじき返して移籍初ヒット。 すかさず二盗を決め、らしさを発揮してみせた。
その裏、ヤンキース・黒田が2死二塁のピンチを迎え、3番・ジェイソの打球は右前へ。 イチローがバックホームしたが間に合わず、マリナーズに先制点。 “レーザービーム” とはならなかった。
第2打席は4回、初球から打って出たが、詰まった当たりの二飛に終わった。 第3打席は7回、強い当たりの一塁ゴロだったが、マリナーズ・スモークがうまくさばいて安打にはならず。 第4打席は9回、痛烈なライナーの打球を放ったが、二塁手の正面をついた。
試合は4―1でヤンキースが快勝。 最後の打者の打球は右飛で、イチローが難なくキャッチして試合が終了した。 イチローの移籍初戦は4打数1安打1盗塁だった。
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※追加4_ ヤンキースの外野手獲得の噂は以前からあった。 俊足外野手のガードナーの手術が19日に決まり、事態は一気に動いた。
現在ア・リーグ東地区で2位以下に大差をつけて首位に立つヤンキースだが、不安要素は外野陣の守備と一発に頼りがちな打線。 イバネス、ジョーンズらが穴を埋めたが、イバネスは守備に難があり、ジョーンズは打撃が粗い。 右翼のスウィッシャーも小さな故障で欠場が数試合に及ぶことが度々あった。
ジラルディ監督も、こうした不安を否定はしなかった。 そんな中、38歳ながら、走れて、守備よく、小技ができるイチローはチーム補強にうってつけだったのだろう。
一方のマリナーズは、若手中心のチームとなりつつあった。 ベテランのイチローは打順がコロコロと変わるなど、本人にとって必ずしも納得いく状況とはいえなかったかもしれない。 ズレンシック・ゼネラルマネジャー (GM) は15日には、今季で契約が切れるイチローに関し残留との意向を示したのに、翌日になるとなぜか口を濁した。
10年連続で 200安打を放つなど、鮮やかな足跡を残してきたイチロー。 そのキャリアをひっさげ、大リーグ随一といえる勝利の歴史を刻んできたヤンキースの一員となる。 さて、どんな活躍をしてくれるだろうか。 楽しみが増えた。
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※追加5_ ヤンキースへの移籍を「刺激を求めたい、という強い思いが芽生えた」と語ったイチロー外野手。 一方でマリナーズ内には今季、衰えの見え始めたスーパースターの扱いに苦慮していた側面もあり、“放出” との見方もある。 その真相とは-。
11年半過ごしたセーフコ・フィールドの会見場に、スーツ姿のイチローはこれまでにない緊張した表情で現れた。 この日、マリナーズ対ヤンキースの試合開始3時間前。 衝撃のトレードの真相を、イチローは神妙に語り始めた。
「11年間ありがとうございました。 寂しい思いでいっぱいです。 この決断は大変難しいものでした。 オールスターブレークの間、自分なりに考えて出した結論です。 20代前半の選手が多いマリナーズで、来年以降、僕はいるべきではないのではないか。 僕自身も環境を変えて刺激を求めたいという強い思いがあった。 そうであるならばできるだけ早くチームを移るというのが僕の決断だった」
マリナーズでの潮時、引き際を熟考した末の結論だった。 イチローは今季3番打者として開幕したが、打率 .261、出塁率 .288 と不振を極め、2番打者に “降格” となった。 マリナーズとの契約は今季限りで、7月31日のトレード期限を前に、自ら進退を決する形となった。
イチローの再契約問題については、「今年39歳になる打率2割6分台の男に 1800万ドル (約 14億4000万円) は高すぎる」など、地元の関心事となっていた。
シアトルの顔として活躍してきたイチローのチーム残留を求める声がある一方、成績が上向かないシーズン途中には地元メディアの批判的な意見は日増しに強くなった。
マリナーズのウエッジ監督も、これまでのマリナーズの監督にはなかった厳しい言葉をイチローに投げかけた。 チームが再建途上にあるときに、「やる気のないベテランはいらない」と名指しで批判した。
今月17日には、マリナーズの OB で地元で絶大な人気のあるジェイ・ビューナー氏が、米スポーツ専門局 ESPN のラジオ・インタビューで、「もしイチローがマリナーズと再契約したらヘドが出る」と爆弾発言。 イチローは次第に追い詰められていった。
