原発問題

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終章 東京ブラックアウト ※2回目の紹介

2015-06-16 22:00:00 | 【東京ブラックアウト】

*『東京ブラックアウト』著者:若杉冽

章 東京ブラックアウトを複数回に分け紹介します。2回目の紹介

 

Amazon カスタマーレビュー )から
恐ろしい本です。小説という体裁はとっていますが、帯に「95%ノンフィクション」とあるように、限りなく現実に近い話でしょう。これを読んでも、原発再稼働に賛成と言えるでしょうか。一人でも多くの国民に読んでほしい本です。

作中に登場する資源エネルギー庁次長の日村直史は、経産官僚の今井尚哉氏だと、国会議員の河野太郎氏がTwitterで言及しています。現在、安倍首相の政務秘書官を務めている人物です。

 

( 「東京ブラックアウト」)から
「バ、バカ野郎!おまえは知っているのか? かつて新潟県の泉田知事が、たった400人を対象に避難訓練をしただけでも、その地域には大渋滞が起こったんだぞ!・・・あと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ・・・」
・・・玲子は絶句した。いつも冷静でクールな夫が、15年の結婚生活で初めて見せる取り乱しぶりだったからだ。


過去に紹介した記事(【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(45) )から

救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」

 

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**『東京ブラックアウト』著書 「章 東京ブラックアウト」の紹介

前回の話:終章 東京ブラックアウト ※1回目の紹介

 加部の頬に珍しく血の気が差し、紅潮している。加部は自分の言葉に酔っているようにも見える。

「・・・これは、一面においては国際的な貢献であると同時に、もう一つの重要な側面としては、我が国において貴重となった外貨の獲得手段ともなるわけでございます。

 ご承知の通り、先の新崎原発の事故後に、我が国から外国資本が流出し、円の価値も非常に下がっているわけであります。円安に、株安と債権安のトリプル安の苦境から経済的な復興をするべく、ぜひ、国際的な放射性廃棄物の中間貯蔵施設の引き受けをやらしていただきたい、このように考えておるところでございます」

「そんなこといったって、中間貯蔵といいながらずっと永遠に貯蔵させられることになるんとちゃうの? 加部総理」

 と、今回復活した民自党の千額議員が噛みつく。越本代表の裏切りさえなければ、脱原発連合政権で官房長官になるはずだった。もともとは極左の弁護士だった千額も、落選期間中、物心とともに電力の恩義を受けていたため、「中長期的脱原発派」に改宗していた。

 加部が自信満々に答える。脳内でドーパミンが大量に分泌されている。

「我が国はですね、きちんと相手国と、国際条約として約束するんですよ。高レベル放射性廃棄物の最終処分には絶対にコミットしない、あくまで、相手国で最終処分場が見つかるまでの中間貯蔵施設だということを約束するんです。そして、50年後までに最終処分場が見つけられない場合には、放射性廃棄物は相手国に返還する、との規定も置くんです」

 千額はするどく切り返す。

「そんなこといったって、条約の原案には、50年後の期限到来前に両国が反対の意思表示をしない限り、更新される、という規定があるじゃないですか。50年ごと更新、50年ごと更新って、結局は永久的に、日本に世界中の放射性廃棄物が放置される、ってことじゃないんですか」

 千額の指摘は正鵠を射ていた。ただ、加部総理は加部総理で、正しい読みを持っていた。日本人は、50年後の話であれば、後世の負担など気にもせず、懸案を先延ばしにしても目くじらを立てない、大らかな国民性であるという読みを・・・。

※続き「終章 東京ブラックアウト」は、6/1722:00に投稿予定です 

東京ブラックアウト(若杉冽)

原発ホワイトアウト(若杉冽)

 


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