カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

カンボジアでの国際子ども権利センターの活動(2)

2004年10月20日 00時53分39秒 | 人身売買・性的虐待 被害者支援
今年度国際子ども権利センターは、アフェシップ(AFESIP)という少女・女性の人身売買に取り組むNGOを支援しています。アフェシップは、少女や女性たちが騙されて売られ、無理やり買春宿で働かされていることを突き止め、救出し、保護しています。保護したあとに、少女や女性たちが性産業に戻らないようにアフェシップは少女や女性に職業訓練や教育活動を行っていますが、その多くはトラウマに苦しんでいますので、精神的ケアもおこなっています。現在、彼女たちを保護しているセンターが5箇所にあるのですが、年間のべ、500人の少女と女性を保護しています。
 たとえば、今年の6月から8月の間に5つのセンターに滞在していた少女・女性333人のなかで低いセルフエスティームの人は50人、自傷行為をしていた人は15人、自殺を考えていた人は27人、幻覚賞状の人は14人、トランスの状態になる人が20人いました。
 しかしながら、昨年まで精神医学を学んだカウンセラーが一人、そうでないカウンセラーが二人しかいなかったため、トラウマに苦しむ少女たちを十分ケアすることができませんでした。それで国際子ども権利センターでは、より質の高いカウンセリングができるように精神医学を専門的に学び、経験を積んだスタッフを雇うことができるように支援をおこなっています。

 今日、新しく雇われたカウンセラーと話をしてきました。
一人は女性で、プノンペン大学で精神医学を学んだあと、子どものメンタルクリニックで働いた後、NGO・国境なき医師団(ベルギー)でHIV/AIDS感染者のカウンセリングをしていました。もう一人は男性でやはりプノンペン大学で精神医学を学んだあと、統合失調症患者の回復センターでボランティアをしていました。
 しかし、彼女たちによると大学で学んだことは理論ばかりだったので、実際のカウンセリングの仕事にあまり役立っていないということでした。また、トレーニングやマニュアルなどの教材もかなり不足しているようでした。カンボジアは、クメール・ルージュ時代の虐殺や内戦のために精神医学のレベルが非常に低い状態にあります。そういうなかで、今のアフェシップのカウンセリングの質を急に向上させることは大変難しいのかもしれませんが、今日の話を聞いて、もっと何か工夫して(たとえば、フィリピンで性的虐待の被害にあった子どもたちをケアしている人たちの実践を学ぶワークショップを開くなど)、効果的にアフェシップの精神ケアの質を向上させることはできないのだろうかと考えました。