マリナーズはこの10年、万年最下位が続き観客動員も激減。 フロントはチーム再建の有効な手立てを打つことができなかった。 イチローもベテランの年齢に入り、肉体的な衰えは隠せなくなった。 大リーグ生活の大きな目標であるワールドシリーズ出場の可能性を求めて、野球人生最大の決断を下すに至ったのだ。
イチローの移籍について鍵となっていたのが、マリナーズのオーナー企業、任天堂との関係だった。 イチローは任天堂の山内溥相談役らと蜜月関係にあり、イチローは山内相談役への義理立てからチームを去ることはないのではないかと噂されていた。 地元メディアからは、任天堂がマリナーズの球団経営から手を引くのではないかとの憶測も流れている。
経営難のマリナーズは過去に、ケン・グリフィ Jr.、アレックス・ロドリゲス、ランディ・ジョンソンら超大物選手をトレードで放出。 イチローもその大物の1人として球団史に名前を刻んだ。
イチローの野球人生第二幕の行方は-。唯一欠けている勲章「ワールドシリーズ・リング」に手が届くかどうか。
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イチローのネクタイ姿は初めて見たが、どうにも似合わないねえ。 彼には、見慣れているというか 着慣れているというか、野球のユニフォーム姿が一番似合う。 好意的な内容や、裏をえぐったものから 様々な報道を読むと、それぞれ全く否定できないものばかりだ__
マリナーズ最高の年棒ながら 40歳前の肉体的に衰え始めた打率成績 (10年続けた 200本安打が昨年未達成/今年は定位置の1番を外され 打率も .261 と悪くはないがパッともしないなど)、11年間 奮闘して一度もワールド・シリーズに進めない貧打チームにいつまでもいるべきかどうか。
ただし ヤンキースにはキラ星のようなスーパースターが揃っており、あのワールド・シリーズで MVP を獲得した松井でさえ 翌年再契約されなかったから、イチローも来期が保証されているわけではない。 今期残りの3ヶ月でそれなりの成績が出せなければ、再契約されないだろう。 ヤンキースもそれに賭けているのだ。
日本に住む我々には、地元シアトルでのメディアの報道内容は伝わってこないから、よく分からないが、成績の落ち始めた昨年あたりから 厳しい内容が多くなり、それはボディブローのようにイチローに響いたことだろう。 チーム内でもそれが同僚の視線に現れてくるから、いやでも感じたはずだ__もう イチローはこのチームでは無理なんじゃないかという視線だ。 これには最高年棒を取る選手としては耐えられないと想像する。
野球も一つの格闘技だ。 スポーツ選手の肉体のピークは一般的に20代後半だろう。 ただ 経験を積み、努力を怠らないアスリートは技術を磨けば 35歳くらいまでピーク状態を延長できるようだ。
だから 多くのスポーツ選手は 35~40歳の時期に自分で決断するか、回りから背中を押されて引退するか、年棒を下げて (体に負担の少ない?) 他チームに移籍するか、負担の少ないポジションに変わるか、もしくはそれまでの経験を活かして後進の指導に当たる道を歩む。
松井もそうやって、自分を取ってくれるチームを渡り歩いているが、今の貧打では今期以降 メジャーリーグでは難しいだろうと想像する。 イチローのヤンキースでの活躍を見守りたい。
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「3カ月 “レンタル” 扱い イチロー 来季への保証なし」(7月25日 スポニチアネックス) _ ※追加1へ
「イチロー ヤンキースの獲得を大きく報道…米メディア」(7月24日 毎日新聞) _ ※追加2へ
「ヤンキース・イチローに大きな拍手 移籍初戦は4打数1安打!」(7月24日 スポーツ報知) _ ※追加3へ
「ヤンキースがイチローを獲得したワケ」(7月24日 日経) _ ※追加4へ
「イチロー電撃移籍の真相…チーム再建と衰えたベテラン」(7月24日 夕刊フジ) _ ※追加5へ
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※追加1_ ◇イチロー ヤンキース移籍
