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このタイミングで王毅外相はなぜアジア歴訪?   韓国では対米、対日を牽制させようと中国は内政干渉

2021-09-16 09:46:30 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)9月16日(木曜日)
通巻第7054号
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 このタイミングで王毅外相はなぜアジア歴訪?
  韓国では対米、対日を牽制させようと中国は内政干渉
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習近平は昨年(2020年)1月にミャンマーを訪問して以来、外国へ出ていない。米中会談も電話で済ませ、ほかの国際会議はすべてオンラインである。十月末のG20にも、オンライン参加を予定しており、ひたすら世界首脳との対面を避けている。つまり、国内に難題を抱えているからだろう。

習近平は7月1日の中国共産党創立百年記念日に演説し「次の百年」を謳ったが、「持続可能な百年」は望めそうにない。
習の名代としてせかせかと諸外国を行き交っているのは、野心満々の傲慢外交官、王毅である。

王毅外相のアジア歴訪は年が明けた1月16日から6日間。ミャンマー、インドネシア、ブルネイ、フィリピンを訪れた。これで昨年来のASEAN10ヶ国全てとの二国間往来という目的を一応は達成したかにみられたが、アジア各国は強面中国の出方を確かめただけだった。

米国は対抗上、シャーマン国務副長官がインドネシア、カンボジア、タイを訪問し、八月には中国天津を訪問した。このときの米中会談は、激しい言葉の応酬だけだった。
 そしてオースティン国防長官がシンガポール、ベトナム、フィリピンを訪問した。南シナ海の安全保障が議題の中心に置かれた。

八月にはシンガポールとベトナムにハリス米副大統領が訪問したが、呼吸を合わせるかのように英国は空母クィーン・エリザベスをシンガポールに寄港させた南シナ海問題で中国への示威である。
 またしても王毅外相の出番となり、9月10日からベトナム、カンボジア、シンガポール、そして韓国の四カ国を訪問した。マレーシア、タイ、フィッリピン、ブルネイが除かれたが、中国に歯向かうコトもないだろうという考えが基底にあるからか。

中国は「成果があがった」と自画自賛しているが、どの国とも満足な外交実績とはならず「戦狼外交」と「マスク外交」で周辺をかき荒らして居るだけとする酷評が多い。ベトナムでは米国がワクチン100万本供与の三倍、300万本を供与するとして露骨な対抗ぶりを示した。

王毅のカンボジア、ベトナム、シンガポール、韓国歴訪は、一方でバイデン米政権の主要閣僚が東南アジアを訪問した事実を踏まえて、アジア関与を強める米国をにらみ、連携にくさびを打ち込む目的があった。

 王毅外相は最後の訪問国、韓国へ15日に入り、鄭義溶(チョンウィヨン)外相と会談した。王は中韓国交正常化から来年で30年になると指摘し、「持続的発展を実現していかなければならない」と述べた。
米中対立が激化する中、米国が韓国との同盟関係を強化しようとしている状況を踏まえ、韓国に「中立的な立場を守るよう」にと釘を刺した。これは内政干渉である。

 鄭外相は、「今後も韓国政府が進める朝鮮半島平和プロセスを支持してくれることを期待する」と応じた。
この会談の最中に北朝鮮は巡航ミサイルを発射した。


 ▼歴訪中、台湾は濃厚な軍事演習で応じた

文在寅政権は来年5月で任期満了。そのあとはたぶん刑務所だろうから、あっても意味はないだろうが、大統領府を訪れ、文大統領や 徐薫(ソフン)国家安保室長らと面談した。

文在寅大統領は、「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着のため、北朝鮮が速やかに対話に復帰するようにすることが重要である」として中国の協力を求め、また北京五輪への全面的協力を約束した。

 王毅外相は「中国は朝鮮半島の非核化と南北関係進展を常に支持する立場だ。今後も建設的な役割を続ける」と常套句を述べるに留めた。

 さて、この中国外相のアジア歴訪中、台湾は一週間にわたって東海岸で軍事演習を展開し、高速道路へのジェット戦闘機発着訓練などを披露した。
 


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