「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)2月24日(土曜日)
通巻第8147号 <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ミュンヘン(民間の安全保障、外交会議)に闖入者
中国民間企業のハッカー活動の実態が浮き彫りに
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中国政府と契約する民間のサイバーセキュリティ企業「アイスン」社(ISoon=上海安洵信息)から大量のデータが漏洩した。これはアイスン社のハッカーが十数か国の政府の機密データを盗取していた明らかな証拠だと、米セキュリティ企業「センチネルラボ」とイスラエルの「マルウエアラボ」が明らかにした。
中国の所謂「民間企業」が外国政府などのソャルメディア・アカウントに侵入し、ハッキングしていたのだ。「マルウエアラボ社」は「アイスン社がインド、タイ、ベトナム、韓国などの政府機関に侵入していた」と明らかにした。アイスンは上海が本拠で、北京、四川、江蘇、浙江省など中国全土32の自治体にオフィスを持つ。
中国のサイバーセキュリティ企業の大手で国家安全部、公安部などとも契約しているが、同時にAI開発やソフトウエア設計などに携わり、中国の科技系大學でコンピュータ競技大会などを主催し、人材をスカウトしてきた。設立は2010年と若く、背後に国家ぐるみの政策企業であることを窺わせる。
米「センチネルラボ」の報告に依れば、「香港の民主主義組織や大学、NATO軍事同盟からもデータを盗取していた。今回の漏洩は、これまでに公にされたハッカー事件のなかでも、最も具体的なデータであり、中国のサイバースパイ活動の「成熟した業務」を示している」とした。
センチネルラボは、米国カリフォルニアに本拠を置くハッカー追跡調査などの専門研究機関。https://jp.sentinelone.com/labs/
マルウエアラボはイスラエルに本拠を置き、日夜ハッカーの追跡をしている。
https://www.malware-lab.com/
カウンターハッカーの専門家は、「中国アイスンから流出した文書が証明しているように、第三者として請負い、サイバー領域における中国の攻撃的作戦の多くを促進し、実行している」と分析する。
「SNSの、たとえばXの個人のアカウントに侵入して、個人の活動を監視し、プライベートメッセージを読み取りっていた。またアップルの携帯電話のオペレーティング・システムに侵入する方法や、データを抽出してハッカーに送信できるパワーバンクなどのハードウェアが含まれていた」
ということは、あなたがもしXで投稿していたら、プライバシーまで中国に把握されていることになる。
とくに今回の漏洩で判明したのは、アイスン社が新疆ウイグル自治区政府とも契約していた事実である。
専門家は「同社は、パキスタンとアフガニスタンの対テロセンターを標的とすることを含め、これらの任務を実行する能力がある。過去にハッキングした他のテロリストらの標的をリストアップした」など複雑な実態も浮き彫りとなった。
おりから「ミュンヘン安全保障会議」(2月16日~18日)がドイツで開催されていた。テーマは「規制、ガバナンス、テクノロジー(特に人工知能テクノロジー)の利用」。
この『ミュンヘン会議』は西側諸国を中心に、毎年2月にドイツ南部のミュンヘンで開かれ、民間機関が運営する、外交・安全保障分野の「ダボス会議」とも呼ばれる。
日本からは三宅防衛政務官が参加し、リトアニア、フィンランド、エストニアの国防大臣等と会談したという。
グーグル、マイクロソフト、オープンAIのトップが参加し、「国家ハッカー集団によるチャットGPTの敵対的使用調査報告書」を発表した。AI(人工知能)の安全かつ責任ある使用を積極的に支援するとグーグルの幹部等が表明した。
ミュンヘン会議で注目されたのは、マイクロソフトとオープンAIは「イラン、北朝鮮、ロシアなどのアカウントを停止した」とのべたこと、またインドは別の理由でグーグルやXの利用を厳しく規制している。
突発的「事件」が起きた。
暗殺されたナワリヌイ夫人のユリア・ナワルナヤが会議場のメインステージに予告なしに登場したのだ。彼女は突如、演説を始め、プーチンを非難し、集まった各国の首脳や国防・外交のトップらに、プーチンを裁判にかけるよう求めた。
同会議には各国首脳が50余名、閣僚級が100名、シンクタンクなどおよそ900名の大会議となったが、ことの重要性が判断できない日本のメディアは小さく報じただけだった。
続きがあった。
2月21日、バイデンはサンフランシスコへ飛んで民主党の政治資金集会に出席したが、その席でプーチンを「きちがいのくそ野郎」と罵った。そしてドイツから飛んできたナタリヌイ夫人と娘に面会し、正義の味方を演出して見せたのだった。
