鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2021年6月19日号)
*日米の敗北 中露の勝利
11日に英国で開かれたG7首脳会合(サミット)、14日のNATO首脳会合、バイデン、プーチンの初の一騎打ちとなった16日の米露首脳会談を総括すれば、日米の敗北、中露の勝利が鮮明になったとしか言いようがない。
この三つの会合のうち日本が参加したのはG7サミットだけだが、ここで中国を名指しこそしたものの、具体的な制裁措置は取られなかった。それもそのはず、欧米各国は既に対中制裁を科しているのに、中国の担当正面である日本だけが何の制裁措置も取っておらず、今後取るとも表明すらしなかったのである。
さらに日本は尖閣を侵略されつつあり、中国の脅威を強調したが、防衛費はGDPの1%未満であり、それを増額するとも表明しなかった。参加国の多くは2%を超えており、韓国に至っては2・8%、額面でも日本を抜いている。
こんな日本を欧米はどう見るかと言えば、日本は防衛を他国に依存して防衛費を抑え、その分を中国経済に投資して儲けている、ずる賢い国にしか映らないだろう。ならば欧米も中国に制裁するより投資した方がいいと言う事になろう。
また防衛費も日本が低く抑えている以上、中国の脅威に対処するために増額する必要はないことになる。NATO首脳会合では中国の脅威は認めたものの、防衛費の増額は議題にすらならなかった。
米露会談では、核管理の対話で合意したが、ここでは米露の核兵器の削減のみが議題になる訳で、中国の核兵器については議論の対象外となる。中国は中距離核ミサイルを増強しており日本が標的になっても米本土には届かない。プーチンは中国を守りバイデンは日本を捨てたのである。
今後も、日本を含めた西側諸国は対中投資を続けることに事実上合意した訳であり、そうである以上、中国の経済成長は続く。従って中国の軍拡はやむことはない。数年以内に東アジアの軍事バランスは中国の優位となり、それは台湾侵攻の号砲となるであろう。
(2021年6月19日号)
*日米の敗北 中露の勝利
11日に英国で開かれたG7首脳会合(サミット)、14日のNATO首脳会合、バイデン、プーチンの初の一騎打ちとなった16日の米露首脳会談を総括すれば、日米の敗北、中露の勝利が鮮明になったとしか言いようがない。
この三つの会合のうち日本が参加したのはG7サミットだけだが、ここで中国を名指しこそしたものの、具体的な制裁措置は取られなかった。それもそのはず、欧米各国は既に対中制裁を科しているのに、中国の担当正面である日本だけが何の制裁措置も取っておらず、今後取るとも表明すらしなかったのである。
さらに日本は尖閣を侵略されつつあり、中国の脅威を強調したが、防衛費はGDPの1%未満であり、それを増額するとも表明しなかった。参加国の多くは2%を超えており、韓国に至っては2・8%、額面でも日本を抜いている。
こんな日本を欧米はどう見るかと言えば、日本は防衛を他国に依存して防衛費を抑え、その分を中国経済に投資して儲けている、ずる賢い国にしか映らないだろう。ならば欧米も中国に制裁するより投資した方がいいと言う事になろう。
また防衛費も日本が低く抑えている以上、中国の脅威に対処するために増額する必要はないことになる。NATO首脳会合では中国の脅威は認めたものの、防衛費の増額は議題にすらならなかった。
米露会談では、核管理の対話で合意したが、ここでは米露の核兵器の削減のみが議題になる訳で、中国の核兵器については議論の対象外となる。中国は中距離核ミサイルを増強しており日本が標的になっても米本土には届かない。プーチンは中国を守りバイデンは日本を捨てたのである。
今後も、日本を含めた西側諸国は対中投資を続けることに事実上合意した訳であり、そうである以上、中国の経済成長は続く。従って中国の軍拡はやむことはない。数年以内に東アジアの軍事バランスは中国の優位となり、それは台湾侵攻の号砲となるであろう。