今季で契約最終年となるイチローは、マリナーズとの契約延長を「放棄」したことで、来季以降への保証も完全になくなった。
今回のヤンキースの補強は残り3カ月間、プレーオフまでの「レンタル選手」としての意味合いが強い。 ヤンキースからの交換要員はマイナーの2投手 (ミッチェル、ファークワー) で、将来性が高く評価されているわけでもない。
また イチローに対するヤンキースの年俸負担額も約 225万ドル (約 1億7800万円) とされており、極めて合理的な補強であることをうかがわせる。
ヤンキースのブライアン・キャッシュマン GM は費用対効果を重視する。 09年ワールドシリーズ MVP の松井 (現レイズ) ですら引き留めなかった。
ある大リーグスカウトは再契約には、「打率も3割を大きく超えないといけない」と高いハードルを設定した上で「払ったとしても来季年俸は 500万ドル (約 3億9500万円) 前後」と、再契約するにしても今季年俸の3分の1以下でのオファーになると予想する。
8番・右翼からスタートした新天地で、イチローは自らの力で居場所を確保していくしかない。
……………………………………………………
※追加2_ ヤンキースがイチローを獲得したことをニューヨーク・タイムズ紙は「イチローのデビュー戦に勝利を飾った」と詳報するなど各米メディアは大きく報じた。
7月末はウエーバー公示の制約がなく移籍ができる期限。 例年、後半戦やプレーオフに向けた大型トレードが行われる。 ヤンキースは俊足の生え抜きの左翼手ガードナーが右肘を痛めて今季の復帰が絶望的。 右翼手のスウィシャーも故障で精彩を欠き、外野手の補強がポイント。 そこに移籍を望んでいたイチローというかねて獲得を考えていた大物の話が舞い込んだ。 ジラルディ監督はガードナーが抜けた左翼での起用を望んでいる。
米メディアによると、シーズン中の移籍のため、ヤンキース側はイチローの今季年俸 1700万ドル (約 13億6000万円) のうち約 250万ドルを負担するにとどまる。 一方で若返りを図っているマリナーズはチーム最高だったイチローの年俸を来季は別の選手に回せる。 チーム事情や収支で双方に利点があり、シアトル・タイムズ紙は「正しい方向」と評価した。
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※追加3_ ヤンキースに電撃移籍したイチロー外野手 (38) が、いきなり古巣との一戦に「8番・右翼」で先発出場した。
前日まで、マリナーズの一員として遠征 (レイズ戦) に出ていたイチローが、シアトルに戻ってきたら相手チームのユニホーム姿。 しかも、この日のヤンキースの先発は、黒田博樹投手 (37)。 いきなり、黒田が投げイチローが打つという日本人選手の共演が実現した。
第1打席は3回表。 セーフコ・フィールドを埋めた観衆がスタンディング・オベーションで迎える中、イチローはヘルメットを脱ぎ、シアトルのファンに感謝をこめて四方に深々と頭を下げた。 打席では、マリナーズ先発・ミルウッドの2球目を中前へはじき返して移籍初ヒット。 すかさず二盗を決め、らしさを発揮してみせた。
その裏、ヤンキース・黒田が2死二塁のピンチを迎え、3番・ジェイソの打球は右前へ。 イチローがバックホームしたが間に合わず、マリナーズに先制点。 “レーザービーム” とはならなかった。
第2打席は4回、初球から打って出たが、詰まった当たりの二飛に終わった。 第3打席は7回、強い当たりの一塁ゴロだったが、マリナーズ・スモークがうまくさばいて安打にはならず。 第4打席は9回、痛烈なライナーの打球を放ったが、二塁手の正面をついた。
試合は4―1でヤンキースが快勝。 最後の打者の打球は右飛で、イチローが難なくキャッチして試合が終了した。 イチローの移籍初戦は4打数1安打1盗塁だった。
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※追加4_ ヤンキースの外野手獲得の噂は以前からあった。 俊足外野手のガードナーの手術が19日に決まり、事態は一気に動いた。
