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情報公開審査会の答申などを集めて載せています。

情報公開・個人情報保護審査会 平成19年度(独情)答申第112号 特定地番に係る入札関係書類

2008年03月26日 | 法人等に関する情報
諮問庁 : 独立行政法人都市再生機構
諮問日 : 平成19年 7月 9日 (平成19年(独情)諮問第83号)
答申日 : 平成20年 3月26日 (平成19年度(独情)答申第112号)
事件名 : 特定地番に係る入札関係書類の一部開示決定に関する件

答 申 書


第1  審査会の結論
 土地有効利用事業による38地区に係る特定地番の「予定価格書」(以下「文書1」という。)及び「入札書」(以下「文書2」といい,文書1と併せて「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定については,別紙に掲げる部分を開示すべきである。

第2  異議申立人の主張の要旨
(略)


第3  諮問庁の説明の要旨
1  機構について
 機構は,独立行政法人都市再生機構法(以下「機構法」という。)に基づき設立された独立行政法人であり,大都市及び地域の中心となる都市において,市街地の整備改善及び賃貸住宅の供給の支援に関する業務を行うとともに,都市基盤整備公団から継承した賃貸住宅等の管理等に関する業務を行っている。
 公団は,都市基盤整備公団法に基づき設立された特殊法人であり,住宅・都市整備公団の一切の権利及び義務を継承したが,都市基盤整備公団は,平成16年7月1日の機構の成立時に解散しており,その一切の権利及び義務を,機構が継承している。
 そのため,「住宅・都市整備公団」,「都市基盤整備公団」に係る事項については,本件において,便宜上「機構」として表現することとする。

2  本件異議申立てについて
 本件開示請求は,法人文書開示請求書によると「38地区の特定地番に係る予定価格,応札者名及び各応札者の応札額が明らかになる文書」を求めるものである。
 機構は,これに該当する文書として,38地区に係る本件対象文書を特定し,法5条1号,2号イ及びロ並びに4号ニ及びトに該当する部分を不開示とする一部開示決定を行った。
 なお,文書1及び文書2のうち不落札者分の入札書については,法6条1項ただし書に規定する不開示部分を除いた部分に有意の情報が記載されていないと認められることから,法9条2項の規定に基づき全部を開示しないこととした。
 これに対して,不開示部分の開示を求めて,異議申立てされたものである。

3  本件対象文書に係る機構の事業について
 本件対象文書に係る機構の事業は,土地有効利用事業(以下「本事業」という。)である。
 本事業は,機構法11条1項1号に基づき,四大都市圏等の既に市街地を形成している区域において,単独で利用することが非効率な細分化された土地や不整形地,大規模工場跡地等の低未利用地を機構が取得し,周辺の土地の追加取得等による敷地の集約化,整形化及び公共施設の整備等を実施することにより,有効利用が可能な建築物の敷地として整備を行い,当該整備敷地等を原則として民間事業者等に譲渡する事業である。
 本事業は,土地取得に係るリスク軽減のために国から所要の出資金を受け入れ,金利負担の低減を図るほか,事業運営上原価圧縮を図っており,結果として総原価のうち大部分は土地取得費が占めている。
 また,本事業では,「市街地の整備改善」という事業目的の実現のため,譲渡土地に対する利用上の具体的な条件と,それを確実に担保するための担保措置を設定することとし,土地譲渡契約書にその旨を規定している。
 原則,全地区に共通して設定している譲渡条件としては,一定期間内の建築物の建設義務,一定期間の転売等の制限及び指定用途の遵守があり,このほかに個別の地区ごとに譲渡条件を定めている。また,譲渡後に譲受人によりこれらの条件が履行されない場合には,機構は契約解除ができることなどを譲渡契約書に定めている。

4  本件対象文書について
 本件対象文書のうち,文書1については,機構が土地譲渡一般競争入札(以下「入札」という。)により落札者を決定する際の最低価格を示した書類であり,文書2については,応札者が入札額を記入し,機構に提出する書類である。
 本件対象文書の不開示部分は,それぞれ以下のとおりである。

(1)  文書1
 これを開示することにより,公正な自由競争により形成されるべき適正な額での契約が困難となり,機構の財産上の利益が害されるおそれがあることから,法5条4号ニにより不開示とした。

