カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもの人身売買防止プロジェクト現地出張報告<子どもたちによる意識啓発活動>

2005年08月26日 19時36分19秒 | 人身売買防止プロジェクト(意識啓発)
みなさんこんにちは、平野です。今日はいよいよSBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)のメンバーによる活動報告についてお話します。

【学校で、村で、メンバーたちの熱心な活動】

ネットワーク結成後、前回掲載したテストの内容(つまり子どもの権利、児童労働、人身売買業者の手口、人身売買関連の法律などについての知識)をHCCによるトレーニングで勉強したメンバーたちは、今度は自分たちが担い手となり、学校や村でそれらのことについて話し、人身売買の防止に努めます。それが「SBPNメンバーによる意識啓発ワークショップ」です。今回は、具体的にどのような活動をしたのか、そしてどのような困難を経験したのか、子どもたちの話に耳を傾けてみましょう。

<学校での活動>
学校での活動には、

・朝礼でみなの前で話す
・クラスでクラスメートに話をする

といった活動が挙げられます。人数という意味で最大のワークショップは、クラバオトマイ小学校で朝礼のときに行われたものでしょうか。対象人数は全校生徒678人!(欠席がなければ、ですが)このときは事前にミーティングも行い、1回につき2人のメンバーが2つのトピックについて話し、計4回行われたそうです。学校・先生側の積極的な協力があったことがうかがえます。

またクラスで話したというメンバーも少なからずいました。朝の時間や休み時間の後を利用して話をしたということです。対象人数は、クラスですので、平均して40人程度。今回聞き取りをした限りは、自分のクラスで話した、というケースが多く、他のクラス(学年)のはほとんど進出していないようでした。今回訪問したの3つの小学校では、メンバーが5・6年のみでしたので、今後他の学年にも積極的に進出して欲しいところです。アンチャン小学校では、「他のクラス(学年)の先生にも、話をさせてもらえるよう頼もう」という頼もしい声が挙がりました。

<村での活動>
今カンボジアは夏休みの真っ只中ですが、メンバーたちは学校のみならず、村でも意識啓発活動をしています。友達が家に来たときに話す、牛を草を食べに連れて行くときなどに、一緒に行く友達と話す、といった草の根における意識啓発活動が展開されたとのことでした。

【信じてもらえない??】

活動を行う上で苦労した点としては、「聞いてくれない」「信じてもらえない」という声が想像以上に多く、ある学校では、メンバーの1人から「半分くらいの人しか分かってくれなかった」という声が挙がると、周りの生徒たちも「うんうん」。これについては、純粋に農作業が忙しい、という意味と、話の内容を信じてくれない、という2つの意味があります。

前者については、「決まった場所でなくていいのだから、相手に合わせてこちらから出向いて行こう」「お祭りや集会など色々な場を活用しよう」「あきらめずに何度もトライしよう」という解決策が話し合われました。そして後者については、「みなの役に立つことだということを分かってもらおう」「具体例に触れよう」「村長など村の有力者の人たちに支援してもらおう」といった解決策のほか、HCCのトレーニングを受けた、というIDカードを作って欲しいという要望がありました。話を聞いている限り、信じてくれないのはおとなに多いようで、子どもたちが自信を持って大人たちに話をするためにもよい方法かもしれません。

一方で、自分たちの側の問題として、

・話すことを忘れてしまう
・緊張してしまう
・自分たち自身が忙しい(友達に話そうと思ったら牛の世話に行く時間になった)

といった声が挙がり、それらについては、「ノートを活用しよう」「繰り替えしやることで慣れよう」といった解決方法が話し合われました。

また、HCCへの要望として、もっとポスターやパンフレットなどが欲しいという意見が出たため、HCCが持参したパンフレット類が配布されました。それらを活用し、みなで話し合った解決策をいかせば、ますます充実した意識啓発活動ができるものと期待しています。