*『東京ブラックアウト』著者:若杉冽
「終章 東京ブラックアウト」を複数回に分け紹介します。3回目の紹介
( Amazon カスタマーレビュー )から
恐ろしい本です。小説という体裁はとっていますが、帯に「95%ノンフィクション」とあるように、限りなく現実に近い話でしょう。これを読んでも、原発再稼働に賛成と言えるでしょうか。一人でも多くの国民に読んでほしい本です。
作中に登場する資源エネルギー庁次長の日村直史は、経産官僚の今井尚哉氏だと、国会議員の河野太郎氏がTwitterで言及しています。現在、安倍首相の政務秘書官を務めている人物です。
( 「東京ブラックアウト」)から
「バ、バカ野郎!おまえは知っているのか? かつて新潟県の泉田知事が、たった400人を対象に避難訓練をしただけでも、その地域には大渋滞が起こったんだぞ!・・・あと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ・・・」
・・・玲子は絶句した。いつも冷静でクールな夫が、15年の結婚生活で初めて見せる取り乱しぶりだったからだ。
過去に紹介した記事(【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(45) )から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」
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**『東京ブラックアウト』著書 「終章 東京ブラックアウト」の紹介
前回の話:終章 東京ブラックアウト ※2回目の紹介
京都で特別国会が開催されているあいだ、2016年リオデジャネイロオリンピックに併せて、国際オリンピック委員会(IOC)総会が開催されていた。ここで中国の理事から緊急の議題が提案された。2020年の東京オリンピックの取り消しを求めるものだ。
「これから科学的・計画的に除染を実施しますから、2020年の東京オリンピックは安全に実施できます。我が国にはフクシマの経験で培った除染の技術があります。その技術で、放射能汚染は完全にコントロール下にあります」
と、松添都知事は得意のフランス後と英語を交えながら、必死で反論していた。
「・・・私は、東京オリンピックの成功を日本の復興のシンボルにしたい。みなさん、ぜひ東京を、そして日本を助けてください。世界のスポーツの力で助けてください!」
最後は浪花節だった。しかし、オリンピック選手への健康の影響を心配するIOCの委員からしてみれば、除染によってどの程度線量が低下するか、その科学的根拠が示されないことが不満だった。
結局、2020年の東京オリンピックの取り消しは93対1の圧倒的多数で決定された。
続いて、同じく中国の理事から、上海を東京の代わりの候補地とする提案がなされた。すると、92対2の圧倒的多数で、上海がそのまま選出されてしまった。反対に一票加わったのは、委員に一人を出しているチャイニーズ・タイペイのおかげだ・・・。
日本が新崎原発事故で混乱するなか、中国がじっくりと各国に根回ししておいたのだ。
1908年のオリンピックはローマが開催予定地であったが、イタリアのヴェスヴィオ山が噴火し、その被害がローマにも及んだことから、開催地が急遽ロンドンに変更された。この先例を引き合いに出し、近隣国である中国が日本の危機を助けたい、という絶妙の根回しだった。
※続き「終章 東京ブラックアウト」は、6/18(木)22:00に投稿予定です。
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