卒業論文も最終段階に入り、先ほど「最後の提出になりますように」と願って原稿を先生に送った。
論文の準備は大変だったけれど、直しは比較的楽だった。
自分でひと通り書き終えたところで、広州の学校に通っているしずかちゃんから西安に戻ってきたから会おうという連絡が入り、論文でちょっと忙しいと言うと、「見てあげるよ」と言ってくれた。神様すぎる。
宿舎まで来てあたしの真横で直してくれるから、言語上の表現が不適切でも自分の意図をちゃんと伝えられる。1万3千文字ほどの文章を丁寧に的確に直してくれて、大助かり。本当に骨の折れる作業だったと思う。
そんなしずかちゃんが、彼氏ができてからというもの、約束にルーズになった。
「論文は何度もやり直しさせられるはずだから、また見てあげる」と自分から言ってたくせに、それを期待して約束の日に部屋で待っていても、連絡がつかない。
あとから「時間を勘違いした」とか言うし、次はいつ時間があるのか聞いても「今彼氏と瀋陽にいる」とか言って、答えになってないし。論文の直しがいつまでも進まない。
9日までにお願いねと頼んでいたアンケートを、当日になって「中旬でいい?」とニコマーク付きでメッセージを送ってきたので、さすがにないなあと思った。
「しずかちゃん、あなたにはものすごく感謝しているよ。でもこうやって、何度も約束を破るのは好かないなあ」
そうメッセージを送ると
「うん、わかってる、私が悪いの」
ちょっと時間をおいて、彼女は写真を送ってきた。レントゲンのようなもの。妊娠でもしたのか?違う。
「面倒な病気にかかって、今病院にいるの。」
それならそうと言ってくれたらいいのに。
そんだかこっちが悪いことしたような気分にもなる。
でも彼氏が原因でイヤな子になったわけじゃなくてよかった。
それはともかく、早く良くなってもらいたい。
では、論文の直しはどうしよう。そのまま出して先生に直してもらおうか。でもできたら、身近な人間に先に見てもらいたい。
「勝平、文章得意?」
「俺は文章書けないよ」
勝平はだめか。あいつが暇そうだなと目星をつけた男の子に聞く。
「いいよ。メールで送って」
論文をメールで送ると、次の日には直って帰ってきた。最初からこうすればよかった。
論文の序論部分は英語訳も必要だ。
中国語ばっかり教えるくせに、要求が高くないか。
誰に頼もう……そう考えていた時、知り合いの男の子に会って奇跡のひとことを聞いた。
「卒業したら、アメリカに留学することにしたよ。」
彼の背中に真っ白な羽が見えた。
序論の三百文字程度の中国語をメールで送ると、彼は2時間足らずで英語に翻訳してくれた。
「これでいい?見てみて」
アイラブユーも忘れそうなあたしに、いいも悪いも。丸呑みでありがとうだわ。
今日は学校主催の遠足で、多くの留学生が古都・平遥に行っている。
平遥は一度行ったことがあるし、面倒なのもあってあたしは行かないことにした。
行かなきゃ行かないで、今になって楽しんでいる留学生たちを想像しては、いいなあと羨ましんでいる。
ほら、今もニヤから旅先のミニ映像が
さっさと卒論終わらせて、「ざまーみろ」と言ってやりたい。
論文の準備は大変だったけれど、直しは比較的楽だった。
自分でひと通り書き終えたところで、広州の学校に通っているしずかちゃんから西安に戻ってきたから会おうという連絡が入り、論文でちょっと忙しいと言うと、「見てあげるよ」と言ってくれた。神様すぎる。
宿舎まで来てあたしの真横で直してくれるから、言語上の表現が不適切でも自分の意図をちゃんと伝えられる。1万3千文字ほどの文章を丁寧に的確に直してくれて、大助かり。本当に骨の折れる作業だったと思う。
そんなしずかちゃんが、彼氏ができてからというもの、約束にルーズになった。
「論文は何度もやり直しさせられるはずだから、また見てあげる」と自分から言ってたくせに、それを期待して約束の日に部屋で待っていても、連絡がつかない。
あとから「時間を勘違いした」とか言うし、次はいつ時間があるのか聞いても「今彼氏と瀋陽にいる」とか言って、答えになってないし。論文の直しがいつまでも進まない。
9日までにお願いねと頼んでいたアンケートを、当日になって「中旬でいい?」とニコマーク付きでメッセージを送ってきたので、さすがにないなあと思った。
「しずかちゃん、あなたにはものすごく感謝しているよ。でもこうやって、何度も約束を破るのは好かないなあ」
そうメッセージを送ると
「うん、わかってる、私が悪いの」
ちょっと時間をおいて、彼女は写真を送ってきた。レントゲンのようなもの。妊娠でもしたのか?違う。
「面倒な病気にかかって、今病院にいるの。」
それならそうと言ってくれたらいいのに。
そんだかこっちが悪いことしたような気分にもなる。
でも彼氏が原因でイヤな子になったわけじゃなくてよかった。
それはともかく、早く良くなってもらいたい。
では、論文の直しはどうしよう。そのまま出して先生に直してもらおうか。でもできたら、身近な人間に先に見てもらいたい。
「勝平、文章得意?」
「俺は文章書けないよ」
勝平はだめか。あいつが暇そうだなと目星をつけた男の子に聞く。
「いいよ。メールで送って」
論文をメールで送ると、次の日には直って帰ってきた。最初からこうすればよかった。
論文の序論部分は英語訳も必要だ。
中国語ばっかり教えるくせに、要求が高くないか。
誰に頼もう……そう考えていた時、知り合いの男の子に会って奇跡のひとことを聞いた。
「卒業したら、アメリカに留学することにしたよ。」
彼の背中に真っ白な羽が見えた。
序論の三百文字程度の中国語をメールで送ると、彼は2時間足らずで英語に翻訳してくれた。
「これでいい?見てみて」
アイラブユーも忘れそうなあたしに、いいも悪いも。丸呑みでありがとうだわ。
今日は学校主催の遠足で、多くの留学生が古都・平遥に行っている。
平遥は一度行ったことがあるし、面倒なのもあってあたしは行かないことにした。
行かなきゃ行かないで、今になって楽しんでいる留学生たちを想像しては、いいなあと羨ましんでいる。
ほら、今もニヤから旅先のミニ映像が
さっさと卒論終わらせて、「ざまーみろ」と言ってやりたい。