 なお,文書1については,法6条1項ただし書に規定する不開示部分を除いた部分に有意の情報が記載されていないと認められることから,その全部を開示しないこととした。

(2)  文書2
①  落札者の印影
 これを開示することにより,各種書類等への偽造等に悪用されるおそれがあることから,法5条2号イにより不開示とした。

②  落札者の代理人の住所,氏名及び印影
 これらを開示することにより,特定の個人を識別できる情報であることから,法5条1号により不開示とした。
ただし,代理人の住所と会社の住所が同一のものは,開示。

③  公開の同意を得ていない落札額及び落札者以外の応札者の入札書
 落札者に公開の同意を得ていない地区における落札額及び落札者以外の応札者の入札書については,公開の対象外としており,これらの信頼と期待は保護されるべきものであり,また,これを開示することにより,当該法人の持つ経営戦略又は財務状況といった企業秘密が明らかとなり,当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから,5条2号イ及びロにより不開示とした。
 また,上記をリスクと捉えて今後機構への応札を控えるおそれがあるため,機構の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害し,機構の経営上の正当な利益を害するおそれがあることから,法5条4号ニ及びトにより不開示とした。
 なお,文書2のうち,落札者以外の入札書については,法6条1項ただし書に規定する不開示部分を除いた部分に有意の情報が記載されていないと認められることから,その全部を開示しないこととした。

5  本件対象文書の不開示情報該当性について
 諮問庁は,異議申立人の異議申立て内容について検討を行った結果,原処分を維持し,不開示とすることが妥当であると判断した。
 以下,本件対象文書の不開示情報該当性について説明する。

(1)  文書1について
 予定価格は,入札において落札者を決定する際の最低価格を示したものであり,予定価格以上かつ最高価格を提出した応札者を落札者としている。
 入札広告時に配布している「土地有効利用事業土地譲渡競争入札案内書」(以下「入札案内書」という。)には,予定価格は公表しないことを明記している。
 予定価格を公開した場合,入札の事前と事後のいずれにおいても,応札者が当該情報を利用して,入札の対象となっている土地及び周辺の他の土地で機構が行う入札の予定価格を推測し,それを目安として入札価格を低く設定したり,応札者の価格競争に対する意欲の低下を招くこととなり,競争入札の効果が失われ,機構が行う契約事務に関し機構の財産上の利益及び企業経営上の正当な利益が害されるおそれがあるため,法5条4号ニ及びトに規定する不開示情報に該当する。

(2)  文書2について
ア  印影
(略)


イ  落札者以外の応札者の氏名(法人の名称及びその代表者名を含む。)及び住所
(略)


ウ  応札者の代理人の氏名等
(略)


エ  応札者の入札額(公開の同意を得た落札額を除く。)
 入札案内書には,落札額(公開の同意を得たものに限る。)は一定期間閲覧に供する等により公開することとしているが,それ以外の入札額は公開対象としていない。
 入札額は通常他者には知り得ない情報であり,土地売却に関する入札において通例として公にされていないことから,入札にあたって入札額を公開しないということは合理的であると認められ,当該条件の下で入札した応札者にとって,当該情報を不開示とする機構に対する信頼と期待は保護されるべきものであるため,法5条2号ロに規定する不開示情報に該当する。
 また,当初公開の対象外としている情報を開示することは応札者と機構との間の信頼関係を害することとなり,また,応札者が情報開示されることをリスクと捉えて今後の機構への入札を控えることとなり,機構の入札執行や土地取引に支障を来すおそれがあることから,機構の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害し,また,機構の経営上の正当な利益を害するおそれがあるため,法5条4号ニ及びトに規定する不開示情報に該当する。
 なお,当該部分は,土地譲渡の入札に当たって,応札者が独自に価格形成要因や市場の分析を行い,投資計画や事業収益を算出し,自らの資金調達能力を反映させて決定した個別性の高い価格である。
 また,他の応札者の入札額と比較することにより,取得意欲が高く赤字覚悟でも取得したいと考えている,あるいは逆に,取得する強い意欲はないといった応札者の判断や,業績が良いために他の応札者が想定する価格よりかなり高めに入札額が設定できる,逆に,業績が良くないために低めの入札額しか設定できないなどの状況が明らかとなる。
 これを公にすると,これら応札者の持つ経営戦略や財務状況といった一般に企業秘密と認められる情報が明らかとなり,他の不動産事業者との間の競争上の地位において,当該法人が不当に不利な立場に追い込まれるおそれがあるため,応札者名が特定されれば,法5条2号イに規定する不開示情報に該当する極めて秘匿性の高い情報となる。

