地福寺ブログ

地福寺は、宮崎県延岡市の山あいにある曹洞宗のお寺です。
永代供養のご相談も承ります。

さよならクロちゃん

2009-09-17 21:26:37 | 日常のヒトコマ
この夏、息子がとあるお店で金魚すくいをしました。
悪戦苦闘の末に、黒い金魚を1匹、なんとかわけてもらいまして、
ビニール袋の中の金魚をニコニコしながら眺めつつ、
大事そうに頂いて帰ってきました。
「この金魚は、クロちゃん♪」
早速、名前もつけていたようです。

しかし、残念ながらもともと弱い金魚のようで、あまり動きがありません。
水槽の水もあわなかったのか、翌朝には死んでしまいました。



写真は、その日の朝、幼稚園に行く前に「埋めてあげよう」ということになり、
花壇の隅に埋めて、みんなで手を合わせているところです。
簡単ですが短いお経も唱えさせていただきました。
ここは昨年、クワガタ虫を同様に埋葬したところでもあり、
「お花が沢山咲くし、クワちゃん(クワガタの名前です)もいるから、さみしくないねえ。」と、
息子も思ってくれているようです。


生きているものが必ず一度は通らなければならない「死」。
それは、誰にでも身近にあるもののはずなのに、なかなか実感する機会がありません。
都会では、カブト虫が死んで動かなくなったら「電池を換えればいい」などと
言ってしまう子供がいると、聞いたことがあります。
生きているものは、自分も含めていつか死ぬんだよ、という事実を
伝え切れない大人に問題があるのかもしれませんが、
それは問題というより「死」を身近に感じられない悲しさなのかなと思います。
そういう自分もしっかりと「死」に向かい合えるのか、まだ自信がありません。

しかし、どうか、わが子にはそうならないでほしいと思います。
小さな金魚にも手を合わせる気持ちを持っていてほしい。
「死」は自分のすぐ隣にあるものだと、だれもがいつかは死ぬのだと、
だから忌み嫌ってばかりではなくきちんと向き合うことが大事であり、
限りある「生」だから一生懸命に全力で生きねばならないんだと、
機会がある毎に伝えたいと思います。

クロちゃんは、その良い機会をひとつ私達にくれて、旅立っていきました。
金魚すくいの水槽にいた沢山の金魚の中から、私達の家に来てくれて、
これもなにかの縁でしたね。

クロちゃん、ありがとう。