カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもの人身売買防止プロジェクト現地出張報告第2弾<村の法律>

2005年09月13日 22時30分01秒 | カンボジアの人権状況
みなさんこんにちは、平野です。今回は、村での聞き取り調査から、“村の法律”もご紹介しながら、村におけるドメスティック・バイオレンスへの取組みについてお伝えします。

※今回カメラ絶不調につき、写真は別の男性です。写真がないと寂しいし、せめて雰囲気を、と年恰好の近い方を選びました。ご容赦ください。
【女性の地位の向上】

村での聞き取りでは、良くも悪くも対象者の周囲の人々の口出しが必ずあります。トゥノンカーンカウッという村でも、やはり対象者女性だけでなく、周囲の人だかりからも意見が挙がりました。その中で初老の男性が興味深いことをおっしゃいました。

Q 女性が自分たちの権利を知って強くなることについてどう思いますか?
A 女の人は強くなった。法律も知っている。男性と同等になってきた。だから殴られることも減った。いいことだ。以前は同等とみなされず、男性に罵られていた。

【国よりも早く制定】
(続いて)それに法律も変わった。今は暴力を振るえばお金を払わなくてはならない。
Q いつできた法律の話ですか?
A 2年か、いや3年前かな。

Q DV禁止法はまだ制定されていないし(現在国会で審議中)、HCCがこちらで活動を開始するよりも前ですね??
A ああ、これは村の法律だよ。自分たちで決めたんだ。

Q 皆さんで決めたんですか。それはまたどうして、誰が言い出したんでしょう?
A 問題があまりにも多かったので、どうにかしなくてはと思ったんだよ。特に祭りのときなどの若者の喧嘩が多くてね。結局村長たちが調停に入って、示談にする。そんなことが続くうちに、では罰金を決まりにしよう、と思ったのさ。そういう人たちに懲りて欲しいからね。

Q いくらくらいの罰金なのですか?
A それはケースによるね。でも600,000リエル(150ドル!)ということもあるよ。

いわゆるドメスティック・バイオレンスだけでなく、暴力全般に適用されるようですが、DV禁止法が国会を通るはるか昔に、法律が制定されている村があったことは注目に値すると思います。このように村の人々自身が自分たちで自分たちの問題に気づき、改善しようという意欲を持つことが、NGOの活動に限らずよりよい村を作るあらゆる活動に必要とされています。

村人から無力さばかりを感じるとしたら、それは我々の視線の問題でしょう。よりよい村を作りたいと思っているのは、誰よりも村人です。そしてそのために必要なもののうち、金銭的、物質的な面では足りないものが多いとしても、意欲や知恵は持っているのです。