6  異議申立人の主張について
(略)


7  結論
 以上のことから,諮問庁は,原処分を維持することが妥当であると考える。

第4  調査審議の経過
(略)


第5  審査会の判断の理由
1  本件対象文書及び原処分について
 本件対象文書は,機構が本事業の一環として実施した38地区の特定地番に係る土地譲渡競争入札において機構が作成した予定価格書(文書1)及び応札した法人等の入札書(文書2)である。
 機構は,原処分において,本件対象文書の記載事項のうち,法5条1号,2号イ及びロ並びに4号ニ及びトに該当する部分を不開示とする一部開示決定を行っている。
 また,文書1及び文書2のうち落札者以外の入札書については,上記の不開示部分を除いたその余の部分に有意の情報が記録されていないとして,その全部を不開示としている。
 諮問庁は,原処分を妥当としていることから,以下,不開示とされた部分の不開示情報該当性について検討する。

2  不開示情報該当性について
(1)  文書1
 当審査会において見分したところ,文書1には,特定地番の土地譲渡入札に係る件名,予定価格,日付並びに機構契約担当役の所属,氏名及び印影のほかに,秘密表記等の記載が認められる。
 機構は,予定価格については法5条4項ニ及びトに該当するとして不開示とし,その余の部分には,開示請求者が求める予定価格に関する情報は存在せず,有意の情報が記録されていないとして,全部不開示としている。

ア  予定価格
 諮問庁は,比較的狭い都心部で,反復して土地の売買を実施する本事業において,予定価格を公にした場合,周辺の土地で機構が行う入札の予定価格が推測され,入札価格が低く抑えられるおそれがあること,また,土地価格算定の考え方が推測されてしまい,周辺の土地を取得しようとする場合に高い金額を主張される等交渉が難航するなど機構における契約事務に支障を生じ,企業経営上の正当な利益を害するおそれがあると認められることから,法5条4号ニ及びトに該当する旨説明する。
 確かに,近接した事業地区において,反復して土地の売買を実施する本事業において予定価格を公にした場合,当該予定価格を手掛かりに周辺の土地で機構が行う入札の予定価格が推測され,入札価格が低く抑えられるなど,公正な競争により形成されるべき適正な額での契約が困難になり,機構の財産上の利益を不当に害するおそれがあると認められることから,法5条4号ニに該当し,不開示とすることが相当である。
 なお,諮問庁は,当該部分は,法5条4号トにも該当する旨説明するが,上記のとおり,当該部分は同号ニに該当すると認められるので,同号トについては判断するまでもない。

イ  その余の部分について
 諮問庁は,文書1に記載された予定価格(金額)を除くその余の部分には,開示請求者が求める情報は存在せず,有意の情報が記録されていないため,法6条1項の規定による開示を要しない旨説明する。
 しかし,その余の部分には,上記のとおり,入札に係る件名や,日付並びに契約担当役の所属,氏名及び印影のほか,秘密表記等が記載されているものと認められることから,当該部分の記載内容について,諮問庁に説明を求めたところ,①件名は,入札する地区名が記載されている,②契約担当役は,機構の会計実施細則に定められたいずれも機構の公表慣行のある職員の所属,氏名及び印影である,③日付は,予定価格が決定された日を示す情報である,④秘密表記等の記載は,あらかじめ様式に印刷された事項であるとのことであった。
 当該部分の記載内容は,当該情報のすべてが公表されていない状況にある上,いずれも予定価格に関連した具体的な情報であって,本件開示請求書及び異議申立書の記載からは,これらの情報について開示請求者が求める情報でないとまでは言えないことから,必ずしも有意の情報が記録されていないとは認められない。
 そして,これらの情報は,法5条各号の不開示情報のいずれにも該当しないと認められる。
 以上のことにより,文書1に記載された予定価格を除くその余の部分について,有意の情報が記載されていないとして不開示としたことは妥当と認められず,開示すべきである。

