地福寺ブログ

地福寺は、宮崎県延岡市の山あいにある曹洞宗のお寺です。
永代供養のご相談も承ります。

福島県視察研修⑤

2013-05-19 09:59:54 | 日常のヒトコマ
④の続きです。

南相馬から、JR常磐線ぞいに南下し、原発に近づきます。
もちろん、途中で警察がゲートを作っていることは分かっていますから、
行けるところまで行こう、ということになりました。

途中、津波が到達した場所がここまで、というのがはっきりわかるくらい、当時のままです。
2年も月日が流れたとは思えません。





国道6号線を南下。
枝分かれする道は、ことごとく封鎖されています。
交差点ですが、バリケードが置かれているのが判りますか?
この写真は浪江町役場近くの「幾世橋交差点」です。




途中、東京から259㎞の看板がありました。


原発から7㎞手前で検問がありました。ここから先は許可証がないと入れません。


警察車両を見ると、静岡県警でした。




ここで働く警察の方にも頭が下がります。


元来た道を戻ります。
「幾世橋交差点」から東を見ます。やはり西と同じく通行止めです。


「道の駅南相馬」で休憩しました。
どうしても、前の仕事がら、停留所があれば覗いてしまいます。
しかし時刻表は外され、当然ながら運休中でした。


この道の駅の隣に応急仮設住宅があり、ちょうどスクールバスで子どもたちが学校から帰ってくるところと出会いました。
本来の学校に通えるのは、いつになるのでしょうか。

道の駅の地図にも、避難区域が色分けされていました。

福島県視察研修④

2013-05-19 09:25:33 | 日常のヒトコマ
③の続きです。

飯館村から、県道12号線・八木沢峠をこえて南相馬市へ入ります。
山を越える辺りは、路肩に少し雪が残っていました。

途中、バスを停めて側溝付近に線量計を近づけてみると、
数値が見る見るうちに上がっていきます。
「側溝のように、まわりのものが集まりやすい所がホットスポットになりやすい」
ということでした。


地図が無いので判りませんが、
南相馬市の海岸まで出ました。
ここで震災物故者供養をさせていただきました。


読経ののちも、しばし海岸を離れられません。
参加した皆さんは、それぞれ思うところがおありだったでしょう。


やや内陸に戻って、南へ。
小高(こだか)という町に行きました。
常磐線の小高駅前に行きます。

ここが、私としては今回一番印象に残る場所になりました。


駅前にある観光案内の看板。そこそこ大きな町です。


駅前から西へ延びる通りを見ます。




ごらんのとおり、人が居ないんです。


飯館村もそうでしたが、ポストは使えません。


駅にお手洗いがありましたが、下水処理等の市民サービスが停止していますから、
「使用禁止」の張り紙が…。
仮設のトイレが別に設けてありました。


駅前の駐輪場には、こんなに自転車がとめてありますが、
常磐線のこの区間は震災以後、止まっています。
ですから電車を利用している人がいるわけではありません。
つまり「あの日」のままなんです。
あの日は金曜日でした。
通勤や通学で、多くの方が朝、ここに自転車を停めたことでしょう。
この自転車たちは、そのまま、持ち主が戻ってくるのを今も待っています。




ただひとつ、駅前広場のしだれ桜だけが、春の到来を告げていました。
この桜を見た時、「花枝自ずから短長」の一節を思い出しました。
ちょうど、私がこの日つけていた絡子の裏に師匠が書いてくれた言葉です。
自分にあたえられた命を、なんの見返りも求めず、ただ咲いている。

不覚にも少し涙が出ました。


福島県視察研修③

2013-05-19 09:09:53 | 日常のヒトコマ
いつものことながら、更新速度が遅くなっております。
もうしわけございません。

②の続きです。

福島市役所と「放射線モニタリングセンター」へお邪魔した翌日、
私たち以外の有志の皆さんと合流して、1泊2日研修が始まりました。

バスで、福島市から全村避難が続く飯館村へ。
バス車内で線量計を見ながら進みますが、徐々に数値が上がっていきます。

一見、なんの変哲もない風景が広がりますが、
丸2年、田植えをしてない田圃は、雑草が繁茂し、
元に戻すには、かなりの時間がかかるようです。

建物も、壊れているようには見えませんが、人の姿は全く見えません。

飯館村役場で一旦降りましたが、
役場前の郵便ポストには「当分の間」使用できない旨の張り紙が。

新聞や、郵便といった、普段の生活に当然あるものが、止まっている。


生活を根こそぎ奪うのが、原発事故なのです。

この、福島~飯館の間、写真を撮ろうと思っていたのですが、
全く撮っていませんでした。

それくらい、茫然としてしまったと、ご理解下さい。

福島県視察研修②

2013-05-01 20:53:44 | 日常のヒトコマ
①の続きです。

「放射線モニタリングセンター」では、所長さんから今の福島市の現状をご説明いただきました。
開設当初は、計測希望が殺到し、最初の1週間で向こう1年分の予定が埋まってしまったとのこと。
その後、計測機器を増備し、計測する人員も増やしていった結果、今では落ち着いたそうです。

こちらでは、商品として出す農作物は対象外とのこと。
あくまで、家庭菜園などでとれる自家消費分です。
震災発生から2年間、さまざまな品を計測してきた経験則から、
「これは出そうだ」というのが判り始めた、と担当者がおっしゃっていました。
裏返せば、「これから出るはずがない」という場合に、
とり寄せて再度計測しなおすと、
案の定、土が洗いきれていないのが原因だったりする場合が多いそうです。

気をつけねばならない食品、おおむね安心できる食品…。

ただ、やみくもに恐れるのではなく、リスクをきちんと計測し、把握する。
ものごとを正しく見ることによって、不安を減らしていくのだということを、
改めて実感しました。


計測に使っている機械は、日本製のものだろうと思いきや、ベラルーシ製。
チェルノブイリ事故があったあと、現場で使いやすいように作られたものだそうです。
日本製のものは、研究者が研究室で使うような精密な測定が出来る半面、
それなりの知識を求められる使い勝手の悪さがあります。
その点、ベラルーシ製は、現場で使いやすいように、
計測は大雑把であっても使い易さが優先されている、ということでした。


写真のように、1斗缶よりも小さい位の円筒形に3本足を付けたような小さな機械ですが、
重さはなんと130㎏!持ち上げようとしたってビクともしません。

計測するものの周りを、暑さ5㎝程の鉛でとり囲んであり、
外から飛び込んでくる放射線の影響を受けないようにしてあるのでした。

他にも、さまざまなお話しを伺うことができました。


放射線モニタリングセンターの所長さまをはじめ、ご担当者の皆様。
お忙しい中、私たちの為にお時間を割いていただき、ありがとうございました。