恐ろしいほどのプロ精神欠如:福島原発事故調報告
福島第一原発事故について政府の事故調査・検証委が26日、中間報告書を公表しました。夕方、伝えられている情報を見る限りで一言にまとめれば「恐ろしいほどのプロ精神欠如」です。事故前の想定の甘さ、事故対応・作業の不手際を取り上げればきりがないほどであり、そこに一貫して見えるのは取り返しが付かない重大事故を起こし得る原発に対する謙虚さの欠如です。私の原発取材は関西電力がメインでしたが、伝えられる東京電力の仕事ぶりに比べればずっと真摯だった記憶があります。
500ページを超す報告書。今のところオリジナルデータが豊富なのは中日新聞で《福島第1原発 政府事故調の中間報告(上)》と《福島第1原発 政府事故調の中間報告(下)》で、ほぼ全体像がつかめます。
最初に爆発した1号機で電源喪失後に残る最後の安全装置「非常用復水器(IC)」について「1号機の全運転員はIC作動の経験がなかった」との報告にはまさかと思い、目が点になりました。発電所幹部はICが順調に作動していると思いこんで「1号機の海水注入が遅れた一因はICの作動状態の誤認識にある。1号機のベント(蒸気を放出して圧力を下げる措置)に時間がかかったのは、ICの作動状態の誤認に起因すると考えられる」としています。しかし、最後の頼みの綱である安全装置起動が運転訓練に組み込まれていない東電の運転員養成態勢は異常すぎます。3号機で安全装置を運転員が勝手な判断で停止した件と合わせて、人災による事故拡大が確定しました。
(BLOGOS 2011年12月26日)