現在ア・リーグ東地区で2位以下に大差をつけて首位に立つヤンキースだが、不安要素は外野陣の守備と一発に頼りがちな打線。 イバネス、ジョーンズらが穴を埋めたが、イバネスは守備に難があり、ジョーンズは打撃が粗い。 右翼のスウィッシャーも小さな故障で欠場が数試合に及ぶことが度々あった。
ジラルディ監督も、こうした不安を否定はしなかった。 そんな中、38歳ながら、走れて、守備よく、小技ができるイチローはチーム補強にうってつけだったのだろう。
一方のマリナーズは、若手中心のチームとなりつつあった。 ベテランのイチローは打順がコロコロと変わるなど、本人にとって必ずしも納得いく状況とはいえなかったかもしれない。 ズレンシック・ゼネラルマネジャー (GM) は15日には、今季で契約が切れるイチローに関し残留との意向を示したのに、翌日になるとなぜか口を濁した。
10年連続で 200安打を放つなど、鮮やかな足跡を残してきたイチロー。 そのキャリアをひっさげ、大リーグ随一といえる勝利の歴史を刻んできたヤンキースの一員となる。 さて、どんな活躍をしてくれるだろうか。 楽しみが増えた。
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※追加5_ ヤンキースへの移籍を「刺激を求めたい、という強い思いが芽生えた」と語ったイチロー外野手。 一方でマリナーズ内には今季、衰えの見え始めたスーパースターの扱いに苦慮していた側面もあり、“放出” との見方もある。 その真相とは-。
11年半過ごしたセーフコ・フィールドの会見場に、スーツ姿のイチローはこれまでにない緊張した表情で現れた。 この日、マリナーズ対ヤンキースの試合開始3時間前。 衝撃のトレードの真相を、イチローは神妙に語り始めた。
「11年間ありがとうございました。 寂しい思いでいっぱいです。 この決断は大変難しいものでした。 オールスターブレークの間、自分なりに考えて出した結論です。 20代前半の選手が多いマリナーズで、来年以降、僕はいるべきではないのではないか。 僕自身も環境を変えて刺激を求めたいという強い思いがあった。 そうであるならばできるだけ早くチームを移るというのが僕の決断だった」
マリナーズでの潮時、引き際を熟考した末の結論だった。 イチローは今季3番打者として開幕したが、打率 .261、出塁率 .288 と不振を極め、2番打者に “降格” となった。 マリナーズとの契約は今季限りで、7月31日のトレード期限を前に、自ら進退を決する形となった。
イチローの再契約問題については、「今年39歳になる打率2割6分台の男に 1800万ドル (約 14億4000万円) は高すぎる」など、地元の関心事となっていた。
シアトルの顔として活躍してきたイチローのチーム残留を求める声がある一方、成績が上向かないシーズン途中には地元メディアの批判的な意見は日増しに強くなった。
マリナーズのウエッジ監督も、これまでのマリナーズの監督にはなかった厳しい言葉をイチローに投げかけた。 チームが再建途上にあるときに、「やる気のないベテランはいらない」と名指しで批判した。
今月17日には、マリナーズの OB で地元で絶大な人気のあるジェイ・ビューナー氏が、米スポーツ専門局 ESPN のラジオ・インタビューで、「もしイチローがマリナーズと再契約したらヘドが出る」と爆弾発言。 イチローは次第に追い詰められていった。
マリナーズはこの10年、万年最下位が続き観客動員も激減。 フロントはチーム再建の有効な手立てを打つことができなかった。 イチローもベテランの年齢に入り、肉体的な衰えは隠せなくなった。 大リーグ生活の大きな目標であるワールドシリーズ出場の可能性を求めて、野球人生最大の決断を下すに至ったのだ。
イチローの移籍について鍵となっていたのが、マリナーズのオーナー企業、任天堂との関係だった。 イチローは任天堂の山内溥相談役らと蜜月関係にあり、イチローは山内相談役への義理立てからチームを去ることはないのではないかと噂されていた。 地元メディアからは、任天堂がマリナーズの球団経営から手を引くのではないかとの憶測も流れている。
経営難のマリナーズは過去に、ケン・グリフィ Jr.、アレックス・ロドリゲス、ランディ・ジョンソンら超大物選手をトレードで放出。 イチローもその大物の1人として球団史に名前を刻んだ。
イチローの野球人生第二幕の行方は-。唯一欠けている勲章「ワールドシリーズ・リング」に手が届くかどうか。
以上