(2)  文書2
 当審査会において見分したところ,文書2は,本件入札に参加した法人等のそれぞれの入札書であって,入札者に係る住所,氏名及び印影,代理人の住所,氏名及び印影,広告番号,地区名,物件番号,物件の所在地,面積及び金額のほか,様式にあらかじめ印刷された入札に当たっての注意事項等の記載が認められる。
 機構は,このうち,原処分において,落札者の入札書については,①法人の印影,②代理人の住所(落札者と同じ場合を除く。),氏名及び印影,及び③公開の同意を得られなかった落札額について,法5条1号,2号イ及びロ並びに4号ニ及びトに該当するとして当該部分を不開示とし,また,落札者以外の入札者の入札書については,落札者の入札書において不開示とした部分と同様の部分のほかに,当該入札者の住所,氏名及び入札額を不開示とするとともに,その余の部分についても,開示請求者が求める情報は存在せず,有意の情報が記録されていないとして,全部不開示としている。
 以下,それぞれについて検討する。

ア  落札者の入札書における不開示部分について
(ア)  法人の印影
 押印されている特定法人の印影は,いずれも押印された当該入札書が真正に作成されたことを示す認証的機能を有するものであることが認められる。
 当審査会の事務局職員を通じ,当該法人におけるこれらの印影の使用範囲及び保管状況について,諮問庁に確認したところ,当該法人印及び代表者印は,取引その他重要な行為のために用いるものであって,担当部署において厳重に保管・管理されているとのことである。
 したがって,当該各印影は,これを公にすることにより,当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められることから,法5条2号イに該当し,不開示とすることが相当である。

(イ)  入札者の代理人の住所,氏名及び印影
 諮問庁の説明及び諮問庁から提示を受けた本件入札案内書によれば,入札者の代理人は,入札参加者が代理人に入札参加させる場合に置かれるものであって,入札参加者が法人の場合で代表権を持たない社員が入札書を持参する場合もその対象に含まれるとのことである。
 入札者の代理人の住所,氏名及び印影は,一体として法5条1号本文前段に規定する特定の個人を識別することができるものに該当すると認められる。
 そこで,当該部分の法5条1号ただし書イ該当性を検討すると,これらを公にし,又は公にすることを予定する法令の規定も慣行も認められず,同号ただし書イに該当しない。その他同号ただし書ロ及びハに該当するとする事情も存しないことから,当該部分は,同号の不開示情報に該当すると認められる。
 また,当該部分は,一体として特定の個人を識別することができることとなる情報であるから,法6条2項の部分開示の余地はない。

(ウ)  公開の同意を得ていない落札額
a  諮問庁の説明
 本事業は,土地の流動化を政策目的としていたこともあり,入札の透明性の確保の観点からも入札結果を閲覧に供する等公開しており,このうち,落札額については,落札者の同意を得たものは公開することとしており,その旨を入札実施案内に明記している。
 公開の同意が得られなかった事案につき,本件開示請求に伴い,落札者である特定法人に改めて意見照会を行ったところ,「落札土地周辺での入札への支障」及び「他社との競争激化等」を理由に,開示に支障がある旨の意見書が再度提出されたことから,当該意見書を尊重し,法5条2号ロに該当するとして不開示とした。
 また,落札者の同意があった場合に公開することとしている情報について,同意がないにもかかわらず開示することは,入札参加者と機構との間の信頼関係を害することとなり,また,応札者が意に反する情報開示をリスクと捉えて今後の機構への入札を控えるなど,機構の入札執行や土地取引に支障を来すおそれがあることから,機構の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害し,また,機構の経営上の正当な利益を害するおそれがあるため,法5条4号ニ及びトに規定する不開示情報にも該当する。

