JOHNY’s BLOG

かほりたつあざやかなはなとどめおくおもいをよせる淡雪のふみ

ニート考察

2006-02-18 21:42:52 | Book
ニート

 村上龍は小説に登場させた中学生に「この国にはさまざまなものがあふれているのに希望がない」といわせた。この言葉は中学生だけのものではなく日本人の多くが共感してしまうことばではないだろうか。衣食住に十分すぎるくらい足り、あふれるものに埋もれるように暮らす人になぜ「希望」がないのであろうか。

 実のところ社会の表面には「希望がない」という言葉はあまりでてこない。なぜならば、今日の日本で希望を語る言説には検閲が施されているからである。しばしばいわれることであるが日本人は集団における各成員に同質性を強く求めがちである。このことが個人の感情の表現を規制する、いわばここには世間による検閲があり、本当は「希望」がない人に「希望がない」なんて言わせないようにしているのである。

 この国で「希望がない」と大声を出して暴れだしたいのは誰であるか。そう、ニートと呼ばれる人たちである。ブレアのもとで改革が進むイギリスで16歳から18歳の無就労、無修学者を定義づけたことがその出自である。日本におけるニートの意味はイギリスのそれよりもかなり幅を広くとったものとして使われている。ニートという言葉は急速に社会に浸透した。これは日本にしっかりと定着した感のあるいわゆる“オタク”といわれる人達に対する畏怖感を反転させたことのあらわれといえそうである。

      つづく


         JOHNY

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