みなさんこんにちは、以前カンボジア事務所に勤務していました平野です。カンボジアは近年堅調に経済発展をしています。ではカンボジアの児童労働は経済発展にあわせて減っていくのでしょうか?
【貧困と児童労働】
なぜ児童労働が起きてしまうのか?普通想像がいくのは「貧しいから」ということです。そしてこれは基本的には間違っていません。先進国では児童労働の発生率は非常に低く、発展途上国では高い、これは原則的にはその通りです。しかしこれを国どうしの比較ではなく、ある一つの途上国に焦点を当ててみると、そう単純ではない場合も多くあります。例えば、農地も耕作農具も持たない農民の家の子どもはあまり働いていない、という場合があります。途上国の貧困層の子どもには、「学校にも行っていないし、働いてもいない」という子どもも少なからずいるのです。
【経済発展と児童労働】
ここ10年でカンボジアは大変経済発展しました。もちろん絶対的な意味ではまだまだ貧困の度合いは深いのですが、伸び率という意味ではこの間の経済成長率は日本の比ではありません。では経済発展は児童労働を減らすのでしょうか?これが必ずしもそうはいかないばかりでなく、逆効果をもたらす場合もあるのです。ある国が経済発展していくと、一般的には自給自足のための農業をする人の割合は減り、第2次、第3次産業、そして賃金労働に従事する人の割合が増えてきます。例えばカンボジアでいうと、観光業の発展にともなってレストランやサービス業の需要が高まりました。これまで家の田んぼを手伝っていた子どもや、学校にも行っていないし働いてもいないという子どもに、レストランや売店で働かないかという誘いが来るようになります。観光地に働きに行ってお金を稼いで帰ってくる友だちがうらやましく思え、自分もお金を稼いで家族を助けたい、と思うかもしれません。しかし確かにお給料はもらえるかもしれませんが、親もとを離れ、学校もやめないといけない場合も多いでしょう。学校に通いながら家の田んぼを手伝うときのような柔軟な働き方はできないのです。そしてまた、人身売買業者は観光地にあこがれる農村の子どもを狙っているのです。
【意識啓発の重要性】
「児童労働は貧しい国ではしかたない。まずは経済発展に力を入れて、話はそれからだ」という考え方がありますが、これまで述べたように、児童労働を考える必要もないくらい豊か、というのは実は世界でも一握りの国なのです。カンボジアの貧困度合いだと、国民一人あたりの所得が倍になっても児童労働が半分になる見込みはまずありません。逆に場合によっては深刻な児童労働が増えてしまう可能性もあるのです。それに、前回書かせていただいたとおり児童労働によって学校に行けない子どもは児童労働の「負の連鎖」に陥る可能性が高いのです。どうしてそういう国が質の高い労働力を必要とする経済発展を急速に推し進めていけるでしょうか。
カンボジアにも、貧しくとも子どもだけは学校に、という親はいます。少なくとも自分の手元において、時には田んぼの手伝いはさせるにしても、学校には行かせる、そういう親が増えるには、児童労働のマイナス面や人身売買の危険性、そして教育の重要性についての意識が高まらなくてはいけません。そしてまた子どもたち自身がそういったことを知り、そして自分には権利があるのだということを認識することも、同じくらい大切なことなのです。
子どもたちを児童労働の悪循環にさらさず、エンパワーするために会員となって支えてください。http://jicrc.org/pc/member/index.html
写真はカンボジアのスバイリエン州の最貧困地域で児童労働について学ぶ小学生たち。彼らが意識啓発の担い手となっている。(©甲斐田万智子)
【貧困と児童労働】
なぜ児童労働が起きてしまうのか?普通想像がいくのは「貧しいから」ということです。そしてこれは基本的には間違っていません。先進国では児童労働の発生率は非常に低く、発展途上国では高い、これは原則的にはその通りです。しかしこれを国どうしの比較ではなく、ある一つの途上国に焦点を当ててみると、そう単純ではない場合も多くあります。例えば、農地も耕作農具も持たない農民の家の子どもはあまり働いていない、という場合があります。途上国の貧困層の子どもには、「学校にも行っていないし、働いてもいない」という子どもも少なからずいるのです。
【経済発展と児童労働】
ここ10年でカンボジアは大変経済発展しました。もちろん絶対的な意味ではまだまだ貧困の度合いは深いのですが、伸び率という意味ではこの間の経済成長率は日本の比ではありません。では経済発展は児童労働を減らすのでしょうか?これが必ずしもそうはいかないばかりでなく、逆効果をもたらす場合もあるのです。ある国が経済発展していくと、一般的には自給自足のための農業をする人の割合は減り、第2次、第3次産業、そして賃金労働に従事する人の割合が増えてきます。例えばカンボジアでいうと、観光業の発展にともなってレストランやサービス業の需要が高まりました。これまで家の田んぼを手伝っていた子どもや、学校にも行っていないし働いてもいないという子どもに、レストランや売店で働かないかという誘いが来るようになります。観光地に働きに行ってお金を稼いで帰ってくる友だちがうらやましく思え、自分もお金を稼いで家族を助けたい、と思うかもしれません。しかし確かにお給料はもらえるかもしれませんが、親もとを離れ、学校もやめないといけない場合も多いでしょう。学校に通いながら家の田んぼを手伝うときのような柔軟な働き方はできないのです。そしてまた、人身売買業者は観光地にあこがれる農村の子どもを狙っているのです。
【意識啓発の重要性】
「児童労働は貧しい国ではしかたない。まずは経済発展に力を入れて、話はそれからだ」という考え方がありますが、これまで述べたように、児童労働を考える必要もないくらい豊か、というのは実は世界でも一握りの国なのです。カンボジアの貧困度合いだと、国民一人あたりの所得が倍になっても児童労働が半分になる見込みはまずありません。逆に場合によっては深刻な児童労働が増えてしまう可能性もあるのです。それに、前回書かせていただいたとおり児童労働によって学校に行けない子どもは児童労働の「負の連鎖」に陥る可能性が高いのです。どうしてそういう国が質の高い労働力を必要とする経済発展を急速に推し進めていけるでしょうか。
カンボジアにも、貧しくとも子どもだけは学校に、という親はいます。少なくとも自分の手元において、時には田んぼの手伝いはさせるにしても、学校には行かせる、そういう親が増えるには、児童労働のマイナス面や人身売買の危険性、そして教育の重要性についての意識が高まらなくてはいけません。そしてまた子どもたち自身がそういったことを知り、そして自分には権利があるのだということを認識することも、同じくらい大切なことなのです。
子どもたちを児童労働の悪循環にさらさず、エンパワーするために会員となって支えてください。http://jicrc.org/pc/member/index.html
写真はカンボジアのスバイリエン州の最貧困地域で児童労働について学ぶ小学生たち。彼らが意識啓発の担い手となっている。(©甲斐田万智子)