b  審査会の判断
 諮問庁より,入札実施案内の提示を受け,これを確認したところ,落札額の公開は,落札者の同意書により公開の可否を確認した上で,承諾を得た場合に閲覧に供する旨の記載が認められる。
 しかしながら,同実施案内には,落札者氏名及び落札額を含む入札結果については,書面により,入札参加者全員に通知される旨が記載されているところであり,その落札額については,既に入札参加者全員に通知されているものと認められる。
 このため,当該落札額を公にしたとしても,特定法人が主張する「落札土地周辺での入札への支障」及び「他社との競争激化等」の具体的支障があるとは認められず,当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは認められない。
 また,同意の得られない落札額が入札参加者全員に通知されている状況及び公開の同意の得られない事案は一部分のみであることを踏まえれば,当該落札額を公にしたとしても,機構の入札執行や土地取引に支障を来すおそれがあるとは認められない。
 したがって,当該情報は,法5条2号ロ及び同条4号ニ及びトの不開示情報に該当せず,開示が妥当である。

イ  落札者以外の入札者の入札書について
 諮問庁は,入札に参加した法人等が落札できなかったという情報は,業界内や社内の風評等他者に知られることを極力忌避する類の情報であり,土地売却に関する入札において通例として公にされていない情報である旨説明する。
 確かに,落札できなかったにもかかわらず,入札に参加した法人等の情報や入札額が公にされた場合,当該法人の競争力やその営業戦略等一般に企業秘密と認められる情報が明らかとなり,他の不動産事業者との間の競争上の地位において,当該法人が不当に不利な立場に追い込まれるおそれは否定できず,法5条2号イの不開示情報に該当すると認められるので,落札者以外の入札に参加した法人等の情報や入札額については,これを不開示とすることが相当である。
 なお,入札者の代理人の住所,氏名及び印影の不開示情報該当性については,前記ア(イ)のとおり,法5条1号の不開示情報に該当するものと認められる。
 次に,上記不開示部分を除いた部分に記載された情報の有意性について検討すると,上記において不開示が相当としたその余の部分には,広告番号,地区名,物件番号,物件の所在地,面積及び金額のほか,様式にあらかじめ印刷された入札に当たっての注意事項等の記載が認められる。
 当該部分の記載内容は,いずれも本件入札に関連した情報であって,本件開示請求書及び異議申立書の記載からは,これらの情報について開示請求者が求める情報でないとまでは言えず,法5条各号の不開示情報のいずれにも該当しないと認められる。
 以上のことにより,文書2の落札者以外の入札者の入札書に記載された①当該入札者の住所,氏名及び印影,②代理人の住所,氏名及び印影並びに③入札額を除く,その余の部分について,有意の情報が記載されていないとして不開示としたことは妥当と認められず,当該その余の部分は開示すべきである。

3  異議申立人のその他の主張について
 異議申立人は,業務に税金を投入して土地譲渡を行っている機構の場合,どの程度の金額で売買を行っているかを開示するのは国民に対する義務であるとして,法7条の裁量的開示を求めているものと認められる。
 しかしながら,本件対象文書の不開示部分の不開示情報該当性については上記2で判断したとおりであり,また,機構は独立行政法人として制度上求められている各種資料の公表等を通じて一定の説明責任を果たしていると考えられることから,当該不開示部分を公にすることに,当該部分を不開示とすることにより保護される利益を上回る公益上の必要性があるとは認められないので,法7条による裁量的開示をしなかった諮問庁の判断に,裁量権の逸脱ないし濫用があるとは認められない。
 また,異議申立人は,その他種々主張するが,当審査会の上記判断を左右するものではない。

4  本件一部開示決定の妥当性について
 以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号,2号イ及びロ並びに4号ニ及びトに該当するとして不開示とした決定について,別紙の部分については,同条1号,2号イ及びロ並びに4号ニ及びトのいずれにも該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は,同条1号,2号イ及びロ並びに4号ニに該当すると認められるので,4号トについて判断するまでもなく,不開示とすることが妥当であると判断した。

(第5部会)
委員 上村直子,委員 稲葉 馨,委員 新美育文

(別紙)
1  文書1に記載された予定価格を除くその余の部分。
2  文書2に記載された①落札者の印影,②落札者以外の入札者の住所,氏名及び印影,③代理人の住所,氏名及び印影並びに④落札者以外の入札者の入札額,を除くその余の部分。