カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもの人身売買防止プロジェクト現地出張報告第2弾<テレビの力>

2005年09月26日 18時28分00秒 | 人身売買防止プロジェクト(意識啓発)
みなさんこんにちは、平野です。
これまで国際子ども権利センター支援によるHCCのプロジェクト地、プレイベン州コムチャイミア郡への出張報告を中心にこのブログに記事を投稿してきました。その中で、SBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)の子どもメンバー活動ぶりについてもご報告してきましたが、意識啓発を進めていく上での困難として、「話を信じてもらえない」という声が挙がっていたのを覚えているでしょうか。今回は、村で行ったインタビューなどから、その悩みを解決するヒントを探ります。

【聞いてくれない】

「“面白くない”といって聞いてくれなかった」
「“子どもなのにそんなこと分かるの?”と言って、友達が信じてくれなかった」
「HCCのトレーニングを受けたことも伝えたが、信じてもらえなかった」

これらはSBPNメンバーに対するフォローアップワークショップでメンバーの子どもたちから挙がった声です。これまでもお伝えしてきた通り、これらの問題に対しては、粘り強く意識啓発を続けることや、HCCが作成した絵入りのパンフレットを活用することなどが対策として話し合われ、またHCCのトレーニングを受けたことを示すIDカードを希望するメンバーもいました。

【テレビで言ってた】

「HCCが来る前から、ラジオなどで情報を得ていたので、(人身売買には)気をつけなければと思っていた」
「ラジオでドメスティック・バイオレンスをなくそうと言ってたのを聞いていたので、DVは違法だと知っていた」
「子どもが言うだけでなく、ラジオやテレビで同じこと言っていると、信じる」

一方これらは村でさまざまな人にインタビューした結果、人々から聞かれた言葉です。そう言えば、私のボキャブラリーにも「本当だよ、だってテレビで言ってたもん」という言葉が、子供の頃にはありました。

【テレビの可能性】

カンボジアでは、かつての日本のように、テレビは娯楽の王様です。農村でも、悪路を揺られながら田舎道を行くと、想像以上に多くの家々にアンテナの姿を確認できます。「食べるものにも事欠くと言いながらテレビか」と、テレビを村人の物欲や計画性のない金遣いの表れとして苦々しく見る人もいます。しかしテレビといってもかなりの年代もので、そこに映る白黒とカラーの間のような画面に、限られたバッテリーの電源が許す時間、熱中するだけです。

そんな村人のささやかな楽しみにとやかく言うのではなく、この“テレビの威光”を人身売買防止や子どもの権利普及に利用できないものか、と(ちょっと大きな命題ですが)考えたりしています。

※写真はラジオの影響を語るお母さんとその息子、そして娘(安達祐実似)です