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禁じ手の「粉飾決算」でごまかす来年度予算案①

2011-12-27 12:37:15 | 未分類

禁じ手の「粉飾決算」でごまかす来年度予算案

来年度(2012年度)の一般会計・当初予算案の歳出規模は90兆3339億円と、今年度当初予算の92兆4116億円を、約2兆円近くも下回る形で閣議決定した。当初予算案が前年度予算を下回ったのは実に6年ぶりのことである。

 民主党への政権交代後、鳩山政権、菅政権と、まさに前代未聞の大膨張予算が続いてきたが、その反省に立って財政規律確保を主張してきた野田政権としては、面目躍如の予算編成を行ったかのように見える。

 しかし、これは単に「粉飾決算」と呼ぶべき「会計操作」を行った結果であり、その内実は火の車、実際には過去最大の大膨張予算なのである。

会計操作の数々


 第1の会計操作は、毎年この時期になると、財源となる埋蔵金探しで大騒ぎをしなければならなかった基礎年金の国庫負担引上げ分(2009年度に国庫負担率を1/3から1/2に引き上げた際に生じた財源不足)の2.6兆円を、年金交付国債という巧妙な手で簿外に隠したことである。
 年金交付国債とは、特別会計にある年金積立金(厚生年金+国民年金積立金)を取り崩して調達するものであるため、国の一般会計に計上する必要がない。今年度末に111.7兆円(第1回社会保障審議会年金部会資料の112.9兆円に、第3次補正で戻した分と7-9月期の運用損を加味したもの)まで取り崩される年金積立金は、これにより、来年度は109.1兆円からスタートすることになる。

 5年前の2006年度にちょうど149.1兆円の年金積立金であったことを考えると、このわずかな期間でちょうど40兆円もの積立金取り崩しを行ったことになる。よくよく思い出してみれば、100年安心プランの計画ではこの期間は、2006年度の171.4兆円(厚生年金代行分を含む)から2011年度には170.3兆円とほぼ横ばいになっていなければならなかった。また、2009年の財政検証でも2009年度の144.4兆円から2011年度の141.6兆円とわずかな取り崩しで済む予定であった。

 現在のような取り崩しのペースは、全く想定外であり、100年安心プランなど維持されていないことは明らかである。そこへきて、この年金交付国債による取り崩しは大ダメージである。年金交付国債は、消費税引き上げ分の財源を担保として発行されるものであるから、消費税引き上げが行われない限り、事実上の年金積立金取り崩しが今後もずっと続けられることになる。

 また、年金交付国債は、赤字国債や建設国債でもない特殊な国債であるために、「中期財政フレーム」の財政再建目標である約44兆円の新規国債発行限度額にも含まれないという大変な優れ物である。しかし、年金交付国債分を正直に含めれば、来年度一般会計の歳出規模は92.9兆円と過去最大、国債発行額も限度額を超えるというのが、来年度予算の実態なのである。

 第2の会計操作は、東日本大震災の復興予算3.8兆円を特別会計にして、やはり簿外に隠したことである。復興予算のための財政拡大が行われることはやむを得ない面があるが、かといって財政拡大であることは事実なのであるから、きちんと一般会計に計上して見えるようにするのが本来の形である。

 第3の会計操作は、おそらくは今後行われる補正予算の活用であろう。今年度のように第4次補正まで補正予算が作られるようでは、もはや当初予算はあまり重要な意味を持たない。当初予算の規模を小さくしおいて、後で、補正予算の形で財政拡大を図ることができるからである。震災復興をうたえば、今後もこのような補正予算はいくらでも正当化できるだろう。3.8兆円という中途半端な復興予算は、今後の補正予算を予告しているようなものだ。

 復興予算を除いても、実際には過去最大の当初予算となった最大の原因は、先日取りまとめられた「社会保障と税の一体改革」の社会保障部分の素案が、歳出削減や負担増にまったく踏み込まず、相変わらずのバラマキだらけのものとなったことである。既に下記のブログで述べたように、民主党がムキになって宣伝している「年金の特例水準解消」も、実際にはバラマキである。

年金もらいすぎ(特例水準)解消は、実はバラマキである
http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/35841170.html

転載元:http://blogos.com/article/27701/


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