令和六年(2024)2月24日(土曜日)
通巻第8147号 <前日発行>
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ミュンヘン(民間の安全保障、外交会議)に闖入者
中国民間企業のハッカー活動の実態が浮き彫りに
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中国政府と契約する民間のサイバーセキュリティ企業「アイスン」社(ISoon=上海安洵信息)から大量のデータが漏洩した。これはアイスン社のハッカーが十数か国の政府の機密データを盗取していた明らかな証拠だと、米セキュリティ企業「センチネルラボ」とイスラエルの「マルウエアラボ」が明らかにした。
中国の所謂「民間企業」が外国政府などのソャルメディア・アカウントに侵入し、ハッキングしていたのだ。「マルウエアラボ社」は「アイスン社がインド、タイ、ベトナム、韓国などの政府機関に侵入していた」と明らかにした。アイスンは上海が本拠で、北京、四川、江蘇、浙江省など中国全土32の自治体にオフィスを持つ。
中国のサイバーセキュリティ企業の大手で国家安全部、公安部などとも契約しているが、同時にAI開発やソフトウエア設計などに携わり、中国の科技系大學でコンピュータ競技大会などを主催し、人材をスカウトしてきた。設立は2010年と若く、背後に国家ぐるみの政策企業であることを窺わせる。
米「センチネルラボ」の報告に依れば、「香港の民主主義組織や大学、NATO軍事同盟からもデータを盗取していた。今回の漏洩は、これまでに公にされたハッカー事件のなかでも、最も具体的なデータであり、中国のサイバースパイ活動の「成熟した業務」を示している」とした。
センチネルラボは、米国カリフォルニアに本拠を置くハッカー追跡調査などの専門研究機関。https://jp.sentinelone.com/labs/
マルウエアラボはイスラエルに本拠を置き、日夜ハッカーの追跡をしている。
https://www.malware-lab.com/
カウンターハッカーの専門家は、「中国アイスンから流出した文書が証明しているように、第三者として請負い、サイバー領域における中国の攻撃的作戦の多くを促進し、実行している」と分析する。
「SNSの、たとえばXの個人のアカウントに侵入して、個人の活動を監視し、プライベートメッセージを読み取りっていた。またアップルの携帯電話のオペレーティング・システムに侵入する方法や、データを抽出してハッカーに送信できるパワーバンクなどのハードウェアが含まれていた」
ということは、あなたがもしXで投稿していたら、プライバシーまで中国に把握されていることになる。
とくに今回の漏洩で判明したのは、アイスン社が新疆ウイグル自治区政府とも契約していた事実である。
専門家は「同社は、パキスタンとアフガニスタンの対テロセンターを標的とすることを含め、これらの任務を実行する能力がある。過去にハッキングした他のテロリストらの標的をリストアップした」など複雑な実態も浮き彫りとなった。
おりから「ミュンヘン安全保障会議」(2月16日~18日)がドイツで開催されていた。テーマは「規制、ガバナンス、テクノロジー(特に人工知能テクノロジー)の利用」。
この『ミュンヘン会議』は西側諸国を中心に、毎年2月にドイツ南部のミュンヘンで開かれ、民間機関が運営する、外交・安全保障分野の「ダボス会議」とも呼ばれる。
日本からは三宅防衛政務官が参加し、リトアニア、フィンランド、エストニアの国防大臣等と会談したという。
グーグル、マイクロソフト、オープンAIのトップが参加し、「国家ハッカー集団によるチャットGPTの敵対的使用調査報告書」を発表した。AI(人工知能)の安全かつ責任ある使用を積極的に支援するとグーグルの幹部等が表明した。
ミュンヘン会議で注目されたのは、マイクロソフトとオープンAIは「イラン、北朝鮮、ロシアなどのアカウントを停止した」とのべたこと、またインドは別の理由でグーグルやXの利用を厳しく規制している。
突発的「事件」が起きた。
暗殺されたナワリヌイ夫人のユリア・ナワルナヤが会議場のメインステージに予告なしに登場したのだ。彼女は突如、演説を始め、プーチンを非難し、集まった各国の首脳や国防・外交のトップらに、プーチンを裁判にかけるよう求めた。
同会議には各国首脳が50余名、閣僚級が100名、シンクタンクなどおよそ900名の大会議となったが、ことの重要性が判断できない日本のメディアは小さく報じただけだった。
続きがあった。
2月21日、バイデンはサンフランシスコへ飛んで民主党の政治資金集会に出席したが、その席でプーチンを「きちがいのくそ野郎」と罵った。そしてドイツから飛んできたナタリヌイ夫人と娘に面会し、正義の味方を演出して見せたのだった。
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